LeSS 版スクラムガイドと 2020 年版スクラムガイドの比較と考察
こんにちはこんばんは。スクラムマスターの いのもえ です。
先週あたりに、 LeSS 版のスクラムガイドが発表されました。
LeSS morning の slack で見かけたやりとりから「決定版!!というよりは、初版といった温度感なのかな?」と想像しています。
スクラムガイドの方も年々改訂されていますから、少しずつ更新されるのかもしれないですね。
今回はこの LeSS 版スクラムガイドと、 2020 年版スクラムガイドを読み比べて、特に気になったところについて書いてみようと思います。
「スクラムチームは」という表現が「チームとプロダクトオーナーは」になっている
スクラムガイドのほうでは「スクラムチーム」と表現されているところが「チームとプロダクトオーナーは」となっている箇所を多く見かけました。スクラムチームといえばプロダクトオーナー(PO)、開発者、スクラムマスター(SM)の 3 者が含まれますが、 LeSS の方では SM が含まれてないことになります。
もともとのスクラムガイドでも、 SM だけは少し毛色が違う貢献の仕方だという印象は受けていましたが、明示的に除外されている意図は気になるところです。
チームの特徴について述べられている
個人的に、LeSS とスクラムの大きな違いはチームに求められる仕事の幅(e.g. PO を介さないステークホルダーとのコミュニケーションなど)だと感じています。LeSS の方は PO が 1 人に対して複数のチームが存在するため、 PO 1 人ではカバーしきれないのは当然かと思います。
これらの幅が広いことについて、「特徴(characteristics)」として明記されることで LeSS とスクラムの違いがよりわかりやすくなっていると感じました。
スプリントゴールの設定が明記されている
LeSS では最大 8 チームが開発にあたるため、スプリントに着手するアイテムが多様になることが予想されます。この前提を受けて、スプリントゴールを設定しても抽象的になりすぎてゴールとして機能しづらいことを理由に、 LeSS ではスプリントゴールの設定は任意である…と認識していたのですが、今回の LeSS のスクラムガイドでは、スプリントプランニングの項目で「スプリントゴールを定義する」と明記があって少し驚きました。
ゴールがあったほうが明瞭で良いと思いつつ、今までは設定したことがありませんでした。いま私が所属している LeSS チームには 3 つのチームが存在しています。そこまでアイテムが多様過ぎることにはならなそうなので、一度ゴールを設定してスプリントを運用するのも試してみたいと思いました。
プロダクトバックログリファインメントがスクラムイベントに含まれている
実際に LeSS のプロセスを運用してみると、プロダクトバックログリファインメントを任意のタイミングで実施することは難しいと感じていました。任意のタイミングで実施する場合「どこか 1 チームでのリファインメント実施」するという選択肢が挙がりやすいですが、実際に単一チームでのリファインメントを観察する中で、以下の課題をよく観察しました。
プランニングのタイミングでアイテムのキャッチアップ(受け渡しのムダ)や再リファインメントの要望が生じてしまう
リファインメントで想定していたものとは違う形で実現されてしまう
チームごとのサイロ化が進みやすい
また、これらの状況は SM や PO といった横断的に関わるロールが特に気づきやすく、チームの改善を促すのも少し難易度があるように感じます(自分で課題に気づいてもらいづらい)
その点「スクラムイベントなので」と言えてしまうのは、チーム横断での時間を設けるための説明時に便利そうだと感じました。
〆
発表された直後にさらっと読んだ際に末尾のサマリにも目を通したのですが違いがピンと来ず、久しぶりにスクラムガイドにも丁寧に目を通すことになりました。
スクラムガイドは読む度に新たな発見があるのですが、 LeSS のガイドにも同じ要素がありそうです。また期間を空けて確認してみたいです。
今回は 1 人で読みましたが、 2 人以上での読み合わせも楽しそうだなあ。
また、2 つのガイドを並べて線を引きながら読むのがわかりやすくてよかったです。次回もこのやり方をやってみようかな。
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