「ありがとう」という日本語にありがとう~日本講演新聞

トキメキ学びを世界中に~ニュースを載せない日本講演新聞がお届けします。

 黄昏(たそがれ)、朧月(おぼろづき)、花筏(はないかだ)、玉響(たまゆら)、月時雨(つきしぐれ)…。情緒溢れる美しい日本語は数知れない。そんな詩的な言葉ばかりでなく、普段使っている話し言葉にも美しい日本語は溢れている。

 以前、某テレビ局が「あなたが美しいと思う日本語は何ですか」というアンケート調査を行ったところ、1位に輝いたのは「ありがとう」だったそうだ。

 その英語訳は「Thank you(サンキュー)」である。この二つの言葉、使う場面は同じでも由来は全然違う。

 英語では「あなたに感謝します」と、そのままだが、「ありがとう」の由来は「有り難し」、つまり「有ることが難しい」である。

 仏教に「盲亀浮木(もうきふぼく)」という逸話がある。目の見えない亀が百年に一度海の水面に顔を出す。その広大な海のどこかに、亀の頭が入るくらいの穴が開いた流木が浮いている。亀がその穴に顔を入れる確率は限りなくゼロに近いが、ゼロではない。

 我々が今生きていることは「その有り得ないことが起こっている状態と同じだ」というたとえ話である。まさにこれが「有ることが難しいこと」、すなわち、有り難きこと、奇跡なのである。

 また、「ありがとう」は魔法の言霊ともいわれている。「ありがとう」をいつも口にしていると運気が自分に向いてくるそうだ。そんなことが書かれている本も数知れない。

 我々の周りは「有り難きこと」が溢れている。朝目を覚ます。住む家があり、着る服がある。家族がみんな元気で、戦争のない国に住んでいる。それらは全て「有り難きこと」

 歳を重ね、それが段々と腑に落ちてきた。もし私に若い頃からそれを感じ取る力があったら、もっと幸福度の高い青年期を送れただろう。

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  そんな私とは違い、幼い時にそれを心に落とし込んだ少年がいる。

 朝日学生新聞社が小学生を対象に毎年開催している「いつもありがとう作文コンクール」。2016年に最優秀賞を受賞したのは6年生でも5年生でもなく、1年生の松橋一太(まつはし・いった)君だった。

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