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そして謎は残った 伝説の登山家マロリー発見記

(1999年12月10日 発行)

<帯に書かれた言葉より>

エヴェレスト山頂近くで消息を絶った2人の登山家の行方を求めて。

はたしてマロリーは登頂に成功したのか?

75年ぶりに遺体発見に成功した米捜索隊が綴った独占手記。

衝撃の新事実・写真満載。

そして謎は残った 伝説の登山家マロリー発見記」の帯より

この本は、某図書館の当時の館長さんに教えて貰って読んだ。

『ニューヨーク・タイムズ』紙の記者に
「何故エヴェレストに登りたいのか」
と質問されて、
「そこに山(それ)があるから」
と答えた。

というエピソード程度は知っていたが、
その時私はマロリーについてそれ以上のことは知らなかった。

だから、人に薦められなければたぶんこの本を読むことはなかったと思う。

この本を手にとって、まず驚いたのが表紙の写真。
ちょっと見ただけでは、マネキンが転がってるようにしか見えないが、
実はこれがマロリーの遺体なのだ。
本の中にはもっとはっきりした遺体写真が載っている。


遺体発見の様子を描写した部分を一部抜粋してみる。

「デイヴ・ハーンはその現場の間近まで来たとき

『今、自分たちが見ている男は、七十五年間もこの山にかじりついていたのだ……

衣服を吹き飛ばされて、体はほぼ剥き出しになり、その肌は色が抜けて真っ白だった。

まるで、ギリシアかローマの大理石の彫像を見ている気がした』

クライマーたちが、その場に全員到着しても、喜びなどいっさいなかった……

無言のまま、古代彫刻に、あるいは立ち、あるいはひざまずいた」

そして謎は残った 伝説の登山家マロリー発見記

結局、エヴェレスト初登頂に成功したかどうか、という登攀史上最大の謎は謎のまま残ったわけだが、それはそれでいいような気もする。


・・・で、その謎をテーマに書いたのが夢枕獏の「神々の山嶺」。
非常に面白い作品だ。
小説の方を読んだ後、谷口ジローの漫画版を読んだ。
どちらも非常に素晴らしい作品だと思う。

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