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ゆる〜い、社寺建築講座 屋根編 各部の名前②

前回に引き続き今回もお出掛けした時にウンチクを語れる知識を伝授して行きたく思いますので是非お付き合いよろしく!

今回は屋根、社寺建築を見る上で屋根は欠かせない部位、なんと言っても屋根の形でプロポーションが決まると言っても良いくらいである、女性のカラダのラインと同じ?、と言う訳で話がおかしくならないうちに早速スタート!

破風板(はふいた)

完成後の破風板(唐破風)
取付中の写真(唐破風)
取付中の写真(風を破る板と書いて破風板と呼ぶ、住宅の軒先の部材も破風板(鼻隠し)だが社寺の物は大きく反っているのが特徴、文字通り長年にわたり風を受け破ってくれる事だろう

縋破風(すがるはふ)

流れ向拝の部材としての破風板、本体との接続部分が施工する大工により多少異なる

大平束(たいへいつか)

中央の化粧束、両脇に水を模した
(笈形(おいがた))が付く
拡大図、下の彫刻は『結綿(ゆいわた)』と言う
内部の大瓶束の部分、両脇が笈型(おいがた)

大瓶束(たいびんつか)とも言われる、入母屋八切や唐破風内部に取り付けられた束、構造・意匠を兼ねている。水瓶から水が溢れている様にデザインするとカッコいい

叉首(さす、こさす)

内部の三角の部分

難しい読み方である、しかし写真を見れば一目瞭然、良く社寺建築の入母屋八切部分に良く採用されてるデザイン

懸魚(げんぎょ、げぎょ)

彫刻懸魚、写真は鳳凰
よく見る基本的タイプ(猪目懸魚)
可愛らしいのも懸魚

前回の記事で記載した物と同じ、古来は魚をモチーフとして火除の願いを込めて取付けられた物がいつしか意匠となった装飾。

兎の毛通し風彫刻欄間

尚、唐破風に付く懸魚の形によっては『兎の毛通し(うのけどおし)』と呼ばれる物がある。

箕甲(みのこう)

瓦葺きの箕甲、下地は階段状にする
切妻破風屋根の箕甲、木下地で丸みを作る

破風板と屋根の高さに段差が出来る化粧造りやねに発生する部材、切妻屋根でも平らな物は箕甲が発生しない、元々は屋根の高さと破風板の高さを間違えてしまい埋め合わせするのに施工したのかと思いたくなる様な部材だが、現在ではコレをやらないと見た目の曲線の美しさが違ってしまうほど重要な部材

茅負(かやおい)
文字の通り茅葺きの頃には軒先の茅の重みを背負う部材となっていたもの、その後茅葺きが瓦葺きになったが部材名はそのまま継承された模様、瓦でも銅板でもはたまたガルバニウムでも『茅負』

垂木の上に乗ってる部材が茅負

裏甲(うらこう・うらごう)
茅負の上に乗る部材、和風住宅では茅負を使わずこの裏甲を2~3段に重ねている物もある

2段目が裏甲

葺地(ふきじ)
裏甲の上に乗る部材、瓦葺きと銅板本葺き・成形瓦等に見られる部材である、材料としては裏甲と同じ部材の2段目なので葺地と言わず「裏甲2段」等と言う職人もいるが瓦を葺くの先端の基準的部材となるので葺地と言う

上から葺地、裏甲、茅負、化粧垂木

軒付(のきつけ)
銅板一文字葺きに見られる部材、裏甲の上に乗る部材で葺地の別部材、社寺建築の一文字葺きは茅葺きや檜皮葺きに似せて施工した事が始まりと言われるくらいなので軒先の重みを表現している、もっと簡単に言えば住宅で言うところの鼻隠しに値する

軒付の作業中

入母屋虹梁(いりもやこうりょう)
入母屋の八切に虹梁が装飾されたもの、設計仕様にもよるがこの虹梁が付く様になると格式が高い建物となって来る

大体は斗組とセットになる

鬼(おに)

寺院に多い『経ノ巻』(きょうのまき)
銅板製鬼『若葉』

鬼と言っても鬼滅の刃に出てくる様な鬼では無い、和風住宅の屋根にもよく見る瓦や銅板葺の上にある物を指す、『鬼面』と呼ばれる鬼の顔をしたデザインもある

こちらが『鬼面』になります


先程の鬼の間に立ち上がっている武材、1番上を『主棟』、下に伸びていく物を『降り棟』と言う

てっぺんの部材が『棟

餝金具(かざりかなぐ)

金箔墨入り
金箔のみの仕上げ

餝(かざり)と読む、お寺や神社に付いてる装飾金具を指す、下地は基本的には銅板でありそこに金箔を貼った金箔仕上げ、目立つ様に墨を入れる金箔墨入り仕上げ、そのままの銅地仕上げ、燻して深みを出すいぶし銅仕上げ等いくつか種類がある、風鐸等も餝金具の一部に入る

素晴らしく精巧です
木口飾り
破風尻飾り
銅生地のみの場合

今回は以上となりますが楽しんで頂けたでしょうか?、社寺を身近にをテーマに皆さんに分かりやすく楽しくを目指してお送りして行きたいと思っております。

読んで下さいましてありがとうございました。
また次回の記事にて。





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