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木のはなし DNA

きょうは、建築用の木材のはなし。

木の芽

木の発芽には大きく2種類あると思っています。
生物学的にはそれ以上に種類はあるのかもしれませんが僕が知っている範囲では2種類です。

実生

ひとつめは「実生」。
種が飛んで土から発芽した植物としては標準的な芽の出方。

挿し木

もうひとつは「挿し木」。 枝の先端などを切り取り、土に挿し、差し口から根が出て成長する方法。人為的なので、自然界では起こりずらい現象だと思います。
大きくはこの2種類があります。

僕が聞いてる範囲では、挿し木では寿命が80年から100年で立ち枯れしてしまうという話を聞いています。
よって、世の中にある巨木と言われるものはほとんどが実生で発芽していると考えています。

違いはなにか?

生物として考えた時に、親がいてその種(子ども)から発芽する実生が標準的な発芽方法だと思います。
逆に挿し木とはクローンを栽培していると言えます。僕の指を植えて置いたら僕ができるようなことです。
この方法を進化させて成立した林業もあります。

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北山杉を昔ながらの方法で磨いている風景です。白川砂を手に付けてこすっています。この作業から「磨き丸太」と呼ばれています。
現在は手で磨くことはしていません。

北山杉

代表的なものでは京都の北山杉が挿し木です。

なぜ挿し木をするかと言うと、全く同じ DNA のクローンが成長するために同じ性格の木が生まれます。まっすぐ生える木は同じDNAなので同様に真っ直ぐ生えて行こうとします。

逆に言うと実生の場合、親と子は異なる DNA になるため、反面教師として息子がグレてしまうことがあります。
木なのでグレるというよりはまっすぐに生育するか、ねじれたり、曲がったりするかということで考えてもらうと良いかと思います。
生まれ持った環境条件によって変化が強いのではないでしょうか。

そのようなことから磨き丸太や面皮柱としての出荷が多い北山杉では直に生える性質の強いもの、干割れしにくい性格のものを挿し木で増やしています。

これも日本の伝統。受け継がれ、洗練されてきたDNAなんでしょう。

生命力の強い実生と血統書付きの挿し木といったところです。
どちらも日本の林業が磨いてきた技術ではないでしょうか。

布団の誘惑に勝てないDNAのため、きょうもこれまで。

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