見出し画像

歴史ある港町、佐良浜(さらはま) 〜漁師の生活編〜

 こんにちは!前回は【歴史ある港町、佐良浜(さらはま)】の前編をお届けいたしましたが、佐良浜でのお散歩気分は味わっていただけましたでしょうか?
 今回の記事ではなんと、スペシャルゲストとの対談をご紹介致します!そのゲストとは……私のおばあです!😂有名人や著名人でもなく大変恐縮ですが、生まれも育ちも佐良浜のネイティブサラハマン(笑)なので、面白い話をたくさん聞けるかと思います。おばあに電話して質問攻めのインタビューをしましたので、ぜひ最後までお付き合いください✨
 それではさっそく、佐良浜で暮らす私のおじいとおばあの暮らしを覗いていきましょう!

1. 漁師のおじい

 私のおじいは高校を卒業してすぐに南方漁業に行きました。その後、義父(私のひいおじい)と共に大工を2年ほどやった後、25歳から63歳になる現在までずっと漁師をやっています。
 おじいの仕事は夏と冬で漁の内容が異なります。漁とひと口に言っても、カツオ漁やマグロ漁、*アギヤー漁、モリつきや餌取り漁など様々で、私のおじいが仕事にしているのは主に「餌取り」「追い込み漁」「モリつき」です。

*アギヤー漁とは
 糸満(沖縄本島南部)の漁師によって生み出された沖縄の伝統的な追い込み漁のことを指します。水中に網を仕掛け、その網の中に6、7人の漁師でグルクン(和名:タカサゴ)を追い込む漁で、現在では佐良浜でしか行われていないようです(伊良部漁業協同組合HP参照)。

 NHKのホームページでアギヤー漁の映像を発見しましたので、「漁の様子を詳しく知りたい!」という方はこちらからご覧になれます!

 それではおじいの漁の様子を、夏と冬それぞれのシーズンで見ていきましょう。

夏の漁:餌取り
 夏の仕事はだいたい6月から10月末の間に行います。台風の日を除き、毎日休まず漁に出て餌取りをします。おじいたちがとっている餌はグルクンの稚魚で、カツオ漁をしている昇栄丸(しょうえいまる)という船が漁で使用するためのものです。
 余談ですが、昇栄丸が釣ったカツオは奥原鰹節工場という伊良部島の工場で加工され、島の特産品を扱っているお店『島の駅みやこ』や宮古島発祥のローカルスーパー『サンエー』などで販売されています。奥原鰹節工場が作った『みゃーくぶし』は楽天市場で購入できるようなので、遠方に住んでいる方もぜひお手に取ってご賞味ください✨(『みゃーくぶし』の購入ページはこちら

冬の漁:追い込み漁、モリつき
 10月が過ぎると餌取りはお休みし、追い込み漁が始まります。ただ、完全に餌取りはお休みというわけではなく、昇栄丸から餌をお願いされれば餌取りに行くこともあります。冬の間、船員の中にはもずくの養殖をしている人もいるようです。

特別な漁:スク(アイゴの稚魚)漁
 *旧暦の6月1日(新暦の7月上旬ごろ)、スクが寄ってくると言われている日にスク漁に出かけるそうです。スクは高値で取引されるので、当たれば大ボーナスになるそう。しかし当然ながら、はずれることもあるそうです。アタリかハズレかの特別な漁です。

旧暦
 今現在日本で使われている暦は太陽の動きを基準とした新暦(太陽暦・グレゴリオ暦)ですが、それまでは月の満ち欠けを基準にした旧暦(太陰太陽暦)が使われていました。
 実は佐良浜では現在も旧暦を使うシーンが多くあります。イタンタビューにておばあが「旧暦の6月1日」と言っていたため、本記事でもそのまま引用しております。

2. 船主のおじい

 私のおじいは、船主(船長)でもあります。船の乗組員はおじいを含めて6人。そのうちの2人は県外から宮古島に移住してきた方です。
 63歳のおじいを先頭に、30代が2名、40代が3名乗っています。おじいと一緒に仕事をするまでは他の船でアギヤー漁をやっていたり、ホテルで勤めていたり、配達員をしていたりと経歴は様々です。友人からの紹介もあればおじいが直接声をかけたり、*漁協からの紹介があったりして今のクルーが集まったそうです。

*漁協=伊良部漁協協同組合のこと

3. おじいの1日

 離島ライフをよりイメージしていただくために、おじいの1日も取材しました!

4:30AM  起床 (漁師の朝は早い…)
5:00AM  朝ごはん
5:15AM  自宅を出発。車で港に向かいます。
6:00AM  出航。近いポイントだと1時間ほど、遠いと3時間くらいかかるそうです。
9:00AM  港に戻ってきます。その後クルーは帰宅し、おじいは残ってエンジン装備をします。
9:00-10:00AM  帰宅。最近は帰りが早いので、「1日が長い」とぼやいているらしい(笑)。

それからの過ごし方
 網の修理(繕い)をしたり、港に行って漁師仲間と雑談したり、港を散歩したり、テレビを見るなどして過ごします。仕事で港に行くのに、仕事が終わってからもおじいの足は自然と港に向かうようです(笑)。リアルモアナ😂
 また、仕事に行けない日にはおばあの畑仕事を手伝ったりもします。

22:00AM  就寝

 おばあ曰く、おじいは時間に縛られない働き方を気に入っているみたいです。

4. おばあの1日

 これまで漁師のおじいのライフスタイルをご紹介しましたが、漁師以外の人はどんな生活をしているのでしょうか?私のおばあを事例に見てみましょう!

4:30AM  起床。おじいの朝ごはんを作るために、おばあもこの時間に起きます。おじいは船主なのでクルー5名分の朝ごはんも用意する必要があり、それはおばあが作ります。この生活を30年以上も続けているおばあには頭が上がりません。
6:30AM  サトウキビの畑仕事に向かいます
10:00AM  帰宅

それからの過ごし方
 録画していた韓ドラを観たり、橋を渡って市内まで私の妹たちを学校に迎えに行ったり、食材を買い出しにいたり、家事をしたりします。

11:00AM  就寝

 インタビューの最後に、「漁師の妻であることって大変じゃない?」と聞きました。

漁に出られないと収入はないから、子供がいる家庭とかは大変かもね。冬場は10日しか漁に出られないこともあるから収入は安定しないし、そのせいか年々漁師になる人は減ってきてるね。でも、漁師は時間に縛られないし、気楽。自分が頑張れば頑張った分だけ結果は出るし、いっぱい獲れた日にはすぐ帰ってこられる。
それでも危険を伴う仕事だから、大漁じゃなくてもおじいが毎日元気に海から帰ってこれたらそれでいいさ〜。

 最後にめちゃくちゃ素敵な話が聞けました👏💖

5. さいごに

 【漁師のおじい】の話、いかがでしたか?島外に住む人にとっては、この記事に書いた世界が「非日常」だと感じることでしょう。しかし私のおじいおばあにとっては、これが「日常」なのです。皆さんが想像する「離島ライフ」はどんなイメージでしょうか。TwitterやFacebook等でも、コメントをお待ちしております!
 昨日から2回に渡り「佐良浜」をご紹介いたしました。漁師の後継者不足が問題となっている今、漁師として生きていくことの素晴らしさをこの記事で少しでも感じていただければ幸いです!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?