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オーストラリアでセミプロサッカー選手になった話#1

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オーストラリアで苦労したことは星の数ほどあるのだが、パッと浮かんでくるのは住まい問題である。オーストラリアに到着して最初の家はゴリゴリの詐欺物件だった。事前にオンライン内見で送られてきた動画は、違う家の動画だった。1人部屋で家には3人しか住んでいないと聞かされていたが、実際には3人部屋で多い時には13人くらい住んでいる家だった。4口のコンロは1つしかつかないし、トイレのドアは壊れていて、天井も雨漏りしている。冷蔵庫の使えるスペースはチルドのところだけで、使える食器はすべてベタベタしているし、電子レンジと水回りはカビまみれで、挙句の果てに洗濯機も壊れた。ベッドには謎の毛が落ちていて、布団はかび臭いし、部屋にはビール瓶とか得体のしれないゴミが散らばっている。良い点は屋根があることくらいである。こんな家住めるかあ!と思ったものの、その日はチームの遠征が入っていて、1時間後には監督の迎えがくる。スーツケースやその他の荷物は監督の車に乗らない。仕方なくこの家に住むことを決めた。直前のスコールでびしょ濡れのまま契約書にサインをする。敷金の$380を払って、とりあえず住まいを確保した。散々なスタートである。(ちなみに退去時に$380の敷金はかえって来ませんでした。)

雨漏りしてた^ ^


監督の車が到着し、遠征にむかう。ちなみに、そのチームの名前は知らないし、どこにいくかも、何日泊まるかも知らない。唯一知っていたのは監督の名前がドムということだけ。
 
ドムの荒々しい運転に揺られながら、2時間半かけて遠征先のホテルにつく。田舎も田舎で、まず飯を買うところがない。夜中監督にコンビニっぽいところに連れて行ってもらい、ケバブを食った。久々の飯である。 

なんもねえ……


ホテルはチームメイトのイングランド人とサバイバルナイフを携帯しているキャプテンとの3人部屋だった。2段ベッドの上だったが、蚊が無限に湧いてくるのと、下で寝ているキャプテンの寝相の悪さでまったく寝付けない。明日は午前中練習をやって午後に練習試合らしいが、オーストラリアにきてからの約2日間ほとんど一睡もできていない。冬から夏にきたこともあって気温も10倍近くある。
 
寝たような寝ていないような、なんとも言えない状態で起きる。監督の車で練習場へ向かう。雨が降っていたので軽めに身体を動かす。練習自体はついていけたが、人生で1番身体が重かった。他の選手とコミュニケーションを取りながら、ホテルに戻る。昼飯を食べて、試合に向かう。なんとなく大きなトラブルもないまま試合会場につく。大体18時ごろだったが、日ざしがえげつない。オーストラリアの夏は21時くらいまで日が出ているのだ。雨もすっかり止んで、気温は30度越えである。このあたりから体調が猛烈にしんどくなってきた。しかし、海外にきて初めての試合、自分の今後の1年を左右するような大事な試合である。どうにかしてアピールをしないといけない。環境に文句を言っても仕方ない。ピッチに立てばそんなこと全く関係ない。やるしかない。そんなこんなで試合が始まった。

続く

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