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FC26 即興演奏入門

即興演奏は、音楽的な創造性を発揮し、リアルタイムで音楽を作り出すことです。楽譜に頼らず、自由な発想や即興的なアイデアを基に演奏を展開します。

即興の楽しさは無限大!即興演奏を聴く事ももちろん、実際やってみるのが一番楽しいです。音楽×書道のユニット「直書観音」で10年以上即興のワークショップを展開してきた経験を踏まえて、はじめて即興にトライする方へおすすめのポイントを紹介します。

すべての音楽は即興の要素満載!

残念ながら、現在の日本の義務教育で教えられる音楽はほとんど西洋式理論をベースにしています。もちろん、西洋式理論も音楽の一部ですが、世界全体で見ると、他にも様々な音楽があります。その様々な音楽には、即興的要素が含まれるものがたくさん。もしも、視野の狭い教育が原因で音楽は譜面通り演奏しなければいけないと思っている人がいたら、その考えを今日限りで捨てましょう。五線譜の記譜システムは合理的で素晴らしいですが、あくまでガイドであって、どう解釈するかまで含めて、即興的マインドを持つ事は演奏の上でとても役に立ちます。

楽譜は宝の在処を表す地図。実際の演奏はリアルな冒険です。リアルな世界では地図の通り進んでいても、予期しない事が起きたり、道に迷ったり、寄り道したくなる事もあります。そんな時、即興の技術があると、冒険をとことん楽しめます。

即興の種類を知る

西洋式理論のベースになっているバロック音楽にも即興の要素はあります。ジャズにはアドリブがあるし、電子音楽・ノイズにも即興の要素が多いです。どこまでを即興と定義するかは、色々な考えがあって、極端なものだと、生きる事そのものが即興で、パフォーマンスなんてあり得ない(もしくは全てが舞台)という考えもあるし、新しいサウンドを求める流派では、今まで一度も聞いた事のない音を徹底的に追求するスタイルもあります。

代表的な所だと、アドリブ・ソロ と自由即興 という言葉の定義は、現場感覚で使い分けている印象があります。アドリブ・ソロはジャズなどのコード進行や形式がある中での即興、完全自由即興というのは、文字通り形式にとらわれず、なるべく形式に収まらないような新しい音を追求する即興、というように使い分けています。ただ、これも厳密なルールがある訳ではないので、共演者の音を聴きながらリアルタイムに調整していくイメージです。

一緒に音を出す人の音を聴く

即興は限りなく自由であるべきと思いますが、一緒に演奏する人のバックグラウンドを理解する事は重要になってきます。ジャンルの中で即興をする場合は、その形式に合う方法が望ましく、例えば、ジャズの曲の中で、いきなり無関係な自由即興スタイルを持ち込んだり、電子音楽のドローン的アプローチの中に、いきなりジャズ特有のコード進行のアドリブを展開しても、あまりうまくいかない事の方が多いと思います。ただ、卓越した技術とセンスを持つ奏者で組まれたアンサンブルの場合は、全てが可能になるので、一概にはいえないのですが、はじめてで不安な場合は、自分が参加している即興の場が、どういう方向に音が向かっているのか、アンテナをめぐらすとよいと思います。

即興は創作料理と似ている

フレンチシェフと中華料理人が同時に調理をして、今まで味わった事のない、とてつもなく美味しいものが出来た!というのが即興演奏が大成功した時の感覚に近いかもしれません。似たような背景を持つ人同士の即興は同じジャンルの中に収まるし、実験的な調理法で未だ誰も味わった事のない料理を目指す事もできます。調理(音楽)の基礎テクニック、包丁. や火の使い方を知っている事、(楽器の扱いや、楽典をマスターしている事)で、出来る事の幅は広がりますが、気をつけないと技術がある事で過信して新しい可能性を見逃してしまう事もあります。いずれにしろ、一緒に創作する人に敬意を払う、というのが一番のポイント。元々人間は皆、即興しているので、完全な未経験者はいないのですが、意識して他者と関わりながら即興表現をする、という事が初めての人の最初の一音は、強烈な集中力とエネルギーでその人の人生全てが込められていたりするので、プロでもこれは敵わない、と思うアイディアとパフォーマンスは何度も経験しています。

最後に…即興演奏のメリット

即興的マインドが身に付くと予期しないハプニングが起きた時の対応力が身につきます。自分だけでなく、他の人のサポートもできるようになるし、今まで気が付かなかった新しい可能性をどんどん開拓する事ができます。

即興ワークショップのご案内

直書観音では、音楽と書道のワークショップを行なっています。 書道と音楽が一緒に創作するためのガイドはありますが、スタイルは完全自由即興に近いです。どんな方も参加できます。即興の最大の楽しみは、実際に人と合わせる事。是非、ご自身で体感してみてください。

第二部で即興のワークショップを行います。書または音での参加。※筆の貸し出しあり。楽器での参加をご希望の方は是非楽器をご持参ください。アンプラグド(生音)で鳴らす楽器に限らせていただきます。

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