役人の恣意?

 特措法24条は「行政機関の権限、所掌事務、構造」などを規定する「組織法」で、作用法の部分は45条で定められている。緊急事態宣言が出た後、そのエリアの中で行う知事の自粛要請などだ。

 つまり、特措法24条では休業要請ができない。ただ、誤読の可能性がある。これは2012年の法制定時にパンデミックの経験がなかったため、条文を書いた担当者に具体的なイメージがわかなかったのではないか。また、この条文は、国民の権利制限に関する規定ではなく、どうせ都道府県の対策本部の話だからと言うので、厳密な書き振りにしなかったのではないか。

 もう一つ誤読されかねない理由は、24条が「都道府県対策本部長の権限」についての定めと書かれているからだ。しかし、これは知事が都道府県町以外の組織に対して派遣依頼をする権限だ。

 同条には知事が国に対して調整を要請したり、情報の提供を求めることができるとか、市町村とのことは知事が調整できるなどとも書かれていて、これも組織上の権限だ。

 混乱した原因は、特措法が制定された翌年に刊行されたコンメンタールに書いてある。これを執筆したのは担当部署の裏組織だ。法律が制定されると、担当加賀研究会などという架空の組織の名前を名乗り、条文ごとの解説を書く。査読はないため、間違いがまかり通ることもある。

 しかし、別の見方をすれば、政府の役人側に下心があり、この条項で何でもできるとしておいた方が便利だと、故意に解説を書いたのではないか。

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