今日の気分は? 202401102 No.365
今朝の京都は曇り空です。1日を通しては曇り時々雨の予報です。午前7時の気温は20℃。日中は24℃予報です。大雨・雷・強風注意報発令中です。
京都市の天気予報は本日を最終日とします。ありがとうございました。
「応仁の乱で京の都の被害は甚大で、元々五重塔を造らはる時にお山から樹を伐り出したご縁がありましたさかい、お東さんが末寺であった愛染寺を改めて神宮寺として、稲荷山での仏教系の稲荷として荼吉尼天を祀り、神仏習合が進んでいきますのや。この愛染寺が甚大な被害を被った伏見稲荷大社の社殿造営や修復、復興などに一役買ったのはいうまでもおまへん。そやけど明治政府の神仏分離・廃仏毀釈の影響を受けて、愛染寺は閉門、後に廃絶となりますのや。その挙句に、荼枳尼天を祀る神社はほとんど残ってまへん。逆に荼枳尼天を稲荷神として祀るのはほとんどが寺院になりましたんや」
「よく調べてありますね」
「お山の内に住んでますと色々気になることもありますのや」
「そうなんでしょうねえ」
「面白いのは天台宗総本山である比叡山にも星峯稲荷に荼枳尼天が祀られとるんです。浄土宗総本山知恩院の濡髪祠にも荼枳尼天が祀られてます。もちろん真言密教の聖地、高野山にも荼枳尼天を祀る清高稲荷神社がおます。宗派を問わず荼枳尼天が祀られているのは何ででっしゃろ。それだけ力が強大であるということでっしゃろかなぁ。そうそう、京都の中でも有名寺院の一つの金閣寺はんの裏口近くにも荼枳尼天を祀る宗旦稲荷がありますのや。ところで金閣寺はんが正式には鹿苑寺と呼ばれることは多くの人が知ってはりますやろ、そやけど臨済宗・相国寺の塔頭寺院の一つやということは知ってはりましたか?」
面白い話だった。
不思議に思っていた事柄がずいぶん解消されたように思う。
荼枳尼天への考察はもう必要ないくらいなんじゃないだろうか。
今後私がこの神社について何かするとすれば本来の稲荷神についてだな。
それはつまり秦氏の話になっていくのだろうか。
「すっかり長居してしまって、ありがとうございました」
「もうお帰りどすか?」
「こんなにのんびりさせていただくつもりじゃなかったですから、どっと疲れが出てきましたよ。これ以上長居すると帰れなくなりそうです」
「残念どすなあ、これから夕飯の支度しますのに」
「そんなに甘えられませんよ」
「いっつも一人っきりで食事してますとね、誰かと話しながら食事するのが新鮮で。一人分作るのも二人分作るのも一緒どすし、私のためと思ってご相伴くださいな」
「そんな誘われ方をしたら断れないじゃないですか」
「なんか苦手な物とかお嫌いな物はございますか?」
「人間が普通に食べる物なら何でも大丈夫ですよ」
「ワインでも飲んでちょっと待ってておくれやす」
「これ以上寛いだらホントに帰れなくなりそうですよ」
「部屋は余ってますさかいお泊まりになっても大丈夫どすえ」
「またまたご冗談を」
「そうどすなあ、初対面ですものねえ」
「そうですよ、初対面なんですよ。こんなに寛いじゃってすみません。やっぱり帰りますね」
「そんなつもりやおへん。ご飯だけでも食べていっておくれやす」
「どうせ帰る途中で何か食べて帰ることになりそうだから、お言葉に甘えます。いいですか?」
「大歓迎どす、急いで作りますね」
結局初めて訪れたお宅で食事をご馳走になり、お酒までもいただいてしまった。そして夜は更けていく。
「お酒を少々過ごしてしまいました。これ以上はご勘弁願いたい」
「明日もお休みどすやろ? 泊まっていきなはれ」
「そういう訳にはいかないでしょ?」
「ここまで付きおうたんやし、最後まで付き合いなはれ」
「酔った勢いで、というほど若くないですよ」
「そんなことは望んでまへん。まあそうなっても構いまへんけどなぁ」
「本気にしますよ」
「かましまへん。ほんならお風呂沸かしてきまひょか」
「困るなぁ」
と言いながら腰が上がらない。
離婚して独り身だからいいようなものの、彼女のことを何も知らない。
こういうのをゆきずりというのだろうか?
