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困った時のプラス思考

2008年10月18日に日経新聞夕刊に掲載したものを修正加筆したものです。

先日、女子レスリングの浜口京子選手が右ひじの故障を抱えながらも、世界選手権で銅メダルを獲得した。彼女の精神力の強さに驚くばかりである。

僕自身、リレハンメルオリンピックに出場するまでには怪我を乗り越えなければいけなかった。

オリンピック選考会の一つ、ブラッコム(カナダ)での大会で大転倒して、右すねを強打し、緋骨と脛骨の間の筋膜を極度に炎症させてしまった。

スキーブーツに足を入れるどころか、足を地面につけるだけで激痛が走る状態。米国での最終選考会に行っても公式練習すら出られず、オリンピックへの夢を諦めかけて実家に電話した。

すると電話越しの父は「まだ試合が始まってもいないのに、諦めるな。人は何かをやるときには必ずハンディキャップを背負っているものだ。今からでもやれることをやれ」

甘いことばを期待していた僕にとって面食らうような厳しいことばが返ってきた。僕は「人の気持ちも知らないで」と憤慨して電話を切って宿に戻った。

その時から気持ちを切り替えることが出来、どうすれば痛みを軽減できるのかと、初めて前向きに考えることが出来た。

そしてブーツを工夫し、開き直って思い切り滑った結果、リレハンメルオリンピックの出場権を獲得した。

父の三浦雄一郎も65歳でエベレスト挑戦を決めたときは、ハンディを背負っていた。当時の体脂肪率は38%、高脂血症で糖尿病といわれ、札幌の自宅近くにある標高531㍍の藻岩山でさえ登頂をあきらめて帰ってこなければいけなかった。

しかし父は

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