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替えが効かない

【はじめに】いろいろ考えてみたものの、自分なりの結論的なものは出せませんでした。つまり、オチはありません。

 少し前にPasscodeというガールズユニット(アイドルという括りにすると「Passcodeはアイドルなのか?」っていう話になってしまうのでここでは言及しません)のメンバーだった今田夢菜さんが体調不良からくる諸事情により脱退。そしてそこからしばらく経った後に新メンバーとして有馬えみりさんが加入するという発表がありました。

 メンバの離脱や加入といったことはアイドル業界には割とよくあることですが、Passcodeの場合はそう言ったものとは若干(というかかなり)ニュアンスが異なる側面がありました。
 …というのも、Passcodeの楽曲はポストハードコア(エレクトロニコア、スクリーモ)をベースとした楽曲が主であり、それらの楽曲のアクセントというかインパクトを与えているスクリーム(デスボイスや金切り声と言った絶叫に近い唄声パート)を担当するメンバーだったからです。
 つまりユニットの個性であり、特殊なスキルを持つメンバーであったわけですね。
 ここにPasscodeの魅力を感じているファンも多数いるのではないかと私は思います。実際、私もそんな印象を抱いていた一人です。

 歌唱、ダンスを含めてパッケージとして売り出される楽曲は、その時点で完成形とされる一面もあり、そう信じている人も少なくないと思います。(実際のライブパフォーマンスでは時を経るにつれメンバの入れ替えによる構成や編成が変わることが多々ありますが、CDや配信として流通するものには、そういった変化はないのが大半です)
 ただ、それを大切にしすぎるがあまり、新メンバーとして迎えられた有馬えみりさんに対して不要なプレッシャーを与えてしまう状況好ましくないと私は思っています。

 有馬えみりさんはもともとスクリーマーとしてLadybaby(過去にレディビアードさんが在籍されてたユニット?)に所属経験があったり、パフォーマンスなどをInstagramなどに投稿していたりしており、既に自分のスタイルとパフォーマンスが完成されている方です。
 築きあげた自分のスタイルを貫いて、新しいPasscodeの形を作り上げ、新たな魅力でファンを魅了して欲しいと思っています。

 来年には武道館公演もありますからね。

 …と、そんな発表をそんな気持ちで受け止めていた時、ふともう一つの「替えが効かない」ことに苦慮している事例があったなぁ…などと思いました。
 それはJ1リーグに所属する川崎フロンターレです。

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川崎フロンターレに所属していた田中碧選手と三笘薫選手の海外移籍

 2017年に風間監督体制から鬼木監督体制となり、それまでの戦略をベースに、守備戦略の整理・再構築を実施することで一つの完成形をみた川崎フロンターレは、2017,18年と二連覇を成し遂げました。
 しかし、2019年シーズンは他チームから研究され、負けはしないものの勝ち切れない試合が増加。最終的には横浜・F・マリノスに優勝を奪われ、最終的には4位でシーズンを終えました。ちなみにそのシーズンで6敗はリーグ最少ですから、いかに勝ちきれなかったか、そしてそれが成績に影響したのかがわかります。

 翌年、システムとスタイルを一新し、攻守の切り替えの速さと強さで他チームを圧倒するスタイルを確立しました。ボールを奪われても即時に奪い返しす戦術でチームを勢いに乗せ、独走じょうたいのまま優勝したことはまだ記憶に新しいところでもあると思います。
 その中でも特に田中碧選手と三笘薫選手の両選手の目覚ましい成長と活躍は、2020年シーズンの象徴として挙げられるものだと思います。

中央で守備を整理し、相手攻撃の潰し役となり、攻撃のスイッチを入れる田中選手と、左サイドで懐の深い緩急あるドリブルと、ゴール前に切れ込みゴールを量産した三笘選手。攻撃的で鮮烈なプレイスタイルはファン目線という一面を除いたとしても、観客にとても大きなインパクトを与えたと思います。

 その両選手が、今シーズンの夏の移籍市場で海外移籍しました。

 昨年までは技術で他を他チームを圧倒し、誰が出てきても脅威でしかないと思われていたところがありますが、今年は技術よりも(というと若干語弊があるが、以前に比べてみればという意味で)強度に重きを置いたスタイルに磨きをかけたチームで、気がつけば先発メンバと交代メンバでクオリティ…というよりも個人の力量差が目立つようになりました。
 「見た感じは決して悪くはないのだけれども、何か物足りなさを感じる…」去年ほど選手起用で戦術・戦法の変化を出せなくなっている印象です。
 というよりもむしろ、先発メンバと何人かの準先発メンバに特化したかのようなチームになりつつあるように見えるとも言えます。

 メンバを入れ替えることでシステムを変えたり、個人の持つスキルを発動させる戦法を変えたりして変化を出すことが2020年シーズンよりも減った印象です。
 そういう意味では2019年のシーズンの勝ち切れない時の状況にも似ているような気がします。(起きている現象はかなり違いますが)

理想のイメージがマネジメントの邪魔をする?