「お風呂沸きましたえ。先にお入り」
「それではお先に」
「お背中流しまひょか?」
「それよりご一緒しませんか?」
「いきなりどすなあ、腹括りましたんか?」
「そうかもしれません」
「うちは荼枳尼どす。それでもよろしおすか?」
「今更断れるんですか?」
「それもそうどすなぁ。あんさんは面白おす」
翌朝、彼女の姿はなかった。
布団の上で目覚めたのだが、先程まで肌を合わせていたような感覚が残っている。
目眩くような夜を過ごしたはずなのに、頭がボーっとしてはっきりしない。
一緒にお風呂に入ったような気もするが、それすらもはっきりしない。
だが、お風呂場の様子はよく覚えている。
普通の家のお風呂場と比べると湯船は檜だったろうか、随分と広かったし同様に洗い場も広かった覚えがある。
うっすらと残り香のする室内でしばらく彼女の帰りを待ってみたが、戻ってきそうな気配がない。
知らない家の中をウロウろするわけにもいかず、後日お礼とお詫びに訪れようと、メモを残してお宅を出た。
もう一度稲荷山に挑戦する気力は湧かず、京阪電車に乗ってすごすごと帰ることにした。
駅までの参道には、普段ならこの地の名物であるスズメの丸焼きやウズラの丸焼きが所どころで売られているのだが、朝が早いためか、準備さえまだのようだ。
どこかでコーヒーでもと思ったのだが、今日はとにかく家に帰り着きたかった。
気が付いてしまったのだが、よくよく考えてみれば彼女の名前も年齢も何も知らない。
確か『うちは荼枳尼どす』と言ってたようだが……。
あの日からそれほど日数が過ぎていない時、先日のお礼とお詫びを兼ねて、和菓子を手土産に稲荷の地を昼過ぎに訪れた。
しかし、彼女のお宅がどこを探しても見当たらない。
散々歩き回ったのだがとうとう探し出すことはできなかった。
あの日の出来事は一体何だったのだろうか。
さらに後日、私に変化が訪れた。
見えないものが見え、聞こえないものが聞こえるようになったのだ。
とはいえ幽霊や妖怪、お化けの類ではなさそうだ。
だとすればあれは何?
皆さんは、スズメやウズラの丸焼きを食べたことがありますか?
実は伏見稲荷大社の参道にある名物なんです。
店頭で部位だけじゃなく、丸ごとを焼かれている姿を見ることもありますから、少しショッキングかもしれません。
そして、骨も含めて丸ごといただくそうです。
数に限りがあるらしく、遅い時間では売り切れになっていることが多いらしいので、興味のある方は、早めに行くことをお勧めします。
特に休日などで参詣者が多い時はなおさらです。
ではなぜスズメやウズラなどを食べるようになったのでしょう?
言い伝えによると、伏見稲荷大社は五穀豊穣の神として存在し、その五穀を啄む、つまり五穀豊穣の邪魔をするとうことから退治され、見せしめのために食べられたということのようです。
一説には、お供え物ではないかともいわれており、例えば、海の地域では、魚や海藻、貝などをお供え物に、山岳地域では、きのこをはじめとする山のものをお供え物に、また、猟師であれば、捕獲した野鳥などをお供え物に、平地で農業を営む方たちは、お米をはじめとする穀類とそれに類する酒や味噌などをお供え物にするでしょう。
昔は稲荷山に特別スズメやウズラが多かったのかどうかは定かではありませんが、稲荷山へのお供え物であったのが事の発端だったのかもしれません。
お供え物は、お下がりとなり、皆に分け与えられることが多いとされますから、調べた訳ではありませんが、この地域にはスズメやウズラを食べる習慣が昔からあったのかもしれませんね。
それを商売にした人は偉いなあ。
因みにスズメは狩猟期間が決まっているようで、冬が旬らしいです。
他の季節は冷凍モノになるとか。生々しいですね。
今回の伏見行きでは、食べることが叶いませんでしたが、次の機会があれば試してみようかと少しだけ思っています。
第十四巻終わり
長らく『読み物 神や仏ってなんだ?』をお読みいただき、ありがとうございました。
物語はまだまだ続くのですが『今日の気分は?』での掲載は、これが最後になります。
今のところ続きをどこかで掲載する予定はございません。
中途半端となりましたが、ご了承くださいませ。
◆新規掲載の企画 (紹介は初日のみ)
11/30 23:59まで
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※投稿された日付より15日間で削除されます。ただし、削除されてもイベントが終わったわけではありませんのでお間違いなく。
11/15で削除します。
11/8で削除します。
神々の宴 神在月の出雲 序章
神々は年に二度、集団で大移動しなければならない時がある。
一度は神無月の出雲。
出雲の地では旧暦の神無月を神在月と言い換えるほど、昔から神が集うことで有名である。
その時の出雲はそれはそれは賑やかな地となるのだが、多くが集まれば色々なことが、揉め事、色事、飲み会などが起こるのも人間社会と変わるものではない。
