海外セミプロサッカーのリアル

メルボルンでセミプロサッカー2シーズン目。

現在の順位は6節を終えた時点で、下から3番目。1月からのプレシーズンマッチも含め、10試合以上やってまだ1勝しかしていない。監督やコーチの人選、戦術も絶賛迷走中である。

昨シーズンはチームが勝ち続けていたこともあってスタメンの変更はほとんどなかったが、負け続きの今シーズンはとにかく入れ替わりが激しい。ある意味2年間で、同じチーム内で、全く異なる状況を経験できるのはありがたい。このような状況で、向上心を持って楽しんでプレイできるかが課題な気がする。

海外でサッカーをしていると、日本サッカーとはまた違ったストレスのオンパレードである。意図のよくわからない練習や采配、試合中の差別、相手サポーターからの煽り、理不尽な罰金などなど、、、。(シュートが練習場のフェンスを超えたら5ドル、黒以外の練習着を着たら10ドルなど)その中でも、日々の練習、試合で120%を出さなくてはならない。それが大前提である。

差別、煽り、乱闘などに関しては言葉のハンデはやはりある。乱闘中はもっと思いっきり英語で罵倒したいのだが、アクセントなどを馬鹿にされて悔しい。英語の暴言リストを部屋の壁に貼って、それをつぶやきながらアームカールをする日々である。煽りは当然差別的なものが多い。英語が徐々にできるようになって、内容が理解出来るようになってくるとかえってムカつく。

味方は人のせいにするやつが多い。言葉の出来ないやつがまず標的にされる。露骨ではないにしろ、ミーティングやハーフタイムでふんわりと責任転嫁される。残念ながら、今の僕のチームにはそういうやつが多い。(その分優しいやつもいる)

監督、コーチはサッカーの内容を見ない。結果で判断する。ミスは主張しなかったヤツのせいになる。なぜかうちのチームは試合を録画しないので、現象の分析をしない。8割くらいは印象論で決まる。だから、どれだけ声掛けをしても無視するボランチのところからの失点でも、それが僕の守るサイドからの失点になればそれは僕の責任になる。要するに、個人のパフォーマンスが良かったり、単純に上手ければ試合に出れるというわけではない。(僕みたいな下手くそにとってはこれがかえって良かったりもするのだが)

日本とは評価基準が違う。の一言で済ませるしかないのかもしれないが、そんな評価基準だから低迷をしているとも言える。評価基準がわかりやすいと言えばわかりやすいが、短絡的と言えば短絡的である。しかし、今までに対戦してきたチームの中には実力だけでオージーたちを引っ張っていく日本人も沢山いる。結局サッカーが上手いやつがえらいという世界でもある。

ただ、結果で主張するのがベストではあるものの、僕のような微妙な実力の持ち主は「言葉」で主張することも重要である。ディフェンダーは失点の責任を押し付けられない様に、ミスした選手に対して思いっきりブチギレることも生き残る手段として必要かもしれない。少なくとも僕のプレイするオーストラリア6部相当ではそのような主張が見られている気がする。日本では意識したことがないような部分にも気を使わなければならない。日本にいた時の3倍のテンションで主張をするくらいがちょうどいい。

今シーズンは、プレイ以外の部分、敵ではなく味方と戦っているような感覚が日本にいた時よりも強い。そういう意味で、個人主義的な世界を実感する。他人を蹴落としてでも試合に出て活躍する。6か月間、22試合しかない1シーズンの中でできることを全てやる。

僕の契約は固定給ではなく試合給なので、干された瞬間にサッカーの収入は0になる。週4回の試合すべてに出場した時の給料が生活費とトントンなので、これも良いプレッシャーになっている。今年はバスキングとサッカーの収入だけで生きるという縛りプレイをしている。ある意味生活が懸かっているので、それだけ本気になれる。

海外生活を通して、基本的な価値観の変化は今のところ感じていないが、少なくともサッカー観に関しては140°くらい変わったと思う。ムカつくことばかりだが、それらを乗り越えてサッカーと向き合ったときに、滅多に感じられないような喜びであるとか気づきが、海外セミプロサッカーにはあると思う。

海外でやろうか悩んでいる人はぜひやってみてください。成功は保証しませんが、やる価値はあると思います。




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