 ・採用している戦術に起因するものなのか?
 ・選手それぞれが持つイメージがそうさせるのか?
 原因は分かりませんが、あまりにも田中碧選手と三笘薫選手がいた頃のチームに引っ張られている…というかそれがベースとなっていて、ないものを無理にあるかの様に振る舞っているような気がします。

 それは代わりで入ったメンバはもちろんのこと、本来からのスターティングメンバにも原因があるのではないかと思います。あるいは監督の思い描く理想像とのアンマッチがおきているのかもしれません。主力の二人が同じ時期に移籍してしまった訳ですから、当然のことだと思います。

 ただ、選手が変わってしまったことは動かしようのない事実なので、今いる選手が得意とすること、不得意とすることを受け入れ、チームがとる戦術を修正しなければならない。
 場合によっては戦略、システム自体を変更する必要があると思います。
 システムは共通言語であり、チームが保有する選手の特性が活かせるような共通言語でなければならないと私は思います。
 しかし現状は、田中選手や三笘選手だけができて、他の選手には困難となるような仕組みや仕掛けが存在していて、システム或いは選手のイメージに影響しているように見えます。

 …とはいえ、そんな課題はチームも当たり前のように認識していることでしょう。(シーズン開始前に手は打てなかったのか?という意見はあると思いますが)
 きっとチームとして改善したいと感じていると思います。
 しかし、思ってはいるものの、簡単には変えられないという気がします。
 それまで無敗記録を続けていたという大成功の最中という状況ですから尚更です。

 まぁ、真相はチーム関係者のみが知ることですが。

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変化は当然。それを織り込むのがマネジメント?

 「移籍は当然、それを考慮してこそのマネジメント」と言うのは簡単です。
 「なんでそんなこともできないんだ?」と二言目を付け加えるのも容易です。

 しかし、我々一般社会人もプロジェクト・チームメンバの目…というか方向性を揃えるシステム…共通言語のベースラインを何処に引くのか?と言うのは相当難しい問題であると考えます。
 チームメンバの誰にとっても正しく・高レベルに機能し、かつ個人の特別なスキルを発揮できるバランス取りは相当な困難を伴うと考えます。

 チーム編成の全ての選手が正しく機能するシステムを構築するとレベル(品質)が低下するリスクを負い、高レベル(高品質)を追求すると正しく機能しないリスクを負ってしまう。
 そして、ある程度機能するシステムを構築したとして、その上で各選手の出せる特性を活かそうとすると…悩みは深いと思います。
 「チームの強みを見極めて、選択と集中にこだわる」が過ぎるあまり、チームが疲弊し、エースの活躍の場を失い、破綻するようなプロジェクト…思い当たる節がある人も多いと思います。

 だからこそ「属人化を排除する」って言う言葉がマネジメント研修で多用されているのです。

 普段はチームプレイ、健全なプロジェクト運営を心がけていても、無意識のうちに属人化を超え、頼りになるメンバ、引き込みたくなるスペシャルなメンバが存在して、魅力を感じてしまうことは否定できない事実です。

 人間は機械じゃないのである意味では仕方のないことなのかもしれませんが、誰でも均一な品質を担保できるやり方は、その一方で高スキルの人材のスキルを無駄にしかねない状況を作り出す可能性があります。

 そして、高スキルな人材は一般的には高コストであることが通常です。
 また、マネジメント層が要求する高スキル人材の業務と高スキル人材が望む業務は大きく異なることがあります。

 特にITエンジニア業界では、技術に特化した高スキルの人が少なくありません。
 そしてそういった人にさしたる興味のないマネジメントで人を動かすような業務を課すことに、より変に疲弊して成果が上がらなくなったりモチベーションを低下させたりするような事例が往々にしてあります。

 会社という組織上、どうしてもチームを構成し、効率よく価値の創出や成果を上げて、より高い生産性が要求されてしまう状況は、誰のアタマの中でも理解されていると思います。

 しかし、そこを突き詰めることで、異質な…しかし高い価値を生み出すエンジニアの可能性を潰してしまうのは疑問も残ります。絶望して組織を離脱してしまう損失も考慮すべきです。

 しかし、そういったエンジニアが活躍できる場の提供が十分ではない。
 それは、組織の問題ではないか?と思う一方で、そういった価値の創出について組織全員で議論をし尽くしているか?と問われると、なかなかできいないのが現状ではないでしょうか?

 一体、誰の問題なのよコレ…。
 どうにかならんものですかね…これ…。

 (…なんてことを考えていて…なかなか答えが見つからないな…という話でした)

※Passcode : https://passcode-official.com


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