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インド最新法令UPDATE Vol.2:インド会社法改正の最新動向

2013年に施行された「2013年会社法」(以下「旧法」といいます)に関して、2020年9月28日に公布された「2020年会社(改正)法」(以下「新法」といいます)において改正が加えられました。本改正は、会社法委員会(Company Law Committee、以下「CLC」といいます。)による勧告に基づき実現したものです(*1)。

*1 CLCは、政府が不正の意図なく行われた違反を非犯罪化し、罰則の基準を合理化して、インドの法人および株主にとってビジネスがしやすくなるようにすること目的として設立されました。

また、会社法の内容は、政府が定める施行規則(Companies Rules)により、その詳細が具体化されます。施行規則は、会社法の各セクションごとに制定されています。例えば、会社法の施行規則として、以下のものが制定されていました。

• 定義規定に関する会社規則(2014年)
• 設立に関する会社規則(2014年)
• 株式および社債に関する会社規則(2014年)

最近では、2020年12月21日2021年1月22日2021年2月11日2021年3月5日2021年3月18日および2021年3月24日付の通知によって、各施行規則に対する改正が行われています。

さらに、インドにおける新型コロナウイルスの状況に鑑み、会社法のいくつかの規定について、その適用を緩和する措置が講じられています。

本稿では、①2020年会社(改正)法による会社法の改正内容、②最近の会社法施行規則の改正内容、③コロナウイルスに伴う会社法の規定適用の緩和措置について、それぞれ説明します。

1. 新法に基づく変更

(1)旧法に基づく特定の違反行為に関する変更

CLCの勧告に従い、また不正の要素がない、または重大な公共の利益に関わるものではない違反や不遵守等に対する罰則を合理化する目的で、新法は旧法のいくつかの規定について変更しました。 こうした変更は大まかに次の3つのカテゴリーに分けることができます。

① 収監が廃止された違反/不遵守
不正の要素または重大な公共の利益を伴わない旧法に基づく特定の違反や不遵守等について、新法は会社役員(不履行を犯した役員等)の収監を廃止しました。ただし、罰金を支払う民事責任は維持されています。収監が廃止された違反には、(i)慈善目的のために設立された会社に関する不遵守(第8条第11項)、(ii)会社の目論見書に記載することが義務付けられている事項の不記載(上場会社および上場予定の会社の場合)(第26条第9項)、(iii)自社株買戻しに関連する条件を満たしていない(第68条第11項)、(iv)会計帳簿を付けていない(第128条第6項)等があります。

② 罰金が減額された違反/不遵守
旧法に基づく特定の違反や不遵守について、新法は罰金を減額しました。例えば、(i)株式の譲渡に関連する規定の不遵守に対し、会社は25,000ルピー以上2,500,000ルピー以下の罰金が科される可能性があり、不履行を犯した各役員は10,000ルピー以上100,000ルピー以下の罰金が科される可能性がありましたが、新法は、会社および不履行を犯した各役員が支払わなければならない罰金額を50,000ルピーに減額し(第56条第6項)、(ii)株式資本の変更に関する届出を行わない場合、会社および不履行を犯した各役員は不履行各1日につき1,000ルピーまたは500,000ルピーのどちらか少ない方の額の罰金を科される可能性がありましたが、新法は、罰金額を不履行各1日につき500ルピー、ただし、会社の場合は最大500,000ルピー、不履行を犯した各役員の場合は最大100,000ルピーに減額しています(第64条第2項)。

③ 代替裁定メカニズムによって扱われることになる違反/不遵守
会社法審判所(National Company Law Tribunal、以下「NCLT」といいます。)に係属する会社法関連の事件を減らすために、新法は、固有の内部裁定メカニズム(以下「IAM」といいます。)を導入しました(第454条)。この新たなメカニズムでは、示談可能な違反(*2)については会社登記局(Registrar of Companies、以下「RoC」といいます。)が指名する裁定人が罰金額を裁定することができ、NCLTに諮る必要がなくなります。IAMによって扱われることになる違反/不遵守には、(i)政府の指示に従って規定の期間内に社名を変更しない(第16条第1項、第3項)、(ii)株式資本の減額に関連するNCLTの命令の不遵守(第66条第11項)等があります。

