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藤田和日郎 (邪眼は月輪に飛ぶ)

この方の漫画を初めて読んだのはこの作品なんです。
「うしおととら」とか「からくりサーカス」とか、面白いとは聞いていたのだけど、長すぎるんですよね。
全巻一気購入はお金にも置き場所にも困る。
図書館にでもあれば嬉しいのだが、いつも利用している図書館には置いてないし。。。

・・・で、この作品。
全1巻!!
いいですね~♪(笑)
即、買いましたよ。

パラパラっと見ての第一印象は・・・グロい。。。
グロいのは嫌いじゃないけどね、出来れば清水玲子のようなグロさの方が好きなんです。
でもまあ、こういうのも悪くはない。

「むかし
むかし……」

って、昔話を語ってるという感じでこの話は始まる。
ど~して、そういう風にしたのかな~?って考えた。
時代はほぼ現代だし、
ラストで、これを語ってる人物が誰だかわかるのだけど、
こういう構成にしたのは何か理由があるはずだ。

昔話・・・あ!輪(りん)は智恵子の養女。
杣口 鵜平 (そまぐち うへい)は、智恵子の元夫。

昔話では、おじいさんとおばあさんには子供がなくて、血のつながりのない子を育てるパターンが多い。
「ももたろう」とか「かぐやひめ」なんかはそうだよね。
それを考えると輪はおじいさん(鵜平)とおばあさん(智恵子)の血のつながりのない子供。
そして、鬼(ミネルヴァ)を退治に出かける。
輪はようするに「ももたろう」的存在と言えるのかもしれない。
では、犬、雉、猿は誰か?
犬は当然、マイケル・リード。
鵜平のいなくなった犬の代わりになってやるって自分から言ってるもんね。
雉は空を飛ぶということで、元アメリカ空軍アクロバットチーム所属パイロットだったケビンかな?
鵜平の仮面がくちばし風に見えないこともないから鵜平を雉とみなすことも出来るんだけどね。
いや、あれは鼻か?じゃあ、天狗っていう感じか?
最後、鵜平もケビンも飛ぶからどちらも雉だと考えてもいいのかもしれない。
・・・とすると、猿がいなくなるんだけどね。
まあ、その辺の所は完璧に「ももたろう」と一緒ではなければならないわけでもないし、
鵜平は猿とみてもいいし・・・。(何となく、猿っぽい?)

それにしても話は変わるけどケビンの車がいいですね~。
フェラーリですよ。
フェラーリの何かな~?F430スパイダーにちょっと似てるけど、いろいろと違うしね。
詳しい人なら一目見て車種が何かわかるんでしょうね。
ケビンって、アメリカから日本に来るときにわざわざフェラーリを持って来たのかな~?
それってミネルヴァ退治に必要だと最初から思ってたわけでもないと思うんだけどね。(笑)
結局ミネルヴァ退治に役にたったんだけどさ、ぐちゃぐちゃに壊しちゃって、ああ、勿体無い~~!

どうも、本筋には関係のない所ばかり気になってしまうという変な癖が出てしまったけど、
全1巻で、きちんと話としてまとまってるし、主要登場人物たちのそれぞれの過去や現在の想いも表現されている。
ミネルヴァが一体どういうものだったのかは描かれていないが、それは読者がそれぞれに考えればいいものだと思う。
何巻も続く作品だと、懇切丁寧に何もかも説明してしまう作品が多いが、全1巻で、細部は読む者の想像力にまかせるという作品があってもいいと思う。

<ラスト、輪のセリフより>
人間が、動物たちの
……いえ、
この世界にとっての
「邪眼」にならないよう……
あたしは祈っています。


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