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18.予想外の欲情


 盛り上がった夜だったらしく、お酒の入った夫もDも、上機嫌で話している。
 男同士楽しく飲んだあとだし、今日はわたしがいたら邪魔かな。
 お茶だけ淹れて、その場を去ることにした。安全地帯であるキッチンでお湯をわかし、リビングに背を向けて茶葉を用意する。
 
 安全地帯…?
 もしかして、Dの妻がキッチンから出て来なかったのも、そこが彼女の安全地帯だったから?
 
 「そうなんだよーワハハ」
 「で、ですね…」
 夫もDも、わたしがお茶をテーブルに置いたことにすら気づいていない。
 楽しそうで少し嫉妬。
 でも…
 少し大きな声を出すDを感じるのも新鮮だ。
 あっ。また…。
 Dの声を耳がひろったとき、またお腹の奥が、キュウッとした。
 
 いつだったかラジオで聞いたことに妙に納得したことがあった。人は他人の第一声を聞いたときに、その声が苦手だと、その人のことも好きになれないそうだ。確かに、声が嫌だな、と感じる人とは性格も合わなそうだ。
 
 じゃあ、声が好きな人とは?
 Dの声は、少し高くて歌うような、優しい声。耳元でその声を聞いたら…わたしのカラダは、反応してしまうかもしれない。
 やだ、今も既に…もう、何考えてんだろ。
 
 リビングからDの声と夫の声が聞こえてくる。
 わたしは洗面所の床に座って壁にもたれながらおもむろに脚を広げた。
 じんわり湿った股間を下着の上から撫で回す。
 全身に拡がる温かいしびれ。
 ああ、もっと。
 もっと声を聞かせて。
 
 それがDなのか、夫なのか、もはや選びとる理性は消え、快感にだけ埋もれていく背徳感が余計に興奮を促す。
 こんなことをしている自分が恥ずかしくもあるけど止められなくて、わたしは左手で口を押さえながら、右手を下着の中へ這わせ、温かく溢れてくるわたしの中に、人さし指と中指を何度も出し入れしていた。
 喘ぐのを必死で抑えながら、加速する手の動きに合わせて腰を揺らしている間、頭の中は久々に真っ白になっていった。
 

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