*2 旧法第441条は、一定の事件(技術的または微細な性質の違反または不遵守に関わるもの)については、違反者が起訴されるのではなく単に罰金を支払うことによって解決することを認めている。

違反の非犯罪化や罰則の軽減等に関連する規定は、すでに施行されています。

(2)特定の場合における上場に関する免除

旧法は、「上場会社」を、その証券のいずれかが証券取引所に上場している会社と定義していました。さらに2008年インド証券取引委員会(債務証券の発行および上場)規則(Securities and Exchange Board of India (Issue and Listing of Debt Securities) Regulations, 2008、以下「SEBI規則」といいます。)によると、非公開会社も自社の債務証券を証券取引所に上場することが認められています。規制の観点からは、自社の債務証券を上場している非公開会社も上場会社とみなされます。そうした会社は、監査役、独立取締役、女性取締役の指名や取締役会レベルの委員会の設立等、いくつかの追加義務を遵守することが義務付けられています。2021年1月22日付で、旧法第2条第52項に定める上場会社の定義は、特定タイプの会社をその範囲から除外する権限を政府に与えるよう改正されています。その後、2021年2月19日付の通知で、政府は2021年会社法(定義の詳述)第2修正規則(Companies (Specification of Definition Details) Second Amendment, 2021)を通知し、これに従って、以下の類型の会社は上場会社の定義から除外されました。

(i)公認証券取引所に自社株式を上場していないが、(a)SEBI規則に従って非転換型債務証券、または(b)2013年SEBI(非転換型償還可能優先株式の発行および上場)規則(SEBI(Issue and Listing of Non-Convertible Redeemable Preference Shares)Regulations, 2013)に従って発行された非転換型償還可能優先株式を上場している公開会社
(ii)SEBI規則に基づき公認証券取引所に自社の非転換型債務証券を上場している非公開会社
(iii)インド国内において株式を上場していないが、旧法第23条第3項に従い、許容可能な外国の証券取引所上場している公開会社

上述の規則は2021年4月1日に発効しています。これにより、一部の非公開会社および公開会社につき、コンプライアンスが容易となる場面も出てくることが想定されています。

(3)直接上場

現在、インド企業は外国の証券取引所に自社株式を直接上場することが認められていませんが、預託証券(ADR/GDR)を発行することは許容されており、これらをさらに外国の証券取引所に上場することが可能です。新法により、旧法第23条に第3項が新設され、特定種類の公開会社が許容可能な外国の証券取引所に自社証券を直接上場することを許可する権限を政府に与えています。何が「許容可能な外国」に当たるのかについて、新法は指針を示していませんが、SEBIの報告書2.2項によると、許容可能な外国には、捜査が行われる場合にインド当局と情報を共有して協力する条約上の義務を有する法域を含む可能性があります。これには、証券監督者国際機構(Board of International Organization of Securities Commissions)の加盟国、金融活動作業部会(Financial Action Task Force)の加盟国等が含まれる可能性があります。上述の規定はこれまでのところまだ実施されていません。実施されると、インド企業は、外国で直接株式を上場することによって資金調達する権利を得ることになります。 

(4)ライツイシューの期間の短縮

旧法第62条によると、会社は、ライツイシューを行うことによって既存株主に対し追加の株式を比例配分で割り当てることができます。さらに、法律は、このようなオファーを利用するために株主に15日以上の期間を与えることを会社に義務付けています。新法により、政府には、このオファー期間を短縮する権限が与えられました。政府は、2021年2月11日付で2021年会社法(株式資本および社債)修正規則(Companies(Share Capital and Debentures)Amendment Rules, 2021)を通知しており、ライツイシューのオファー期間は7日間まで短縮することができるようになりました。この改正によって、会社はライツイシューのオファーをより短期間で終了し、迅速に資金を調達できるようになります。

