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遠い記憶 第一話

東の道路と、南の道路の角の家。

両面に面した窓、

その脇に無数のタバコが並ぶ、

窓の外には、人が行き来する。

六畳ほどの、部屋だったろうか

真ん中には、おこた。

その奥にも、六畳ほどの座敷、

その間に、玄関 おこたの北側に台所と土間

その北側に、五右衛門風呂。

祖母が、ほら食べんねと、食パンを焼いて

マーガリンに砂糖をまぶし、塗ってくれた。

祖父は、優しく目を細めていた。

ただ、

父と言う人の姿は無かった。

母と言う人の顔も無かった。

それが、私の記憶の始まりである。

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