図14

脳性麻痺を伴う就学前の子どもにおける3つのアプローチの効果:ランダム化比較試験(Efficacy of three approaches in preschool children with cerebral palsy: a randomized controlled trial)

ANNE J KRUIJSEN-TERPSTRA

Developmental Medicine & Child Neurology 2016, 58: 758-766

【要旨】

目的:脳性麻痺を伴う就学前の子どもに対して,セルフケアと運動能力を最適化するためにPT・OTによって行われる子どもに焦点を当てた介入,文脈に焦点を当てた介入,そして通常ケアの効果について調査する.

方法:13のリハビリテーションセンターでの多施設クラスターRCTが行われた.脳性麻痺を伴う68人(男性38,女性30;平均3歳,SD6ヶ月,1歳11ヶ月-4歳),GMFCSレベル1から4まで,すでにセラピーを受けている子どもが含まれている.子どもは6ヶ月間子どもに焦点を当てた介入,文脈に焦点を当てた介入,または通常ケアを受けた.セルフケアと移動能力はPEDIの機能的スキルで評価された.

結果:子どもに焦点を当てた介入,文脈に焦点を当てた介入,そして通常ケアはセルフケア(通常ケア:参照,子どもに焦点:β=-0.11,95% CI -0.68 to 0.46;文脈に焦点:β=0.13,CI -0.38 to 0.64),移動能力(通常ケア:参照,子どもに焦点:β=-0.09,CI -0.93 to 0.75,文脈に焦点:β=0.14,CI -0.65 to 0.94)において,すべて有意だが似たような向上を示した.

解釈:この結果は3つのセラピーアプローチが脳性麻痺を伴う就学前の子どもにとって同等に効果があることを示唆している.子ども個々の状況によりそれぞれのアプローチを選択することが出来る.

【私見】

Lawの報告を受けて,さらに通常ケアグループも含めて介入の効果を検証した論文です.この研究では各グループの手続きが比較的詳細に記述されています.

ただし,通常ケアに関しては具体的な手続きは各セラピストに委ねられているため詳細はわかりません.

この研究でもやはり,各グループでの有意な差は見られませんでした.個々の子どもに合わせて介入戦略を変えるというのは当たり前のように思える結論ですが,文脈(環境・課題)のみに焦点を当てて介入しても良い結果が出るとわかったのは嬉しい報告かもしれません.

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