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キャンプ2からカトマンズへ 朝起きて食事をする。ついに今日、ヘリコプター下山を行う。ヘリコプターは昨日一日待ちぼうけであった。今日は本当に大丈夫かと一抹の不安がよぎる。父の酸素も残りわずかである。C2にあるすべての酸素をかき集めてきても、今、父が吸っている酸素が最後のボトルだ。もし、これを使い切ったら、父は無酸素でここから下りなければいけなくなる。 昨日、アイスフォールが崩落、その後急ピッチで修復されたがBCから追加の酸素を要求しても、今日までに父を歩いてアイスフォールを
下山の判断 今朝起きると、身体のいたるところが痛かった。昨日、13時間もかけてローツェフェースを降りてきた。この時、父をサポートしながら足を踏ん張り、体をひねったり、ロープを引っ張ったりしていた。そのためから全体まんべんなく疲れている。全身運動である。この運動をどこかのトレーニングジムで再現できたら「エベレスト流トレーニング」として売り物になるのではいかと考えたが、これをまた街の中でやろうとは決して思わないだろう。 隣を見ると父もどうにか上半身をおこして小便をキジビンにし
キャンプ2まで合計30時間 昨日の夜、父はテントに入り込むと何も口にせずに寝袋に入ってしまった。「寝る前には2リットルの水分を飲んでくださいね」と大城先生から言われていたので、シェルパに頼んで作ってもらったお湯が、テルモスに三つ、テントの中で宙ぶらりんになっている。暇だから僕はお茶をのんでお父さんの様子を見守っていたのだが、寝袋に入って間もなくいびきが聞こえてきたので大丈夫だろうと思い、写真を日本に送ってから僕も寝た。 朝が明ける直前、ごそごそと隣で音がする。父がトイレの