精神の考古学/中沢新一 -序盤-
第一部 ゾクチェンを探して
1 旅立ちまで
この文章を本質的に物理現象として理解できる者、またそれを體現できる人間は今となってはごく僅かだろう。
この文章を読んでから5日が経ち、その意味がようやく今解った。
現在、集合意識の中には、既に精霊は居ない。精神に宿る流動性、精神が操るコトの流動性、仏教で言うところの「無常」だ。無常のサイクルは人によって異なる。
そう思うと、私の中には沢山の精霊が宿っているか、若しくは精霊の羽がまたたくことなく、コトを破壊させているかのどちらかだ。
私は無常のサイクルが非常に短い。
昨日と今日では自分は別人になっている。と自分では感じている。
その日のうちにその日の足場を無くしているからだ。
入って来たり、自ら湧いて来た「コト」も、その場で相殺させる。残したり、継続させることを私は嫌う。そもそも「コト」の循環が好きではない。だからもしかしたら私には精霊さえ居ないのかもしれない。
幼い頃より、御伽話やアニメに出てくる「天使」にとても違和感があった。神話の中の作られた偶像のようなものだと思っていたが、ようやく、「精霊」としての物理現象がわかりスッキリした。
精霊は嘗ては存在していた。現代では精霊の役目も要らないほど、精神も物質と化し、流動性がなくなった。個人の中では発見出来るときもあるのではと思う。
例えば、本物の壁を乗り越えるときに精霊は現れる。精神性が上がろうとしたとき、元いた此岸に別れを告げようとした時、自己否定をしたとき、そのようなときに精霊は現れる。
決して欲望成就の時に現れることはない。
それはウハウハ脳になっているだけで、そのとき現れるものは堕天使だ。所謂、魔が刺すとき堕天使は出現する。
故に現代の集合意識の中は堕天使に塗れていると言える。
また、本書のこの文章を読んで、やはり、神の力量はあると感じた。物理現象としては集合意識にある大きな秩序。自己が感じる世の中からの圧力であり、自己における妄想でもある。
「アフリカ的段階」が精神の原始なのか、疑問に思うところでもあるが、縄文に文献がないから比較対象としてピックアップ出来ないのではという、歴史的精神性の背景も気になるところでもある。
この文面だけでは驚くべき精神の豊かさとはどのようなものであるかは分からず、本書を読み進めてみようとおもう。
豊富な神話をもとに数々の儀礼を通して体系化しなければならなかった、その時代背景の方が私には気になる。文献が残されている時点でその精神の有限性が窺える。
自己の精神の中にいた精霊を外に出して、流動性のない偶像を崇め、それらとコミュニケートするようになった。この偶像などにより象徴化された神々は縄文の土偶も同じ意味なのかも併せて気になるところである。
精霊を個々から追い出すことで集合意識の中にも流動性がなくなり、神と自己との隔たりが起こる。
神に与えてもらう個となり、
先生と生徒のような縮図となる。
時代が下ると、神さえいなくなり、支配者がその役目となる。先生と生徒のような関係という無理クリの大義を通して、暴力を正当化させているのだ。
またウンザリしてくるから次行こ。
中国からの圧力を受けた、チベットの層たちだが、近隣諸国や欧米諸国に亡命した。
その歴史的動きがあったことは初めて知ったのだが、しかし、ここから先に私を萎えさせる文章があり、本書を読むのは辞めようかと思ったほどだ。
私たちは世界を「増殖の相のもと」に見るように慣らされている。とどこかに書かれていたが、「教えを乞うという相のもと」と「付加価値をつけなければ生きられない相」に見えるようにも慣らされている。
ゾクチェンが素晴らしいという付加価値を、欧米に逃げ込んだ僧侶自らが付け、他のものとの差別化をはかっている。自らが圧力をかけられ逃げて来たのにも関わらず、門下生にも同様の圧力をかけている。
私はこういった矛盾が大の苦手なのである。
教えの中身は素晴らしいものなのかもしれない。
しかし、資本主義的圧力が自身の中にある限り、自身の思想の中に欲望がある限り、精神に真の自由などないのだ。
ここに存在するのは、体系化された「真の自由を得るための教え」であって、真の自由を體現出来ているものは居ないと発覚しため、一旦、私の読書意欲は萎えたのだった。
この後の文章は、著者がゾクチェンに出会うために行動したストーリーが展開される。1970年代前後の時代背景も知る事ができ、面白い内容となっている。
第二部 ゾクチェンとの出会い
6 太陽を見つめるヨーガ
「原初の暗闇から脱出しようという抑え難い衝動があったのだということを、」という文があるが、光を見た時の感動(暗闇から出て来たとき受け入れてくれた母性的神秘)も併せ持つ、この意識が人間の集合意識の中に宿っている。
私はというと、その感受性も勿論存在するが、相も変わらず、暗闇も光もない、無の中に帰りたいという想いだけである。。
引用が多かったからか、4000文字以上となりました。
60P/420P
まだ冒頭の域…
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