見出し画像

成長期における腰痛の正体とは

画像6

小学生から高校生の成長期にスポーツをしていて腰痛になった経験は一度はありませんか?

実は成長期の腰痛を放置してしまうと大人になっても腰痛に悩まされてしまう可能性があるのです。

私が関わるスポーツの現場でも腰痛を訴える成長期の選手は多く、痛み我慢してかなり重症化してから相談してくる選手が多いのも事実です。


画像11


実は成長期に起きる腰痛は背骨の疲労骨折、いわゆる腰椎分離症という背骨の疲労骨折の可能性が潜んでいます。

この腰椎分離症を放置してしまい、成人になっても腰痛に悩まされることは決して少なくありません。

では育成年代で腰椎分離症とはどんな怪我で、防ぐためにはどんなことが必要になるのでしょうか?


腰椎分離症とは?

画像12

腰椎分離症は腰椎と呼ばれる腰の骨の疲労骨折を指し、小学生から高校生にかけて発生する成長期に多い代表的な腰の怪我です。

腰椎分離症が発生する要因として、成長期の発育段階にある腰椎に対して腰を反ったり、捻ったりする動きが繰り返されことにより発生します。

野球のスイング、サッカーのキック、バスケットボールやバレーボールでのジャンプなどが挙げられます。


腰椎分離症の段階

腰椎分離症は腰椎の骨折の程度に合わせて初期、進行期、終末期といった段階に分けられます。

画像7


初期と進行期の段階で診断され、スポーツを休止し適切な治療を行えば、骨が癒合(骨がつく)する可能性は初期で約90%、進行期で約60%程度となります。

しかし、最も重症度が高い終末期の段階では骨が癒合する見込みが少なく、成人になっても腰痛が発生してしまう可能性が残ってしまいます。


腰椎分離症の症状

腰椎分離症の代表的な痛みとして腰を反って捻った時の痛みが挙げられます。

特に腰の中央にピンポイントで痛みを訴えたら要注意です。

反る動きを伸展、捻る動きを回旋とよばれ伸展・回旋の負荷が腰椎にかかることで腰椎には過剰な負荷がかかり腰椎分離症へとつながってしまうのです。

MEMO|腰椎分離症に多い症状
伸展、回旋した時のピンポイントの腰の痛み

画像5

また一時的に症状が改善と再発を繰り返すこともあり、痛みを我慢をしてスポーツを続けてしまうと徐々に骨折が進行してしまい骨の治癒が見込めなくなってしまう可能性もあります。

腰椎分離症の初期段階ではレントゲンに写らないこともあり、発見するにはMRIやCTなどの精密検査が必要になります。

レントゲンに写った場合にはすでに骨折が進行している可能性があり治療が長引き、結果的にスポーツ復帰まで時間を要してしまいます。

腰椎分離症の症状がみられた場合には早急に整形外科など医療機関を受診することが必要になります。

画像4


腰椎分離症になりやすい姿勢とは

腰椎分離症になりやすい普段の姿勢を観察することも重要になります。

腰椎分離症は腰椎に対して伸展や回旋の負荷が過剰になり発生します。
そのため姿勢によっては負荷がかかりやすくなることがあります。

気付けていきたい2つのタイプの姿勢について紹介していきたいと思います。

①骨盤前方タイプ

画像2

骨盤が前に出てしまうパターンでは腰椎分離症が発生しやすい腰椎の下の部分に対して反るような負荷が高まります。

このような姿勢の場合には、腰を捻る動作が加わることにより腰椎には過剰に反る、捻る負担がかかるため注意が必要になります。


②反り腰タイプ

画像3

もう一つのパターンでは上半身が下半身に対して前に出ていて腰が反っている姿勢です。

いわゆる反り腰で上半身が下半身に対して前方に出ていている姿勢となります。

この姿勢では腰が反っているため、腰椎全体に対して伸展の負荷がかかりやすい状態になります。


腰痛セルフチェック

では実際に腰痛がある場合に腰椎分離症の可能性があるかを簡単にセルフチェックの方法を紹介してい。

前述した通り腰椎分離症では腰を反って捻る動きで痛みが強くなる傾向があります。

動画のように腰を反りながら捻って痛みが強くなる場合には要注意です。

腰痛分離症のセルフチェック


腰椎に対する伸展・回旋の負荷が高まる原因としては隣接する背骨の胸椎と股関節の影響があります。

この二つの動きが悪くなってしまうと腰椎に対する負荷が高まる原因となります。

回旋


また下半身の柔軟性の低下があることが指摘されています。太ももの前と裏の柔軟性の低下は骨盤の動きを制限し、先ほど説明した骨盤前方タイプと反り腰タイプにつながる可能性があるため注意が必要です。

お


ここで紹介したチェックあくまでも簡単なチェックになります。

長引く腰痛の場合には必ず医療機関を受診して医師の診断を受けることが推奨されます。


腰椎分離症予防トレーニング

先述した通り腰椎分離症には、胸椎と股関節の動きを改善することが有効であると考えられます。

そのため予防の観点からも日常的に胸椎と股関節をトレーニングして腰椎分離症にならないための身体作りをすることが大切です。

胸椎に関するトレーニングについては前回の記事で詳しく解説していますので参考にしていただければと思います。

前回の記事でも紹介した胸椎のトレーニングをいくつかご紹介します。



胸椎トレーニング

胸椎伸展トレーニング

胸椎回旋トレーニング



YouTube



股関節トレーニング

股関節は骨盤と太ももの骨である大腿骨によって構成されます。

股関節トレーニングのポイントとしては固定された大腿骨に対して自由に骨盤を動かせることが挙げられます。




YouTube


まとめ

成長期に腰痛を感じた場合には早期に医療機関を受診し、医師の診断を受け、状況に応じた適切な治療やトレーニングを受けることが非常に重要だと考えています。

腰痛の原因がわからない状態で我慢し続けてしまうパターンがかなり多いと感じます。

スポーツ活動はおろか、日常生活にも支障をきたす状態まで我慢してしまう選手も少なくはありません。

初期の段階での対応が結果的に早期のスポーツ復帰に繋がります。

スポーツ活動の参考にしていただければ幸いです。

最後までご覧いただきありがとうございました。

マガジン紹介


L-tra.|スポーツ選手・指導者向けマガジン
スポーツ選手に必要なトレーニングやケアについて理学療法士・柔道整復師・日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナーが解説!
スポーツ選手に必要なリアルな情報を発信中!


ライタープロフィール

画像10


Twitterアカウント|https://twitter.com/ymiyaji0419

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?