さて神々が集まって何をするのだろうかというと、全体会議や地域ごとのミーティング、ロビー活動、テーマごとに分けられた小委員会などで、現在の国連総会と似たり寄ったりな感じである。
違いは集まる方々が各国の要人か、日本中の神々の違いだろうか。
付け加えるとするならば、天津神であろうと、国津神であろうと、地主神であろうと皆平等の権利を有し、拒否権発動などの強権を持つ神はいない。
力の差は歴然としていても、臆することなく権利を行使できる神の世界は、我々人間にとって学ぶべき事柄がたくさんあるように思ってしまうのは私だけだろうか。暴挙に出ても拒否権発動で終わらせてしまえる人間界とはずいぶん違うようだ。
有名なシーンで言えば、素戔嗚尊と天照大神が誓約 をし、占いに勝利した素戔嗚が高天原で大暴れをし、挙げ句捕縛され追放となってしまう事件ががある。
素戔嗚と言えば伊邪那岐・伊邪那美の息子、最高神とされる天照大神の弟にあたるのだが、捕縛や追放が行使されるのだからいかに平等な社会であるかが窺えるというものだ。ただし、何が起こっても天照大神を頂点とする神々の序列は変化することがない。だから権力争いも存在しない。この世 (?) で一番平和な世界でもあるのだ。
たしかに遠い過去には土着の神々との諍いも戦もあった。騙し討ちや暗殺などもあった。あちこちの姫を娶ったり、手籠めにしたり、強奪したりもあった。
この辺りのことは古事記や日本書紀に記されているから、そちらを参照していただきたい。
ちなみに外国の本はその国の言葉で記された本を読むことを奨められるが、古事記や日本書紀なども原文で読むことをお勧めしたい。きっと面白さが増すことだろう。まぁこれは私の主観に過ぎないのだが…………。
神々の目下の最大の懸念事項は年々神社そのものが減っているということだそうだ。
林の中にポツンとあるような、村の鎮守だった小さな祠のような神社は、世話をする人間がいなくなりその役目を終えていたりする。
それでもまだ神が頑張っているところでは時々ご神饌が届けられたりするようだが、神社自体を管理する神主はいくつもの小さな神社を掛け持ちしているために、掃除ひとつをとってもなかなか満足な形にはならない。
例え神が必死になって頑張ったとしても、世話をする人間がいないとどうにもならない。中には眷属が頑張っている例もあり、なんなら神自らが頑張っている例もあるそうだが、どうにもならない部分が少なからずあり深刻な問題となっている。
「テンテルはん、どないしますのや」
「テンテルと言うな」
「このままやとわてらの世界は崩壊しまっせ」
「長年の懸案事項であるのに、今すぐに答えが出るわけがあるまい」
これは昨年の一番大きな会場での一幕。
以後、神々の言動を書き記すことになるのだが、神々は郷土色豊かに方言や、古い神様は神語を、付喪神たちはその時代の市井の言葉を話しており、時折人間には及びもつかない発言や事柄があったりするので、若干の修正を加えていることをご了承いただきたい。
また、市井同様真面目な神もいれば、不真面目な神もいる。
朝から飲んだくれる神もいれば、他の神のスピーチを真剣に聞いている神もいることもご承知おきいただきたい。
さて冒頭で神々は年に二度、集団で大移動しなければならないと書いた。
もう一度はどこで、いつなのか。
それはこの物語の終わりにお伝えすることとしよう。
こんな物語を書きはじめました。まだまだ先になるし、修正も必要なのですが、お披露目できる日が来るといいなぁ。
11/8 22:00~
2024.11.09. 0:00~11.24. 23:59
11/16 22:10~
1曲目は AWESOME CITY CLUB の シャラランデヴー 。
2曲目は milet の hanataba 。
3曲目は Aimer の 月影 。
音楽を紹介するコーナーは本日をもって終了とします。
音楽コーナーの初日は2023.11.14.でした。
以来本日まで1,150曲をご紹介させていただきました。
ありがとうございました。
『今日の気分は?』という題名で始めた記事は、本日丸一年を迎えました。
それをキッカケとして大幅なリニューアルをすることとしました。
明日からは個人企画スケジュールのご紹介のみとなります。
先日予行のつもりで作成してみました。
面白味は一切ありません。
淡々と企画スケジュールを羅列しているだけです。
少しでも皆様の創作の一助になればとは思っていますが、読みに来てくださる方もグッと減るんだろうなとも思っています。
加えてコメ欄でのやり取りもグッと減ると思っています。
まぁそれも良しです。
今までありがとうございました。
これからも価値があればご利用くださいませ。
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