見出し画像

【子どもの目がキラキラ輝く授業】「学校ごっこ」、しませんか?~日本講演新聞

『日本講演新聞』は全国の講演会を取材した中から、
感動した~!おもしろかった~!為になった~!という心が揺るがされた話だけを掲載している全国紙です。
読んでくれた方の人生がより豊かなものになることを願って創り続け、もうじき30周年を迎えます。
noteでは読者に人気でにもなった社説をご紹介しています♪
筆算の線が手書きだったということで、小学校5年生の男子児童が宿題160問の書き直しを命じられたというニュースがありました。その子に対して先生の第一声が「宿題よくがんばったね!」というものだったらいいですね。
今日は子どもの目がキラキラ輝く授業、プロの教師でない3人だからできる「学校ごっこ」についてご紹介します。

ー「学校ごっこ、しませんか?」ー

 放送作家の永六輔さんは、生前仲良しだった作曲家の中村八大さん、作家の有吉佐和子さんと一緒に、海外の日本人学校を慰問して特別授業をするというボランティアをやっていた。

 八大さんも有吉さんも、そして永さんの奥さんも、日本人学校出身ということで、当人でなければわからない苦労寂しさがあり、そんな中で頑張っている子どもたちを励まそうという趣旨だった。

 プロの教師ではない三人は、先生の真似ごとをするということで、そのプロジェクトを「学校ごっこ」と呼んでいた。その趣旨に共感した日本航空は、三人をタダで現地まで運んでいたそうだ。 

 「特別授業」は文科省の指導要領とは異なるユニークな国語であったり、音楽であったり、理科や社会であったりした。

 たとえば、永さん流の「国語の授業」。「木」偏の漢字を教える。「木は1本で『木』です。木が二つ並ぶと『林』です。三つ重なると『森』です。では『杜』は何と読みますか?」

 「そう、『もり』です。では、同じ『もり」でも『森』と『杜』はどう違うのでしょうか?」

 「森」はたくさんの木がこんもりと生い茂っているところで、「杜」は「鎮守の杜」と言うように神様が祀られているところ、と説明する。

 そして、「松」「桃」「柿」「桂」「杉」「梅」…と続き、「楓」の話になる。

 「これは『かえで』と読みますが、ピアノやヴァイオリン、チェロ、ベースなどの管弦楽器はこの楓の木で作ります。どんな木よりも一番いい音が響くからです」

 そうすると八大さんがピアノを弾く。別の先生がヴァイオリンを弾く。突然音楽の時間になる。子どもたちは「これが楓の音の響きなんだ」と感じる

 「柏」という漢字を教えるときは、「なぜ5月5日の端午の節句のとき、かしわ餅を供えるのか」という話になる。柏の木の古い葉っぱは、若い葉っぱが大きくなるまで落ちない。つまり、若い葉っぱが大きくなるのを見届けてから散るということで、「君たちが大きくなるまでお父さんお母さんはしっかり頑張ります」という道徳の授業になる。

 あらゆる樹木は「木」偏であるという話をすると、子どもが質問する。「竹はどうして『木』偏ではないんですか?」

 待ってましたとばかりに永さん、「竹は木ではなく、多年生の草なんです。でも、今では木でも草でもなく竹という種類になっちゃいました。だから漢字には『木』偏、『草』冠と同じように『竹』冠という部首があるんです」。この話をすると「桐」のことも話す。

 「桐も本当は多年生の草なんですよ。でも木と同じように桐でタンスを作ったりします。木と同じ働きをするので『木』偏に『同じ』って書くんです」 

 こんな話をするから、今まで漢字が苦手だった子どもたちの目も輝き始める

 幼少期の子どもは元気に遊んでいるだけで親には微笑ましく思える。

 しかし、小学校に上がると、子どもたちの生活空間に「遊び」とは別の「勉強」が参入してくる。親が「遊んでばかりいないで勉強しなさい」と口をすっぱくして言ったり、先生が「教室は遊ぶところじゃなく、勉強するところだ」と言うように、「遊び」と「勉強」は「楽しいもの」と「つまらないもの」、「したいこと」と「しなければいけないもの」「しないと怒られるもの」など、相反するものになっている気がする。

 永さんは戦時中、小学4年から6年まで学童疎開をしていた。楽しく学ぶ環境ではなかった。よくいじめられていた。

 そんな中で永さんが日々ワクワクしていたのは母親からもらった辞書を引くことだった。「母」という字を引いたら、「両親のうち男でないほう」と書かれてあって、笑った。面白いから辞書を引いた。面白いから漢字を覚えた。勉強することは遊ぶことと同じ、ワクワク感があった

 遊びと勉強は対立するものではなかったのだ。遊びの中に学びがあり、勉強の中に遊び心がある。だから「学校ごっこ」は子どもたちの目を輝かせる。 
  (日本講演新聞 魂の編集長 水谷もりひと 2013/02/04号社説より)

最後までお読みいただいてありがとうございます。
スキ・フォロー・ご感想をいただければ幸いです。


ためになる、元気がでる、感動する、そんな良質な情報だけを発信しています。 1か月無料で試し読みできます→http://miya-chu.jp/