『ポリアモリー複数の愛を生きる』–嫉妬–
2015年6月15日発行の深海菊絵さんの
『ポリアモリー 複数の愛を生きる』は
むぎの大切な本。
マイノリティである自分の感覚を、
初めて肯定してくれた存在。
離婚し、別々の暮らしをはじめて間もなく、
歯医者に対して嫉妬を抱いていることに気付かされる。
別居して1ヶ月程経って、歯医者から医院のパーティに誘われ、私は子ども2人を連れて参加した。
受付担当の子が、歯医者の隣に座っている。
歯医者の一挙手一投足をよく見ていて、何かとサポートしようとする姿を目にして
その子が特別な感情を持っているように思えた。
あれ?
私、嫉妬してる?
認めたくはなかったけど、はっきり自覚した。
それからは夢に見ることが増え、
何をしていても、あの2人が仲良くなっていくイメージが止まらず苦しんだ。
博士はとても繊細で敏感な人だから、すぐにむぎの変化に気付く。
全てが顔に出てしまうタイプな上に、対話のプロでもある博士に聞かれると、話さない選択肢がなかった。
『大好きなんだね。誰にも取られたくないんだね。』と
私が認められず、受け入れることができない感情を博士はいとも簡単に受け入れてくれた。
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この暮らしをして1年が経って、
週末の『家族する』ことが馴染んできた。
嫉妬の気持ちもいつの間にかしぼんでいて、落ち着いて安定した感覚。
そこに突然投げ込まれた歯医者の恋。
今までは、
彼女できたかな?
言われてないし、いないよね。
時々、私の妄想の世界で想像することはあってもそれは『現実』ではなく、
思い出したようにひょっこり顔を出す嫉妬はすぐに消えてくれた。
だけど、
それがついに『現実』になり、
『もしかしたらこのまま、この関係がずっと続くのではないか』という希望的観測は見事に打ち砕かれた。
それまでとても安定していた日々は、
逃れられない嫉妬に苛まれる日々に変わる。
私はひどく混乱し、ぐっすり眠れなくなった。
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嫉妬を感じる時って、一体何が起こっているんだろう。
嫉妬に対峙した時、思い出したのは
2016年に買っていた
『ポリアモリー 複数の愛を生きる』。
われわれは普段、〈1対1〉という恋愛スタイルを疑問に思わずに生きている。だが、それは絶対的なものではないかもしれない。本気で複数のひとを愛するというライフスタイル「ポリアモリー(複数愛)」を生きるひとびとが増えているのだ__。
不倫とも浮気とも違う、
〈誠実〉な愛のかたちを紹介してくれている本。
本には、ポリアモリーをライフスタイルとして生きる人々の豊富なインタビューの内容と考察が書かれている。
嫉妬のページより
彼らは「嫉妬とはなにか?」という根源的な問いからスタートし、その上で嫉妬とうまく付き合っていく方法を模索している。
本によるとポリアモリー実践者の80%が嫉妬を経験したことがあり、
同時に複数の人と関係を築くポリアモリーにとって『嫉妬は大きな課題』と明言している。
ポリアモリーのマニュアル本には必ずといっていいほど嫉妬対策の項が割かれていて、
代表的なアナポールのマニュアル本には、嫉妬の種類を5つに分類している。
①独占欲からの嫉妬
②疎外感からの嫉妬
③ライバル意識からの嫉妬
④エゴからの嫉妬
⑤不安からの嫉妬
深海さんがインタビューしたデータでは、
不安、ライバル意識、疎外感、エゴ、独占欲
の順に嫉妬の内容が構成されていることが明らかになっている。
モノガミー社会において、パートナーに好きな人ができることは、自分がふられることを意味する。他方、複数の人との関係を許容するポリアモリーでは、パートナーに好きな人ができても問題がないように思われる。ところが、ポリアモリーにおいても「パートナーが自分のもとを去ってしまうのではないかという不安を抱いた」というケースが多数見られた。
私はポリアモリーの生き方、考え方に深く共感していて、こんな風に人を愛していきたいなと思っている。
だけど実際はモノガミーの価値観が染み付いていて、到底及ばない。
博士と歯医者は、私が話しているから、ポリアモリーという生き方をしている人達がいることは知っている。
博士は私に対してのみ恋愛感情を持っており、現時点では他の人の存在はない。今後はどうなかわからないという、前向きな余白がある感じ。
歯医者は基本、深く考えていないが、ごく一般的な感覚で『特定の一人の人がほしい』と。彼が『家族する』一番の目的は『子どもの成長を見たい』ということであり、そしてこの家族に『自分の役割がある』と感じ、『期待には応えたい』と思っている。私に対する恋愛感情はない。
ということで、3人の仲において『嫉妬』を抱いているのは、私と博士。
私は、歯医者→彼女への気持ち
博士は、私→歯医者への気持ち
ということになる。
本の中では、
・嫉妬は道しるべになる
・そこから学ぶことができる
・自分を見つめるのに有効
嫉妬は善でも悪でもなく『活用できるもの』とされている。
『嫉妬』は『活用』するもの…
なかなか道は険しそうです。
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