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母から来た書留

「ひろよさん宛に書留です。」

「はーい」と返事はしたものの

覚えがない。はて、どこからだろうと思ったら母からだそうで。何なんだろ?と思いつつ書留を受け取る。


あの人からろくなものが来たためしがないので恐る恐る開封。


何やらコピー用紙数枚とノートの切れ端が2枚入っている。ノートの切れ端は、あの人がいつももったいないからと便箋代わりに使っている。


コピー用紙はどうやら以前私が母に送ったものらしい。日付をみると2012年となっている。12年も前のをよく無くさずに持っていたものだ。物をなくすのが得意な母にしては上出来というべきか。


内容はというと、

私はとっくに忘れていたけど、母への恨みつらみを書き綴ったもののようだ。そういえばあの頃、母のあまりの無神経さに一時連絡を絶っていたので、たぶんその頃のものだろう。


ま、無神経なのは元からだけど(笑)


見ると私がパソコンで打ち出した文章の横に、まるで添削みたいに鉛筆で色々書き込んである。読むとムカつくだけだから読まないけど、何やらびっしり書いてある。スルーしてノートの切れ端のメモ書きを見てみる。


昔から、何のことかよくわからない文章を書く人。今回もそうなので斜め読みする。


すると文中に

「もう諦めました」とか

「もう切ってください」とか

書いてある。


どうやら私に対する執着をようやく手放す気になったらしい。たった一人の肉親ではあるけれど、だからどうだと言うのだ。私が65歳、母が97歳。長きにわたって迷惑を被ってきた。永遠の3歳児の相手はやってられない。もういいでしょ。


私はあの人と一切関わるつもりはない。関わるとすれば亡くなってからだろう。肉親は私しかいないのだからやることはやらなきゃしょうがない。でもそれだけ。それ以外は何もしない。


あちらさんも、年寄り歴長いんだから、訪問介護の方に全部お任せしてください。私だってもう高齢者の仲間入りなんだからね。


あの人のことだから、これで一件落着とはいかないだろうけど、私への執着をやめるという発想が出てきたことが大いなる前進に思える。


(十分あり得るけど)また気が変わってベタベタしようとするかも(笑)

まあ、こちらが相手にしないから平気だけどね。




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