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三浦豪太の探検学校

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冒険心や探究心溢れる三浦豪太が世の中について語った日本経済新聞の連載記事「三浦豪太の探検学校」(2019年3月に最終章)の、リバイバル版。わずか11歳でキリマンジャロを登頂。フリ…
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2022年4月の記事一覧

道具の特性 知ってこそ

2014年1月11日日経新聞夕刊に掲載されたものです。  ニセコアンヌプリの頂上は激しい吹雪だった。しかし、山頂まで歩いてきたおかげで体は適度に温かい。最近のバックカントリースキー(スキー場管轄外)関連製品の開発は目覚ましく、こうした登攀(とうはん)もほとんどストレスを感じさせないように工夫がされている。  バックカントリースキー用のバックパックにはコンパクトにレスキューに必要なシャベルやゾンデ棒(雪下捜索用棒)、シール(雪上歩行用テープ)が収まり、小さいながら登攀時にはス

変化に身を投じる

2014年1月4日日経新聞夕刊に掲載されたものです。  今年もスキーシーズンが始まった。我がサッポロテイネスキー場はシーズン序盤こそ雪が少なかったが、年末に立て続けにやってきた低気圧によって各コースが開かれた。  僕は毎年ここで本州、九州、四国からの子供たちを連れてスキーキャンプを行っている。毎年参加してレベルを上げる子供たちもいるのだが、初めて雪を見るような子供も参加する。  そんな彼らの最後のイベントとして、すべてのクループを引き連れて「北壁コース」を滑り降りることが

覚悟新たに初詣へ

2013年12月28日日経新聞夕刊に掲載されたものです。  2013年も残すところあと3日となった。元旦恒例の初詣で、札幌の手稲山山頂にある手稲神社に行く予定だ。毎年のことなのに、今年の参拝は決して心穏やかではいられなかった。  春にエベレストに出発するのだが、13年が明けたこの日、父雄一郎の不整脈は収まっておらず、エベレストに向けて万全の体制とは言い難かった。加えて、妻も身重で予定では子供は僕が遠征に行っている間に生まれる。手稲神社の神前でいつもより長く手を合わせていたの

ナナカマドで冬予想

2013年12月7日日経新聞夕刊に掲載されたものです。  1カ月前、谷川岳に登っていると、ナナカマドの実が見事に色づいていた。  以前、母からナナカマドの実が紅色になり、房が大きいとその年は大雪になるといわれたことがある。厳しい冬の到来を予感した。  僕はスキーヤーという職業柄、秋も終わりになると、その年にどれくらい雪が降るのかというのが気になる。個人的に「暑い夏の年は雪が多い」と信じている。こうした言い伝えは地方にもたくさんある。  長野では「猿が早く里に下りる年は冬が