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宝塚歌劇雑文集

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宝塚歌劇関連の雑文
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#宝塚歌劇団

礼真琴さんと舞空瞳さんの『ロミオとジュリエット』

5月23日、星組の『ロミオとジュリエット』が大千穐楽を迎えた。 東京公演中にCOVID-19の感染拡大による緊急事態宣言が出て、2週間上演が中断してしまったけれど、再開後は無事に最後まで上演でき、関係者の皆さんは安堵したことだろう。 わたしは、配信では、A日程、B日程合わせて6回半を観たのかな(大劇場公演を含む)。東京宝塚劇場では、B、Aの順で、1回ずつ観ることができた。 A日程を観劇したのは、中断期間を経ての5月20日。「やっと劇場に来れた。ヴェローナに来た」。そんな

雪の巨大惑星のフォルティッシッシモ的大爆発*宝塚雪組『f f f -フォルティッシッシモ-』

とうとう今日という日が来てしまった。 望海風斗さんが宝塚を去る日。そこそこの天気になることは天気予報で知っていたけど、でも、何かの間違いで暴風雪みたいな異常現象が起きてしまわないようにと願っていた。ほんっとうにいろんなことがあった宝塚人生だったから。ここでまた何か起こってもおかしくないもん。 『f f f -フォルティッシッシモ-』。作・演出の上田久美子先生は、望海風斗という演者を得て、とてつもない作品をつくりあげた。 望海風斗さんのこれまでの作品すべてを、そこから生ま

麻実れい 芸能生活50周年記念コンサート 三重奏

麻実れい芸能生活50周年記念コンサート 「三重奏~Rei Asami Trio~」 構成・演出 広渡 勲 北島直樹(Piano) <特別出演>寺井尚子(Violin) エレガントとはターコさんの50周年記念コンサートに行ってきました。 会場は銀座ヤマハホール。ビル正面のガラス壁面には「おかえり、おんがく。」という大きな文字。延期になっていたコンサートが、無事に開催できてよかった。ホールに入ると、ソーシャルディスタンシング仕様の入場者数になっていたのがせつなかったけれど。見た

その壁を超えよう*宝塚月組『All for One~ダルタニアンと太陽王~』

これは面白かった。 『All for One』というタイトルに偽りなしの、「みんな」が活躍する快作だった。 『三銃士』のストーリーをベースに、「もしもルイ14世が女の子だったら」という少女マンガ的な発想を絡ませたコスチュームものコメディなんだけど、この発想の勝利だと思う。ここに現代人の感覚を吹き込むことにも成功していて、『三銃士』と太陽王のエピソードのほか、「フィガロの結婚」や『紫子』『ベルばら』のように、深刻に受け止めがちな性の違いを上品に笑い飛ばす場面も楽しい。小池修