(5)受益権の宣言に関する免除

旧法第89条によると、会社の受益権を保有するかまたは別の者を代表して株式を保有する者は、会社に対しこれに関する宣言を行うことが義務付けられています。そうした者は、そのような受益権に変更があれば、これについても宣言が義務付けられます。さらに、会社もRoCに対しこれについて申告を行うことが義務付けられています。2021年1月22日付で第89条は改正され、政府には特定区分の者について前述の宣言を行うことを免除する権限が与えられます。ただし、2021年6月時点で政府はこの免除の対象となる者の区分を特定する通知を出していません。

(6)特定の会社による決議、合意等の届出の免除

旧法第117条は、資金の借入や融資の供与等に関連する特定種類の決議や合意等についてRoCに申告することを会社に義務付けています。ただし、その業務の固有の性質により銀行はこうした申告を免除されていました。2021年1月22日付で、銀行以外の金融会社および国立住宅銀行もそうした申告を免除されました。上述の会社もやはり貸金業に関わっているため、政府は旧法第117条の遵守を免除したものです。

(7)独立および非業務執行取締役の報酬

旧法第197条第3項によると、会計年度中に利益がない、または不十分だった会社は、独立取締役等の非業務執行取締役に対し報酬を払うことが認められていませんでした。これに対し、マネジング・ディレクターやホールタイム・ディレクター(常勤取締役)等の業務執行取締役は、そうした時期でも旧法別表Vに基づいて認められる範囲で報酬を受け取る権利がありました。2021年3月18日付にて政府は上述の規定を改正し、会社の利益の上がらない時期の報酬の支払における業務執行取締役と非業務執行取締役の間の不一致が取り除かれました。その結果、非業務執行取締役も旧法別表Vに従って報酬を受け取る権利を得ています。本規定は、外国会社がそのインド子会社または合弁会社の業務執行取締役および非業務執行取締役の給与体系を構築するのに役立つものと考えられます。

(8) 会社法上訴審判所の法廷

新法は新たに第418A条を導入し、会社法上訴審判所(National Company Law Appellate Tribunal、以下「NCLAT」といいます。)に別個の審判廷を置くと記載されています。この改正の背後にある目的は、追加の審判廷を設けてNCLATに係属される会社法関連事件を減らすことです。各審判廷は1名以上の法務審判官および技術審判官で構成されますが、今までのところ政府はNCLATの追加の審判廷の数や所在地を示す通知を出していません。

(9)特定区分の会社に対する罰金の軽減

旧法第446B条は、一人会社および小会社の場合の罰則の軽減(元の罰金の半額まで)を規定しています。2021年1月22日付で446B条の適用範囲が広げられ、罰金の軽減を受ける権利を有する会社のリストに「スタートアップ」および「生産者会社」が含まれます。さらに、旧法第446B条に基づき科すことのできる罰金の最大額も、会社の場合は200,000ルピー、不履行を犯した役員の場合は100,000ルピーに制限されました。

(10)企業の社会的責任

2014年、インドは企業の社会的責任(以下「CSR」といいます。)を義務化した最初の国となりました。旧法第135条は、一定の基準を満たす会社(*3)に対し、直近の3会計年度に得た平均純利益の2%をCSR活動に費やすことを義務付けています。旧法を2014年会社法(企業の社会的責任方針)規則(Companies (Corporate Social Responsibility Policy) Rules, 2014、以下「CSR規則」といいます。)と併せて解釈すると、適格条件を満たす会社に対し、CSR委員会の設立、CSR方針の実施といったいくつかの義務が規定されています。特に新型コロナのパンデミックのためにCSR活動をより意味あるものとする目的で、新法は、2021年会社法(企業の社会責任方針)修正規則(Companies (Corporate Social Responsibility Policy) Amendment Rules, 2021、以下「CSR方針規則」といいます。)の制定に従い、いくつかの変更を導入しました。CSR方針規則は、2021年1月22日に発効しました。CSRに関して修正された状況について以下に論じます。

