![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/45521804/rectangle_large_type_2_5cd39f5302daf54cb41f7eb31b3d2bc0.jpg?width=800)
遠い記憶 第二話
微かな、記憶をたどり、
私の目の奥に、残る映像は、
角部屋の、窓越しに見える行き交う、人達。
棚に並ぶ、微かなタバコの匂い。
子供らしく、大きな声で騒ぐ事や、泣く事は無かった様に思う。
むしろ、
大人しく、人見知りであった。
それでも、特に、何かに困ったと言う訳でも無い。
祖母は、何時も着物を来ており、
良く、チクチク針仕事をしていた。
私は、直ぐ傍で、飽きる事も無く、
針を動かす、祖母の手元を見ていた。
布地の上を、チクチク動く針は、まるで自由自在に、泳いでいるかの様に、
見え、まるで魔法の様にも思えた。
祖母の、右手の中指の第一関節が無かったのを、
子供ながら、不思議に思っていたが、
何故か、聞いてはいけない様に思った。
しかし
何か、足りない。
父と言う、存在。
母と言う、存在。
其の頃の、私に理解するには、小さ過ぎた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?