熱中症は防げる!正しい水分補給できていますか?
はじめまして。
まずはこのNoteをご覧になっていただきありがとうございます!
千葉県松戸市のメディカルフィットネスで柔道整復師・トレーナーとして勤務している
宮田洋佑(ミヤタ ヨウスケ)と申します。
メディカルフィットネス以外では
千葉県内の男子バスケットボール部にもトレーナーとしても帯同をしています。
このnoteでは私が育成年代のバスケットボールにおける
怪我の予防・パフォーマンスアップ・健康管理のために必要な知識を
選手・指導者の方向けに解説していきたいと思います!
まず初回の今回は
熱中症予防の水分補給について解説していきます。
暑さが厳しくなるこの季節最も注意しなくてはいけない熱中症。
熱中症は死につながる危険な障害です
熱中症は
「少し休んで回復すれば練習に戻る」
「練習中に水分を取っているから大丈夫」
と思っている人はいませんか?
特に練習を頑張りすぎてしまう真面目な選手ほど無理をして続けてしまいます。
熱中症も怪我と同じく、予防することが重要です。
まず熱中症予防で一番簡単にできることは適切な水分補給です。
「水分補給は大切だけど具体的な方法まではわからない」
「練習中に水分補給はしていたけど終わったら体調が悪い」
こんなことが思い当たるのであれば熱中症にかかるリスクは高いといえます。
正しい熱中症対策をすることは夏のスポーツをする上では非常に重要です。
1.水分補給の必要性
水分は体温を調節する役割があります。
熱中症は体温を下げることができずに体温が上がり続けることで発症します。
人間は体温が高くなると発汗をして気化熱を奪い体温を下げます。
発汗は
有効発汗:蒸発することで気化熱を奪い体温を下げる
無効発汗:ダラダラと流れる汗。体温を下げる効果がなく水分が消失する
この2種類があります
有効発汗が減り、無効発汗の量が増えると
脱水の状態となり、体温を下げることができずに熱中症になってしまいます。
人間の体は60%が水分で占められており
水分の減少が2%を超えると
めまい・吐き気・ぼんやりするなど様々な不調きたします。
熱中症を防ぐためには運動前後の体重減少を最小限にすることがポイントになります。
例)体重60㎏の選手
運動後に58.8kg以下であれば脱水の可能性が高い
2.熱中症の種類と重症度
次に熱中症の種類と重症度について説明していきます。
熱中症とは
『暑さによって生じる障害の総称』であり病名ではなく
重症度によって4つに分けられます
重症度別の対応として、
Ⅰ度は現場にて対処可能な病態、
Ⅱ度は速やかに医療機関への受診が必要な病態、
Ⅲ度は採血、医療者による判断により入院(場合により集中治療)が必要な病態である
(引用 熱中症診療ガイドライン 2015 日本救急医学会より)
と記載されています
ここで大切な事は
熱けいれん・熱失神が疑われる場合にもその日はプレイを中止することです。
ガイドラインには対処可能と記載はありますがプレイ継続可能ということではありません。
「足がつったからストレッチをしていれば大丈夫」
「立ちくらみがしたけどすぐに治ったので練習に戻る」
こういった考えは状態を重症化する引き金になります。
選手自身も指導者の方も体の異変にいち早く気付き、勇気をもって休むことが重症化を避けることにつながります。
3.熱中症を防ぐ水分補給のための3つのポイント
①体重を把握する
まず水分補給をするうえで自分の状態を知る必要があります
熱中症を防ぐためには
練習量前後の体重を2%以内に水分減少を抑える
ということがカギになります。
体重減少を抑えるためには
日常的に体重を把握しておくことです
普段の体重を把握しておくことは脱水だけに限らず、体調管理の目安にもなります。
夏になって体重が減っている選手は練習量の増加により脱水状態が続いている恐れがあります。
②運動前後での水分補給
2つ目は運動前後での水分補給をしっかりと行うことです。
運動中の水分補給はほとんどの選手が実施できています。
しかし、熱中症を防ぐためにはそれだけでは不十分で、
運動前から水分が満たされた状態にして、運動後には失われた水分を更に補給します。
脱水を解消するには水分を摂取して40分以上の時間を要します
大量の発汗で失った水分と同量を摂取することは難しいので、
運動前から積極的に水分補給をして、
運動後も体重を戻すようにしましょう。
≪運動前後での水分補給方法≫
*運動前:1時間前に500㎖の水分をとる
*運動中:1時間ごとに1000㎖の水分を4回に分けて飲む
*運動後:運動前の体重に戻るように回数をわけて水分を取る
※寝る前までに体重が戻っていればOK
③塩分補給
最後に合わせて補給したい塩分について。
運動時には汗により大量の塩分が失われます。
汗を大量にかくことで体の塩分濃度は薄くなり、水だけを摂取した場合、濃度は更に薄くなり低ナトリウム血症を引き起こしてしまいます。
失われた塩分を補給するためには水ではなく、塩分が含まれているスポーツドリンクを飲む必要があります
摂取する塩分の目安は
100mlあたり食塩濃度が0.1〜0.2%が推奨されています。
(熱中症診療ガイドライン 2015より)
体液は0.9%の塩分濃度のため水の吸収には浸透圧が関係し
それより低い塩分濃度でないと吸収されにくいのです。
塩分補給といって過剰に取りすぎることがいいわけではないのです。
ドリンクの塩分濃度についてはラベルで確認することができます。
栄養成分表示の
食塩相当量という項目です
アクエリアス
この塩分相当量は100㎖当たりの塩分量を示しているので
一般的なスポーツドリンクでは100㎖あたり約0.1~0.2g
経口補水液では約0.3gの食塩が含まれています
写真にあるアクエリアスでは100㎖中に0.1gの食塩相当量なので
塩分濃度は0.1%程度と推測することができます。
しかし塩分が入っていればどんな飲み物でもいいわけではありません。
水分が吸収されるには糖分濃度も関係しており、糖分、つまり炭水化物が多い飲み物は吸収されにくくなります。
水分補給の際の糖分は3〜6%が適しています。
スポーツドリンクでは各メーカーによって差はありますが、だいたいはこの範囲に収まっています。
ジュースなどは糖分がこれより高いので水分補給には適しているとは言えません。
糖質の確認も塩分と同じく栄養成分表示で確認できます。
炭水化物が
100mℓ中に5g入っているとすれば糖質の割合が約5%と推測できます
ドリンクを選ぶ際の比較になるのでぜひ確認してみてください!
まとめ
・熱中症予防のためには運動前後の体重減少を2%以内に抑える
・熱中症を疑ったらプレイは中止する
・塩分を補給するためにスポーツドリンクを飲む
さて今回は熱中症予防の水分補給を中心に解説させていただきました。
ただ漠然と水分補給をするのではなく、計画的に水分補給を行うことで熱中症を防ぐことはもちろん熱中症の悪化を防ぐことができます。
水分補給は誰にでも簡単にできるコンディショニング方法です。
熱中症の予防だけではなくパフォーマンスを100%の状態を発揮する上でも欠かすことのできない重要な要素です。
適切な水分補給で厳しい夏を乗り切り、バスケットボールを安全に楽しんでいきましょう!
最後まで長々とご覧いただきありがとうございました!
参考図書・資料
・日本スポーツ協会公認アスレティック専門科目テキスト⑨
スポーツと栄養
・熱中症診療ガイドライン 2015 日本救急医学会
・基礎から学ぶ!スポーツ栄養学 鈴木志保子
ベースボール・マガジン社
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?