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フルーティストの保湿事情

音楽の事を様々な角度から探求するトーク番組「フルートカフェ」へようこそ。生命の息吹を伝えるフルートの音色と共に、無意識の世界に広がる壮大な冒険へ一緒に参りましょう!

このシリーズはスタンドFMとYoutubeと両方で配信しています。

フルートと保湿の密接な関係

突然ですが、皆さん”保湿”ってどうしていますか?
皮膚の保湿、水分補給、色々と方法はありますね。

実は、私は衝撃的な事があって、”保湿”に対して真剣に考えるようになりました。ある出来事をきっかけに、フルートにとって”湿気”がいかに大切か思い知る事になりました。今日はフルートと保湿の密接な関係についてお話したいと思います。

突然起きた口内乾燥事件

まずは、保湿の大切さに気がついた”事件”から。
元々気管支炎があって、何年に一度か必ず発作の連続は起きる体質です。
今まであまり気にしていなくて、例え咳が出ても、
”それはそれ、これはこれ”という感じで、問題なくフルートを吹くことは出来て今した。フレーズや呼吸の合間にうまく咳を持ってくる事でなんとかなるんですね。
咳は意識すると悪化するので、あまり気にせず、のんびりやっていたのですが、去年、風邪を引いたのがきっかけで、喘息が復活してしまって、これが今までと全然違う傾向でした。

呼吸が押せない

口の中の粘膜が薄くなってしまって、咳も止まらない状況。喘息の薬で1ヶ月以内には完全復活しましたが、その間不思議な現象になって、フルートが全然吹けないんです。吹けないというか、息が押せない。音が伸びない。今までは咳が出てもこのような感覚がなかったので、一体何が起きているのか、かなり焦りました。冷静に分析すると、今までとの違いは「口の中の粘膜が薄くなっている」という事。

一噌先生の慧眼

そこで急に、以前、能管の師匠である一噌幸弘先生がおっしゃっていた事を思い出しました。

フルートは呼吸を専門に扱うので、吹けば吹くほど健康になって、心も身体も元気になる、という事は実感としてあるのですが、実際、私含め、フルーティストで気管支炎持ちの人って少なくないんですね。

それは何でなのだろう、という話を一噌先生に相談していて、「笛は湿った所を通って、繊細な音を出しているからね」と先生がおっしゃっていて、その時私は「湿った所」という所はスルーして、「繊細な音」にだけ反応して、そうか、音出すまでの繊細な工程で、気管も敏感になるのかも知れない、と何となく納得したのですが、口の中の粘膜が薄くなって、音が押せなくなった時、急にこの事を思い出して、非常に大切な事をスルーしていた事に気がつきました。

湿った所を通って楽器に吹き込まれる呼吸

呼吸が口の中の「湿った所」を通って出てくるっていうのは、非常に重要な事なんですね!つまり、口の中がカラカラに乾燥した状態では、いくら息を吐いても押せないという事。風は水分を含むと、重くなって、密度も重量感も増します。それが結果的に音の密度(豊かさ)やスピード感に結びつくのですね。

日本の笛は竹で出来ているので、そもそも湿気との親和性が高く、伝統音楽でも「湿度・湿気」の重要性は語られる事が多いです。西洋のフルートの場合は、そもそも楽器の作りが元々発音しやすい作りという事、生まれた土地はそこまで湿気が高くない事もあって、少なくとも私はそこまでフルートに関してと湿気や保湿の話ってした事ないなぁ、と思っていたら、また急に思い出した事がありました。

ロンドンのフルーティストのリップケア

友人のフルーティストでスティーブ・ライヒのグループで来日もしているRowland Sutherland氏と話をしていて、熱いコーヒーは絶対に飲まないというので、「何で?」と聞いたら「唇が火傷したらどうするの?」という話をした事を思い出して、そういえば、Rowlandは唇のケアを徹底的にしていて、ぷっくぷくの唇なのですが、実際、音色も艶々で瑞々しい。

一噌先生も唇の水分量は音に影響があるだろう、とおっしゃっていて、今まで意識した事のない事だけど、理解すれば、これほど理に適った話もないので、雷に撃たれたような衝撃でした。

2023年の目標

という訳で私の2023年の目標は「保湿」です。フルート関係なしに「保湿」は良い事しかないですが、音に直結すると思うと、異次元の気合いが入ります。口内、唇、肌を潤いで満たす事。普段から水分量を意識するだけで、波動方程式にあるように、水を通してエネルギーが伝播して、身体の外のエネルギーとも繋がれる。これは演奏時に多いに役に立つ事です。

深呼吸しながら保湿する

少し話は変わるのですが、シュウ・ウエムラさん直系のメイクアップアーティスト・鎌田誠さんのお話を聞きに行った事があって、その理念に感銘を受けました。化粧品を肌につける時に、深呼吸しながらつけるようにおっしゃっていて、確かに、どんなに丁寧に作られていても、肌にとって化粧品は異物であって、無意識の中でちょっとした抵抗があるように感じるのですが、そこで深呼吸しながら浸透させる事によって、より効果的に化粧品の成分が肌の細胞に届きやすくなるというお話でした。

潤いで満ちた音のために出来る事

それを聞いてから、意識して深呼吸しながら化粧品をつけるようにしているのですが、そうすると、なんか面倒だな、という作業が、超気持ちいい!という体験に変わります。リップクリームをつける時も、今までは”ベタベタして嫌だな”という気持ちが強かったのですが、これからは潤いのある唇と通った艶々な音をイメージするようにします。

私たちは湿気のある風を自ら生み出している事。波動を操作して思い通りの音風景を描いている事。呼吸を扱う楽器や声は、サウンドに直結する事ですが、おそらく全ての人が何らかの形で影響を与えている事だと思います。

という訳で、今年はさらに瑞々しい音に向けて、楽しんで保湿に勤しみます。良い保湿情報があったら、是非教えてくださいね。


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