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会えない命


「マジ…」

検査薬をトイレットペーパーホルダーの上に置いて
なんとなく眺めながらトイレを流していた。


元々生理不順の私は1週間遅れなんてザラだった。

今回もまぁ、大丈夫だろうと思いながら検査したのに。


信じられなかった。
実感もなかった。

確か、さっきまでの私は前日の多量の飲酒のせいで二日酔いかな?でもなんかいつもとは違う二日酔いの感じだな〜そんな気持ちでいた。


私は無意識に

【中絶 クリニック】

と、検索していた。

パートナーもいるし、同棲もしている。
しかし、私はパートナーに言う前に検索をかけた

最初に思ったことは
「なんてタイミングが悪いんだ」
と、それだけ

今年は自分のために生きる、と決めたばっかりだった


とにかく。

パートナーに言うのは翌日ちゃんと病院で検査してからにしようと思い、予約をした。


その日は仕事を早く上がり、帰宅。
1人で帰路についているときふと頭によぎった

「あまりにも無責任なんじゃないか」


家に着いてもそのことばかり考えた。


徐々にお腹にいる新しい命に実感が湧いてくる。
涙は出るし、手術も怖いし

そして、なによりお腹の子に会いたいと思った。

私を選んできてくれたのに
本当にごめんなさいと思い、泣きながら眠った



翌日、病院で検査を受け、エコー写真を貰った


すごく小さくて尊い命。

もうすでに7週と4日が経っていた。


もっと早く気づいてあげれなくてごめんね。



パートナーには「赤ちゃん出来てた」と連絡をした。
喜ぶ言葉も、逃げの言葉もなく
「みやびが1番いいと思う選択をしよう」と言った。

普段から「子どもがほしい」と言う彼の口から出たとは思えない発言だった。
子どもができたと言えば、産んでほしい一択だと思っていた。

安堵した。


しかし、エコー写真を見るたびに
涙が出る。

私が手術を受けると決めたのに。


会えない命へ

またいつか私のお腹に来てくれると嬉しいです。

不甲斐ない、未熟な私を選んでくれてありがとう。

あなたが来てくれたこと絶対に忘れません、
もっと私が成長して、あなたを喜んで迎えたい。


明日、バイバイするそのときまで
私のこどもでいてください。

愛してるよ


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