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きっとこの坂道は青春になる

保育園から自宅への帰り道に、長い上り坂がある。上り坂と行っても緩やかで、歩き始めの約1歳半の娘でもゆっくり歩いて登れるくらいの坂。

その坂に面した場所に、滑り台だけがポツンとある小さな公園があって。歩いて帰れるようになってからは「こっち」と指さして娘が公園の方向へ先導して歩いていく。

早く帰って家事やらなんやら済ませたいんだけどな…と、なかなか登りきれない坂を一瞥しつつ娘の公園遊びに付き合う。


若き日の自分は、この青春が尊いものだと気付かずただただ日々を消化していた。楽しいこともあったし、今思えばくだらない悩みで随分悩んだもんだ。

今の自分はこの尊い日々が永遠ではないことを知ってる。

私としては日常の帰り道でも、歩くということをついこの間身につけて登降園しはじめた娘からすれば、この坂道や公園はきっと大冒険で。

大冒険する娘を眺めること。自分ではない娘という存在の成長を感じること。これは大人時代の新しい青春なんだと思う。

家事は娘が寝てからやればいい。

凝った晩御飯が作れなくても、娘の心から楽しそうに遊ぶ姿をみていたい。

娘が成長して自分で学校なんか行くようになった日には、2人で毎日手を繋いで登った想い出の坂をみて私は泣くだろう。大きな声で「ひこうき!」と指を指して見上げた空をみて寂しい気持ちでいっぱいになるだろう。私を頼ってくれる日々なんてほんの一瞬で過ぎていく。青春は戻らない。

だから今この新しい青春を全身で感じること以外、私にやりたいことなんて、ない。

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育児日記

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