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【基礎方言5選】 宮古島の方言その1

記念すべき第1回目の記事では、初歩的な方言5選をご紹介します!

1. いらっしゃい(んみゃーち)

 宮古島の方言で「いらっしゃい」は「んみゃーち」と言います。空港や街の商店街の看板に書かれているのが見えたら、それは歓迎の意を記しているので、旅行に行く際には履修必須な方言です!
 標準語話者からすると物珍しい「ん」から始まる単語です。小学生の時「しりとり」をすると必ず1人は「んみゃーち」で繋げてくる人がいました(笑)生粋の宮古島キッズにとって、『しりとりは「ん」で終わったら負け』という概念は少し違和感のあるものだったことでしょう。

2. ありがとう(たんでぃがーたんでぃ)

 「ありがとう」のことは「たんでぃがーたんでぃ」と言います。
 1つの意味を持つ単語に同じ単語が2つも登場するので、初見の方は少し不思議な印象を抱くことでしょう。宮古島の方言はこのように、「○○が○○」というように、1つの意味を持つ単語に同じ単語が2度登場する方言がいくつか存在します。

3. 最高(ずみ)

 「最高!」は宮古方言で「ずみ!」と言います。この方言は汎用性が高く、「最高」意外にも「いいな〜」や「可愛い」など、ポジティブな気持ちや感想を表したい場面で良く使われます。

4. 美しい/綺麗な(あぱらぎ)

 「美しい」や「綺麗」という形容詞は「あぱらぎ」と言います。お店の名前としても使われていたりと街中でよく見かける方言ですので、この意味を知っているだけで旅行がもう一段階楽しめること間違いありません✨
 宮古島のおじいおばあは非常にフレンドリーなので、突然「あんたあぱらぎお姉さんだね(あなた美人ですね」と言われたり、言われなかったり、、、(笑)もし言われた時のために、習得しておきましょう!

5. 負けてたまるか(あららがま)

 「あららがま」は言葉というよりは、「なんのこれしき負けてたまるか」という不屈の精神を表す方言です。沖縄の方言には、「なんくるないさ〜(なんとかなる)」のような精神を描写する方言がありますが、その一種だと考えて良いでしょう。
 小学生のバレーボールチームの横断幕に「あららがま精神」と書かれているところもありましたが、それは「負けてたまるか!」という負けん気を表しているんです。街中や日常ではあまり聞かない方言ですが、せっかくの機会なので覚えておくといいかもしれません♪

日常会話ではほとんど使用されていない方言

 ここまでで基礎方言5選をご紹介しましたが、実は宮古島の若年層はほとんど使用していないものばかりです。1つ目と2つ目の「んみゃーち」や「たんでぃがーたんでぃ」はほぼ死語と言っても過言ではありません。少なくとも私は宮古島に住んでいた15年間、この2つの方言が日常会話で使われているシーンを1度も見たことがありません。それでもまだまだ宮古方言としてメジャーな地位を築いているのは、観光業が盛んになり「観光客向けのサービス」の一つとして方言が定着してからでしょう。
 3、4番目の「ずみ」「あぱらぎ」は、かろうじて中年層やお年寄りが使用している場面を見たことがありますが、若年層が使用しているところはあまり見かけません。
 5番目の「あららがま」に関しては、先ほど紹介した横断幕のような特殊な場面では使用されていますが、日常会話ではほとんど聞きません。

さいごに

 実は宮古島の方言は、2009年にユネスコによって消滅危機言語に指定されています。消滅の危機が最も高いものから「極めて深刻」、「重大な危険」、「危険」、「脆弱」の4つの分類があり、宮古方言はその中で3番目に高い「危険」に分類されています。
 先ほど記載したように、宮古島の中でも全く使われなくなってしまった方言は存在し、その数は今後も増える一方だと予想されます。このマガジンでは、その危機を回避するために少しでも役に立てればという想いから、今後も宮古島の方言をご紹介していきます。
 次回の記事では【若者がよく使う方言5選】をご紹介します!お楽しみに!


おことわり
本記事は筆者が実際に話していた言葉や見聞きした事に基づいて作成しております。専門家による監修等は行われておりませんので、学術論文の執筆や学術研究を目的とする本記事の引用、参照等は推奨出来かねます。予めご了承ください。

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