ストレスの身体への影響~胸腺への影響(ハンス・セリエ)
ストレスは、生きていく上では常に付き合っていかなければいけないものです。
人にストレス反応を与えるものをストレッサー(ストレス要因)と呼びますが、しんどいことや負担になること以外でも、クリスマスや旅行など楽しいこともストレッサーとなります。
『配偶者の死』=100
『離婚』=79
『夫婦の別居』=65
『クリスマス』=12
など、点数化されている場合もあります。
ストレスを受けると、人の身体はどうなっていくのでしょうか。
ストレス学説を唱え、ストレッサーの生体反応を明らかにしたカナダの生理学者であるハンス・セリエ(Hans Selye 1907- 1982)は、ストレスに対する人体の反応の時間的プロセスを3つの時期に分けました。
そして、セリエはストレス要因によって生じる人体の反応として
を見出しました。
今日は ① 胸腺の萎縮 について書いていきたいと思います。
胸腺、というとあんまり聞き慣れない方もおられるかもしれませんし、私も恥ずかしながら一応看護師として働いていてもあんまり意識したことがない臓器でした。
『子牛の胸腺』…字を目にしたことはあります。
口にしたことはありませんが。
大きさは思春期には最大の30~40g、その後は徐々に小さくなり成人以後は脂肪の一部のように見えるそうです。
子供が虐待を受けると胸腺が高度に萎縮することが知られており、法医学で被虐待児を判別する一つの指標となっています。
胸腺はTリンパ球と呼ばれる白血球を作っている免疫系の中枢臓器なので、萎縮すると身体の抵抗力は低下します。
そのため『ストレスをためると風邪を引きやすい』と言われ、実際に免疫力が落ちる原因になっています。
胸腺はストレス状態が生じると萎縮が起きますが、その原因が取り除かれると自発的な回復が起こります。
回復の程度は萎縮の原因になった刺激の程度によると言われており、あまりに強い刺激を受けた場合は完全に元の状態に回復することは不可能になります。
ストレスを長期にわたり受け続けている方もおられると思います。
だんだん慣れてきた、と思いながら仕事や生活を送る中でも、身体はストレスを受け続け、体調の変化が起こってしまったり取り返しのつかない状態になることもあります。
体調が良くないな、と思う時は、少し立ち止まって、頑張りすぎている現在の状況を見つめ直す時なのだと思います。
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