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#170 公民連携しなくっちゃ!と考えすぎると起こること

「公民連携」という言葉が普通にまちづくりを語る時に使われるようになってきました。いいことなんですが、ちょっと気になることが続いたので、触れてみたいと思います。


都市経営プロフェッショナルスクールの様子

もう10年目に入るこの社会人スクールは、「自前主義」「自分の頭で考える」「ゼロからイチを生み出せる力」を養成するスクールです。
「公」を理解する「民」と「民」と組むことができる「公」が、新しい公共を創出できるのか?全国で一気にこういった取り組みを展開できる人財育成を目的として設置されたと思っています。
また、このスクールそのものが、毎年毎年内容をバージョンアップさせていて、今年は開講合宿を小倉で行ないました。受講生は、開講合宿の前からオンライン動画の視聴レポートと課題図書のレポートを毎週こなしてきている上に、小倉の下調べをした上で参加しています。
まずは、「圧倒的なインプット」と現場での「身体性を伴ったセンサー」の鋭さを求められるわけです。本当に大変なんですが、この数ヶ月で多くの受講生が明らかに、今までの自分の人生を問い、社会への向き合い方が変わってきています。
その様子を、受講生がnoteにまとめています。note記事を書くことも、ぐわぁ〜っと頭に入ってくる情報を自分のものとして定着させるための訓練なんですが、いやぁ、読んでる私が身につまされる内容もいっぱいです(笑)
コーチとして参加することのプレッシャーを感じてしまいます。
大丈夫か、私?(笑)興味のある方は、読んでみてください。

「公」と「民」の関わり方のグラデーション

私は、このnoteは学校給食をテーマに書いているのですが、都市経営プロフェッショナルスクール(前公民連携プロフェッショナルスクール)に受講生として参加しているときは、行財政改革が担当で、公共施設ファシリティマネジメントにのめりこんでおりました。懐かしいw
それが、今は学校給食がライフワークみたいになりつつあったりして、本当に人生というのはわからないものですよ。なので、自分の人生を世間を知らない自分の狭い枠に閉じ込めずに考えた方がいいこともあるわけです。見通しを持って頑張ることは大事ですが、その見通しが預言者でもない限り、外れる確率が高いということを前提に何事も考えた方が、精神的に楽だと思います。

さて、「公民連携」と言いながら、プロフェッショナルスクール受講生から生まれた事業は、数百件にのぼると思うのですが、どれもユニークなものばかりで、行政と民間の関わり方というのは、事業を組み立てていきながら、お互いに何ができるのか、何ができないのか、を整理していくことになるんですよね。ここで、大事なのは事業が市場に向き合う限り「民間主導」が原則となるということです。人口減少社会の財政構造がどうあるべきか、というのは「税金頼み」から脱却して、なおかつ持続可能性の高い事業ができる環境を作り出すことだと思います。

下の図は、公民連携(PPP)の説明でよく使われる図です。行政が予算措置をしている事業にどれくらい民間事業者が関わっているのか、という説明をしているのですが、これ「公共性の高い事業は行政がやる」前提なんですよね。間違いではないのですが、いやいや、民間事業者が公共性の高い事業いっぱいやってますよ〜!!逆に行政が民業圧迫してる事例とかもいっぱいあるでしょう。
公民館講座、美術館、交通、教育などなど、どこまでが行政がやらなければいけないのか。。。こういう社会的構造を変えるタイミングに今あるから「公民連携とは何か?」を問うわけです。
やはり、大事なのは「市場と向き合い、民間主導を原則に考える」ことだと思います。

NPO自治経営スキルセットスクール講義資料から

「行政と組まないと!」と考えすぎないで欲しい

コーチとして、さまざまな事業に触れる機会をいただいていて、最近感じていることがこれです。何かしら行政と組まないといけない、と行政マンと積極的に繋がろうとして、繋がらない事例が結構あるわけです。

行政マンと一緒に組むことが公民連携だと思っているとしたら、そこから入ると間違うことも多いわけです。行政ほど、関係者が老若男女、多くのクレーマーも抱え、調整が難しい組織はないのではないかと思います。納税者は別にそこの自治体行政に惚れ込んでお金払ってるわけではなくて、義務的に払っているわけです。いいサービスを提供しようがしまいが、納税額と連動しないシステムなのだから(このシステムが悪いから変えたいという話ではありません)、そういう相手に「熱い思い」とか「正しさ」とかを語って説得して連携するというやり方はなかなか通用しないわけです。

「行政にビジョンを示してもらいたい」とか「まずは行政が方針を出してもらわないと事業ができない」とかいう話を、最近聞くことが多いです。民間事業者の方に伝えたいのは、「まずは自分が体現して見せて、行政(首長)を勝ち馬に乗せる」か、「行政が長年困っている大きな課題に踏み出す事業をやる」、のどちらかでないと、真の公民連携事業にはなかなか到達しない、ということです。
岩盤組織と言われる行政組織を外部が変えよう、なんてことがそもそも無理ゲーなんです。
下手に行政を頼ると、時間がかかったり、ハシゴを外されたりすることは、十分ありうる話で、行政はそれに対する言い訳カードは山のように持っています。そこは、本当にある意味プロフェッショナル(笑)です。
これは、今の政治行政のシステム上、どうにもならない部分なので、どうかそこで無駄な闘いをしないで欲しい、というのが私の思いです。

別に、行政というのは「全体調和」が大事なだけで、「絶対イヤだ」とかいうほどの明らかな意思を持たない組織なのです。受け入れやすくて、説明しやすくて、乗っかりやすい状況をいかに作っていけるのか、ということなので、首長や議員の動向などをみながら、やれることを考えていけばいいと思います。

行政もわかってなかったりするから、厄介なんですよね

いろんな計画、指針、方針とかを行政もコンサルに丸投げしたりしてますよね。なんで、よそ者が方針とか作れるか、本当に不思議なんですけど。
「まずは方針を!」の撲滅運動したいわ(笑)
方針とかを作ろうとするから進まなくなるんです。
やってみないとわからないので、調査して、自分なりの見立てを持って、小さくやってみて、検証して。。。。それでやっと方針ができるようになるわけで、方針ができる時には、その実現のためのプロジェクトが明確になっていて、ロードマップも書ける状態になっているはずだと思います。

何にもわかってないのに、構想策定委託料を予算要求する、なんてことが起こるわけですよ。そして議会とかで「わからないから、コンサルに委託する」と説明して、予算がついたりする(笑)

「公民連携」したいがあまりに、こういう行政と連携しようとすることは、慎重に考えた方がいいな、と私は思います。行政というのは、首長をトップとする組織なので、選挙結果に振り回されたりもしますが、それぞれカラーがあって、職員の動きや情報公開のレベルを見ると、民間事業者と組める行政かどうかはだいたいわかります。
「公民連携」というのが事業目的にはなり得ないので、そのあたりはシビアに考えましょう。


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