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宝塚歌劇雑文集

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#月組

月組『グレート・ギャツビー』新人公演に思う

 新公世代でも、さすが月組。  ニックと運転手の会話から、自然に『グレート・ギャツビー』の世界へ。幕開きのさりげない会話って難しいのに、すばらしいな。ニック・キャラウェイ(本役:風間柚乃)は瑠皇りあさん。運転手/ヘンリー・C・ギャッツ(本役:英真なおき)は柊木絢斗さん。この運転手が、次はギャッツの父として登場するのがとってもいい。感動の2時間のはじまりだ。  ジェイ・ギャツビー(本役:月城 かなと)を演じたのは、彩海せらさん。組替えで雪組から来たばかりだけれど、雪組時代から

その壁を超えよう*宝塚月組『All for One~ダルタニアンと太陽王~』

これは面白かった。 『All for One』というタイトルに偽りなしの、「みんな」が活躍する快作だった。 『三銃士』のストーリーをベースに、「もしもルイ14世が女の子だったら」という少女マンガ的な発想を絡ませたコスチュームものコメディなんだけど、この発想の勝利だと思う。ここに現代人の感覚を吹き込むことにも成功していて、『三銃士』と太陽王のエピソードのほか、「フィガロの結婚」や『紫子』『ベルばら』のように、深刻に受け止めがちな性の違いを上品に笑い飛ばす場面も楽しい。小池修