演技のカイブツたち~映画『笑いのカイブツ』~

岡山天音主演『笑いのカイブツ』を観てきました。
岡山天音くんが好きで、事前情報をほぼ仕入れず、タイトルから想像できる世界観のみで臨みました。

めっちゃくちゃ面白かった。


まず当たり前だが岡山天音くんが良すぎる。陰と陽の演じ分け凄すぎん?

陽で言えば朝ドラ「ひよっこ」の漫画家新田。最近だとテレビドラマ「日曜の夜ぐらいは…」のみねくん。
優しい笑顔、女性の中にいてもまったく違和感のないほんわかした雰囲気。↑の作品はどちらもそうでした。

なのに陰の役も合いすぎる。私が岡山天音くんを好きになったのは2014年のドラマ「家族狩り」。引きこもりの少年実森くん。全身白の衣装で長い前髪。セリフは少なく立ち居振る舞いだけで異様な雰囲気を見事に出してた。

『笑いのカイブツ』ではずーーーーーっと陰モード。
陰どころか闇。
笑顔なし。夢が叶っても、褒められても、笑顔なし。喜びの中に戸惑ったような、おびえているような雰囲気をずっと保ってるツチヤなのでした。

そんなツチヤ、映画開始1分で分かる狂気ぶりを発揮し、5分に一つネタを考えノートに記し、テレビの大喜利番組に投稿し続け、採用回数を重ねると得られる称号「レジェンド」を目指している。
ツチヤに関するバックボーンはほぼ示されないが、成人式の描写があるので二十歳と分かる。
5分に一回ネタを考えなければならないという自分に課したノルマをこなすため、生活のすべてを犠牲にするツチヤ。しかし生きるには金がかかる。どうやって生活しているのだろうと思ったら、様々なバイトにも取り組んでいた。しかしネタを考える時間以外はすべて無駄なツチヤはバイト中もネタのことばかり考え仕事にならないので、当然バイトはクビになる。
そんなツチヤだが、投稿し続けていると採用されることもあり、ついにレジェンドの称号を手に入れる。おめでとうツチヤ。
映画冒頭からツチヤの目標だったレジェンドを達成し、「この映画はどこへ向かうのだろう」と思いつつ、映画全体の湿った不穏な空気を感じていたところに現れたピンクこと菅田将暉。

スダマ、オーラ半端ねええええええええ

冒頭にも書きましたが、「岡山天音くんが出ている」という事前情報のみで臨んだ為、菅田将暉が出ていることを知らなかったので出てきてプチパニック。えっ、えっ、スダマ…!!!??サプライズ出演!!???と思っていたらちゃんとポスターにもパンフレットにも名前載ってた。
声を聴くだけで一瞬で正体が分かってしまった、私もしかしてスダマのこと好きなのかも…?そして名前の「ピンク」の通り真っピンクの髪、ほっそい体にタイトな服装、そして胡散臭い関西弁。なぜ菅田将暉が関西弁を話すとなぜあんなに胡散臭くなるのか。(褒めてる)
テレビドラマ『MIU404』で菅田将暉が演じたクズミを彷彿とさせるつかみどころのない男、ピンク。いつも誰と電話してんねん。胡散臭すぎるだろ。
クズミよりはほのかに人間味があるピンク。好きだ…


そしてもう1人の演技のカイブツ。


岡山天音、菅田将暉、そして仲野太賀。
いやもうこれ笑いのカイブツじゃなくて演技のカイブツだろ。
仲野太賀演じる人気お笑い芸人寺西は、ツチヤにとってはピンクの次に出会った確実に人生を変えてくれたターニングポイントの人物なんだけど、仲野太賀という俳優が良すぎて、観ている間中ずっと「この人裏があるんじゃないか…」と思ってしまっていた。ネタバレとしてこれだけは言いたい!!寺西さんはいい人!!!疑ってごめん!!!!
寺西さんと出会った人生がいいほうへ変わり始めたツチヤ、しかし前半に感じた「この映画はどこへ向かうのだろう」という不安が消えない。レジェンドに昇格し、寺西に出会い、ツチヤの人生は浮上する。しかし、浮上しては落ち、浮上してはまた落ちてしまう。ツチヤはどこへ行くのか。
そしてツチヤが出した答え。
結末は映画でご覧ください。めちゃくちゃ最高のラストでした。まさに「何者になりたかった全ての人へ」。
かなえたい夢があった人、何かを目指したことがある人へ。


そして、おかん。

ツチヤがラッキーだったのはピンクや寺西と出会えたことはもちろん、おかんがおかんだったこともあると思う。
おかんは二十歳そこそこの息子が定職にもつかず、成人式にも行かずネタを書き続けることを止めなかった。ツチヤが頭を打ち続けて空いた穴を黙って塞ぎ、びしょ濡れで帰ってきた時も怒らず、時々つぶやき程度の小言を言うだけでいい距離でいてくれた。そういう人がいるのといないのは、少し違うよね。絶対的な味方ではないけど、完全に一人になることはなかった。
おかん演じた片岡礼子さん、観たことあるなと思ったら映画『Red』で定食屋で出会う女性!!!!!原作にはないキャラクターだけど映画では主人公の塔子との会話が印象的だったのでよく覚えてる。
儚げで色気があって、影がある。雰囲気だけで「この人絶対重い過去あるじゃん~~~~~~~~」って思わせる、そんな雰囲気の、、この人もまた、演技のカイブツだと思った。『笑いのカイブツ』でも彼氏を連れ込んで酒を飲むシーンがあり、一見すると「いい母親」じゃないのに言葉の端々、息子に向ける視線があったかい。役名が名前じゃなくて「おかん」なのも良い。合ってる。「母ちゃん」でも「おふくろ」でもなく、「おかん」なのが良い。

結局一番言いたいのは

ラストシーンが好きだ。演者も素晴らしい映画。
この映画を見て勇気をもらうものもいるだろう、だがその一方で辛い気持ちになる人もいるだろう。ツチヤが出会ったのはいい人だけじゃない、そして現実にも嫌な人はいる。合わない人はいる。
つまり、人間関係なんてものはクソだ!!!!!!!!!!!!!!
人間関係なんてものがなければ世の中はもっと生きやすい。現実を生きにくくしてるのは人間関係だ!!!!!!!!!!滅べ人間関係!!!!!!!!!!!と思いました( ^)o(^ )


そして余談。

結末の良さ、演者の素晴らしさのあとにこれを言うのは本当にどうかしてると思うんだけど、、岡山天音くんの体、良いね…。前半はひょろっとしているんだけど、後半に出てくるボディは前半よりちょっと肉がついていて、全体的に体毛はないんだけど、へそ下だけ毛があるんだよね。
それに気づいた時、好き…ってなりました。すいません。

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