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2023.3.5 ヒト・コト・トーク#5@KOI PLACE(西広島)レポート

宮島線の沿線で活躍する方々をゲストにお招きするトークイベント「ヒト・コト・トーク」。
前回は、廿日市の木材を通じたものづくり、けん玉の普及のことや、無印良品の広島アルパークのこと、「土着化」のことについてお話いただきました。(第4回レポートはコチラ
5回目(2023年3月5日)となる今回は、大諭海産代表の大可さんと木村海産の木村さんと一緒に、広電西広島駅隣のKOI PLACEにて「よいもの市」が賑わう中、開催しました。
昨年、開業100年を迎えた宮島線。草津駅から西広島駅まで線路がひかれたきっかけは、草津の海産物を市内中心部へ運ぶためだったとか…。

大可勇さん

一人目のゲストは大可 勇さん。
大諭海産代表としてかき養殖稼業に励む一方で、「草津かき小屋」のオープンを手掛けるなど、仲間と共に自社の運営、小屋を通じて草津かきのメジャー化、小屋事業の拡大、草津港の観光地化を目指すなど精力的に活動されています。

ー普段のお仕事はどういったことをされているんですか?

今は、草津でかきの養殖とかき小屋の運営を主に行っています。また、約10年前に立ち上げた草津かき小屋では組合長として、かきをもっとたくさんの方に食べていただきたいという思いから木村君とも一緒にイベントの企画等をしています。

ーかき養殖業に就職されたきっかけを教えてください。

もともと実家がかきの養殖業を営んでいて、大学卒業後は親の勧めで、名古屋で水産業の会社に就職し、3年間社会勉強をしました。いきなり家業を継ぐよりも一度社会へ出て、人との付き合い方、人をどうやって使っていくかを学ぶための期間として過ごしましたね。広島へ戻ってきてからは、実家の会社に入り本格的にかき養殖の修行が始まりました。初めは、自分が扱ういかだの場所を覚えるところから始まり、自信をもって一人前だと言えるまでには10年かかります。いかだから落ちることも頻繁にあり、落ち方によっては肋骨にひびが入ることもありました。しかし、かきが思いがけない成長をしていると嬉しく思います。

ーかき養殖業は時代の流れと共にどのように変化していますか?

かきの養殖が始まって500年経ちますが、技術も時代に沿って進歩しています。現代は、まだ人力に頼る部分が多いのですが、効率よくかき養殖業を行うためには、これから機械化を図る時期に差し掛かっているのではないかと思います。
また、気候も時代の流れと共に変化しており、近年は「梅雨短く夏長く、秋無し冬到来」という状況が続いています。夏が長いと高水温になり、かきも人間と同じく暑すぎると体力がなくなるため、かきが死んだりとダメージが大きく、悩みました。弱ったかきを元気づけようと工夫をしましたが、自然相手のため、できること、できないことがあります。

ー「かきをもっとたくさんの方に食べていただきたい」ということから、「草津かき」の将来はこうなってほしい、とかってありますか?

僕らの世代だと、免許を取ったら「山賊」へ行こうという流れがあったんですよ。これからの若い子たちが、免許をとったらかき小屋に行こうとなればいいなと思います。例えば「山賊」にならってこちらは「海賊」と名乗り観光地のひとつとなるのもいいですね。かき小屋の目の前は草津漁港で、正面には宮島が見える、いいロケーションでもあるのでそういう取り組みもしてみたいです。


木村 健太郎さん

二人目のゲストは木村 健太郎さん。
⼤学卒業後、かき産業の後継者として草津かきの養殖事業をスタート。草津かき⼩屋組合にも積極的に参加し、組合⻑と⼆⼈三脚で地域の観光地化、地産地消の促進に尽⼒。地元のみならず、幅広いかき流通網を持っており、将来のかき養殖産業を見据え、養殖技術の見直しや、イベント企画など幅広く活動されています。

ー今のお仕事についてお聞かせください。

今は後継者としてかきの養殖を行っています。扱っているかきは「生き物」であり、台風や気候変動などの自然災害にも備えるため、なるべく目を離さないように気を付けています。
かき養殖業のやり方の基礎はありますが、先代の経験や水産振興センターの方のアドバイス、歴史を見ながら毎年異なる気候や条件に対応しようとしていますが、とても難しいです。しかし、かき養殖業の方々と協力しながら頑張っています。

ーかき養殖業に就いたきっかけは何ですか?

