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おざわゆき (シベリア抑留記 凍りの掌)

↓この感想は、私が2013年に書いていたものを再掲載したものです。
この中に「伯父のシベリア抑留記」のサイトの紹介があるのですが、もう10年近く前の情報なのでなくなっているかもしれないと思ったのですが今でもちゃんと残っていました。興味のある方は是非読んでみてください。私自身ももう一度読み返してみようと思っています。


作者の実父のシベリア抑留体験を元に2年半かけて描いた作品。
実際に戦争を体験した世代は高齢化が進み、戦争体験を漫画にするには若い漫画家が体験者から聞いて描くしかありません。
しかし、それももう20年もすれば戦争体験を実際に覚えている人のほとんどが亡くなっているだろうなって思います。
そういう意味でもこの漫画は非常に貴重なものだと思います。
絵柄は戦争体験記を描くにはミスマッチかなって最初感じましたが読み進んでいくうちに絵柄は全く気にならなくなりました。それどころかこういう絵柄だからこそ若い人たちに手に取ってもらいやすそうだとも感じました。
例えばリアルな絵柄の谷口ジロー先生がシベリア抑留記を描いたらどういう感じになるか興味がないと言えばウソになりますが、この作品はこの絵柄で十分すばらしい、味のある作品になっていると思います。
実際にシベリアに抑留されていた方を知っていますが、やはり子供にはほとんどシベリアの話はしなかったそうです。あまりにも過酷過ぎて忘れたかったのかもしれません。

ネットで調べていると「伯父のシベリア抑留記」というサイトを見つけました。
http://yokuryuki.raku-rakudou.com/index.php?FrontPage
過酷な抑留体験を綴っています。
ただ、完結はしていません。途中で脅迫されたりして書き続けることが出来なかったようです。
実に残念です。
この漫画で、主人公(作者の父親)が、ようやく日本行の船に乗れた時のシーンにこういう言葉がありました。
「あの ずーーーーーっと ずーーーーーっと奥には・・・
仲間が 埋まっとる
あんな 日本から 遠くて寒い 土ん中 埋められて
みんな どんだけ 無念やっただろ 
友よ
せめて
せめて 
魂は共に帰ろう


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