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兼任はNG?スクラムマスターが語る専任のススメ

こんにちはこんばんは。スクラムマスターの いのもえ です。

今勤めている会社では専任のスクラムマスター(SM)を担当していますが、前職では一時期、兼任で SM を担当していたことがあります。
今回は専任、兼任 SM を経て感じていることについてまとめてみたいと思います。


私のスクラムマスター歴

簡単に、私の SM 歴について記しておきます。以降の記述はこの内容が前提となっています。
なお、私のキャリア構成の多くを占めるのはエンジニアで、現在でも SM 歴よりもエンジニア歴の方が長いです。

  1. SM 兼開発メンバー : 11 ヶ月

  2. SM 兼プロダクトオーナー(PO) : 2 ヶ月

  3. 専任 SM : 10 ヶ月 ← 現在

今回の記事は 1, 2 の時期と 3 の時期を比べて思ったことを書いていきます。

専任じゃないと SM の効果を発揮できない

フィードバックの仕組みとして機能しづらくなる

SM に期待する効果の一つに、「チームに対するフィードバック」があると考えています。兼任で SM を担当することによって、この効果はかなり低減されると考えています。

スクラムや LeSS ではチームが自己管理できるようになることを理想としています。私はこれを実現するための仕組みとして、スプリントレトロスペクティブや SM という内省を促す機能が定義されていると捉えています。
スクラムイベントとして内省の「機会」を提供するだけでなく、 SM という第三者的な役割を設けるのはそれほどに自分たちを客観視するのは難しいということなのだと思っています。

実際に自分が兼任していた時に考えていたことと、現在専任で考えること、発する言葉には大きく違いがあると感じています。
例えば、チームで振り返りを行う際、兼任の SM だったときには課題に直面したスプリントのレトロスペクティブでは「ここがうまく出来なかった。今度からはこうしましょう」と表明し個々に対処していくだけになってしまっており、プロセス全体の改善には至りづらかったと感じます。

一方専任である現在は、いくつかの問題を観察した際に直接課題にアプローチするのではなくて、どういった課題に繋がるのか、今すぐに対応するのが最も効果的なのかを考えるようになりました。専任 SM になったばかりの頃は兼任のときの考え方が強くて苦労しました…。その時の話は以下にまとまっています。

PO のサポートができなくなる

SM が担うべき役割の一つに「PO の支援」があります。 PO はプロダクトの価値を最大化することが求められます。プロダクト価値最大化の実現にはプロダクトビジョンの策定やステークホルダーとの連携などが必要になりますが、 PO 一人で全てをこなし切るのは難しいと考えています。兼務の SM を担当していた際 PO のサポートは全く出来ませんでした。

特に開発者と SM を兼務していたときは、開発者としての立場と PO の立場が違いすぎて、 SM として PO を支援することが出来ませんでした。プロダクトゴールやビジョンの定義の支援はもちろんできませんでしたし、その他チームやステークホルダーとの協働の支援も全くできませんでした。
できたことといえば、 PBI 起票の手伝いくらいですが…これも、今考えると PO を支援するというよりは、物理的な手伝いに近かったと感じています。

PO と SM を兼務していたときは、もはやスクラムとしての効果を発揮すること自体が危うかったと強く感じています。(実際に、それ以降あまりスクラムらしい開発にはなっていなかった記憶があります)
プロダクトの責任者である PO と、プロセスに主に関心の高い SM の両方を担うことで、 SM に求められる支援的なリーダーシップの発揮はかなり難しい状況に陥りました。

組織の支援ができない

SM が支援すべき対象には「組織」も含まれます。組織全体にスクラムの理論やプラクティスを理解してもらうことで開発プロセス全体を改善しやすくすることが求められていると考えていますが、兼務していたときはここにも貢献が出来なかったと強く感じています。

SM になったばかりのとき、スクラムガイドについては目を通していましたが、それ以上のインプットや他の開発メンバーに伝えるために思案する時間をとれずにいました。実際にはスクラムイベントのファシリテーションなどを実施していない時間では、もう一方の役割の仕事を進めていました。結果として、「なんちゃってスクラム」や「ミニウォーターフォール」と呼ばれるような誤った取り組みを助長するような振る舞いに繋がっていたのではないかと思っています。

専任の現在では知識のインプット時間の確保はもちろんですが、 より中立的なファシリテーションのための準備作業や、組織がいま対応すべき課題は何なのか、どうすれば自己管理的なアプローチで解決に向かえそうか、などを人事や上長と考えたり、話す機会が増えました。

兼務していて嬉しかったこと

SM としての役割は全く発揮できていなかったな…と反省はありますが、人事考課では褒めていただくことが多かったです。
特に「実装も貢献してるけど、組織づくりも貢献してくれていますよね」のようなフィードバックは多く頂いた記憶があります(が、実際には組織づくりも片手間で、きちんと価値を出せていなかったのではないかと今は感じています)

専任 SM としての経験は、兼任時代と比べて視野が広がり、 SM としての価値をより発揮できていると実感しています。

今後どこかで「兼務で SM やって欲しい」と言われることがあるかもしれません。もし今の私に言われたら、兼務するくらいであればスクラム以外を採用するのも含めて、他に良い方法が無いか模索するのを提案すると思います。

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