もともと、両親がかきの養殖業をやっていたので子供のころから自分自身も頭のどこかでかきに携わって行くんだろうと思っていました。どうせやるなら、1年でも早く色々な経験を積もうと思い、大学卒業後すぐにかき養殖業に就きました。この仕事に就いて20年程経ちますが、当初は「見て覚え、技術は盗め」という世界観で行っていたので常に技術、やり方、コツを少しずつ学んできました。特に、広島県はかき産業が盛んになったきっかけでもある「かきの養成を自然裁量できる」という利点があるので、海中に浮遊するかきの赤ちゃんを上手にキャッチする技術は10年、15年かけて少しずつ身に着けました。

ーかき養殖に携わる中で嬉しさを感じる瞬間を教えてください。

良いかきができた時は単純に嬉しいですし、かきを美味しく食べてもらうのも嬉しいです。イベントに出るのも楽しいし、作業の一つ一つに嬉しいことがありますね。また、お客様の頭の中にある、かきの旬の時期に合わせて養殖を行うことが非常に難しいです。年ごとに、身が育つのが遅かったり早かったりする中で、どのようにしたら目標とする日までにかきが育つかを毎日考えています。自然が相手なので、見当違いなことが起きることもありますが、これまでの経験を活かしてかきを養殖し、お客様へ提供できた際はホッとします。

ーそもそも、草津で漁港が発達したのはなぜですか?

太田川放水路と八幡川から伝ってくる山の栄養分が草津の地先にある津久根島にぶつかり、県内屈指のかきの生育地となっているからだと思います。そのためかきの生育はほかの地と比較してよいのかなと感じています。草津のかきが一番だと言いたいところですが、他業者も様々工夫をされているので、僕らも漁場が良いからとふんぞり返るのではなく、一生懸命、養殖業に励んでいます。

ー広島の海はきれいになりすぎてかきが育たない、という話を聞いたことがありますが、どのような影響があるものでしょうか?

きれいな海、例えば、透き通っていて、海水浴ができるような海を想像してみてください。そういった海がなぜきれいかというと、植物プランクトン、動物プランクトンなどの微生物がいないからです。つまりこのような海は生物が育ちにくい海ということになります。きれいな海であると同時に、生物が住みやすい豊かな海になってほしいなと思います。

ー観光地化・地産地消など草津かきの普及について取り組んでいることを教えてください。

草津港はかきもあるし、食肉市場、魚市場、青果市場もあります。広島中の美味しいものが集まっているところなんです。国外、県外、もちろん広島の方も、おいしくてコスパのいいものをいつでも食べられるような観光地を作っていきたいなという第一歩としてスタートさせたのがかき小屋です。今後も継続していって、広島と言えば、広電に乗って、商工センター入口で降りて、草津港に行くぞ!というように観光地化していきたいと思っています。商工センターから草津港の道中も美味しいカキフライのお店もありますし、草津はかまぼこも有名なんです。がんすやにぎり天も美味しいですよ。かまぼこ屋さん巡りとかしても楽しいかもしれません。そういうことが盛んになればなるほど、地産地消にもつながるのだと思います。広島の一次産業がもっと活性化できたらいいですよね。

ーかき小屋ではイベントもされてますよね。

来られるお客さんもかきの美味しい時期を知っているので、ありがたいことに、1月後半から3月中旬にかけてたくさんのお客さんに来ていただいています。毎年3回から4回ほどかき小屋でイベントをしている甲斐あってか、草津かきのことを認知していただけていると感じています。かき小屋を中心にして生産者の僕たちが普段できないようなこと、例えば、殻付きかき詰め放題、1キロピッタリだったらキャッシュバックなど、全く商売っ気のない(笑)イベントをしています。商工センターの美味しいものが集まるイベントとなっているので、ぜひ来ていただきたいなと思います。

宮島線についてヒトコト

最後にお二人から宮島線についてヒトコト。
大可 勇さんからは「古きときを知り、未来へ」
木村 健太郎さんからは「おいしいたのしい!!宮島沿線」というヒトコトをいただきました。

ヒト・コト・トークは、宮島線の沿線で場所を変えながら毎月開催していく予定です。
次回は2023年3月28日(火)、会場はKendama Shop Yume.です!
詳しくは、コチラをご覧ください!


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