カクヨム、KAC2022にて投稿していた連作短編の上げ直しと新作発表の場です。
世界観は共通ですが、話は独立しているので、Chapterのどこからでも読めます。
全作約4,000…
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#短編小説
『AUTO HALL CITY』Chapter10:Ambiguous Past of A Little Gifted(真夜中の幻と霊媒の夢)
『Chapter10:Ambiguous Past of A Little Gifted』 空は暗く、天然の光は星明かりくらいだけの時間。そんな時間でも、この眠らぬ街は変わらず煌びやかさを消さないが、それでもやはり昼とは違う。 真っ当な生活をしている人間の殆どは眠りに入り、活動しているのは訳ありの人間が多い。そうでなくても、地下街や裏通りが活発になる。 故郷では、真夜中は幽霊の時間とも呼ばれていたことを思い出す。 人間の義体化や人造人間の製造。そんなことが可能な
『AUTO HALL CITY』Chapter8:The Tears of The Ruthless Hitman(殺し屋の矜持と英雄の条件)
『Chapter8:The Tears of The Ruthless Hitman』 資料の中の彼は、美しく成長していた。 彼の持ち味である艶やかな黒髪は、後ろで束ねていてその美麗な顔がよく映える。 これで義体置換化もしていない生身の肉体だと言うんだから。 まだ十代だった彼の姿を思い出す。私の後ろを着いて回っていた頃のルベンは、どんな仕草であれ、私の真似をしようと躍起になっていた。 「なあミルコ、僕もあんたみたいな格好いい男になりたいな」 「俺の教えを忘れな
『AUTO HALL CITY』Chapter5:Old Man Plays, Until Death Comes(永久不変の記者魂)
『Chapter5:Old Man Plays, Until Death Comes』 屋根から屋根へと飛び移る。 途中、やる気のない見張りがいれば、高電圧銃で気絶させ、まんまと屋敷の中に潜入した。 『流石』 通信機から、ロビンが感嘆の息を吐くのが聞こえた。 「全身義体のお陰だ。長いこと生きてきたが、身体が雲みたいに軽い」 『性能は確かだけど、使いこなせてるのは身体能力の賜物でしょ。普通、義体を変えて直ぐ、そんなにぴょこぴょこ動けるもんじゃない』 通信しつつ、屋敷