*3 純資産50億ルピー、または売上100億ルピー、または純利益5000万ルピー

① CSRの定義が修正され、会社が通常の業務過程において行う活動はCSR活動とはみなされないことが明確にされました。新たな定義では、(i)2021年およびその後の2会計年度中に新型コロナワクチンの研究開発に会社が費やした金額、ならびに(ii)インドのスポーツ関係者をトレーニング目的で外国に派遣することがCSR活動とみなされます。しかし(i)政党への献金、(ii)単に会社の従業員を利するために行われる支出、(iii)自社の製品やサービスのマーケティング上の利益を得るために会社が支援する活動、および (vi)法律上の義務を果たすために行われる活動等はCSRとはみなされません。

② CSR方針は(i)取締役会が示す方向性、(ii)CSR委員会の勧告、(iii)活動の選定、実施および監視のための原則等を含む包括的なものでなければなりません。

③ CSR活動を行うために(i)公益信託、(ii)協会、(iii)非営利会社等の第三者を関与させることが認められるようになりました。ただし、そのような第三者は、インドの税務当局および企業省(Ministry of Corporate Affairs、以下「MCA」といいます。)に登録され、CSR登録番号を有しなければなりません。

④ CSR委員会は、(i)承認されたプロジェクトの行動計画、(ii)プロジェクトの実行方法、(iii)プロジェクトの実施および監視、(iv)資金の配分、(v)報告メカニズム等を作成することが義務付けられます。

⑤ 最高財務責任者(または会社の財務管理を担当するその他の者)は、会社によって割り当てられた資金が承認された目的のために利用されることを保証する義務を負います。

⑥ 会社のCSR活動を実施するために発生する管理費用の総額は、CSR支出合計額の5%を超えてはいけません。

⑦ 会社は、ある会計年度に使い過ぎたCSR支出を翌3会計年度以内に相殺することが認められるようになりました。

⑧ 会社は、CSRプロジェクトの設計、監視および評価に国際機関を関与させることが認められるようになりました。

⑨ CSR方針規則は、CSR報告のための新たな書式を定めています。さらに、CSR報告書は、取締役会年次報告書に含められなければなりません。

⑩ 会社は、未使用のCSRの金額を専用基金に振り替えなければなりません。しかし、これまでのところ政府はこれについていかなる基金も通知していません。ただし、CSR方針規則は、特別基金が通知されるまで、未使用の基金は旧法別表VIIに規定する基金のいずれかに振り替えることができると定めていて、これには首相国家救済基金(Prime Minister’s National Relief Fund)、首相ケア基金(PM Cares)等が含まれます。

⑪ 新法は、旧法第135条に第9項を追加し、会社は、CSRに費やす金額が500万ルピーを超えない場合はCSR委員会の設置を免除されると規定しています。この場合、会社の取締役会がCSR委員会の機能を果たすことができます。これによってコンプライアンスが容易になるものと考えられます。

⑫ 新法によって、CSRの義務を遵守しない不履行役員の収監に関する規定が削除されていますが、2021年1月22日以降、不遵守に対し会社が罰金の支払義務を負う可能性があり、その金額は、(i)未使用CSR口座額、(ii)10,000,000ルピー、または(iii)別表VIIに記載する基金への振替えが義務付けられている金額のうち低い額の2倍となっています。さらに、不履行を犯した各役員は、別表VIIに記載する基金への振替えが義務付けられている金額、未使用CSR口座額、または200,000ルピー(いずれか低い額)の10分の1の罰金を支払う義務を負います。

最近、インドにおける新型コロナウイルスの感染状況を鑑み、MCAは、2021年5月5日付の通達09/2021号(Circular No. 09/2021)によって、(i)新型コロナのケアのための保健インフラの創設、(ii)医療用酸素生成貯蔵プラントの設立、(iii)酸素濃縮器、人工呼吸器、シリンダーおよび新型コロナに立ち向かうためのその他の医療機器の製造・供給および同様の活動、(iv)科学、技術、工学および医学分野の特定研究開発プロジェクトへの貢献のためのCSR資金の支出は、CSR方針規則に基づく適格CSR活動とみなされることを明らかにしました。

(11)生産者会社

2021年2月11日付で、生産者会社に関する新たな章(第XXIA章)が旧法に導入されました。生産者会社とは、農業、手織業、手工芸、家内工業等から生まれた製品の販売促進を主目的とする会社です。そうした会社が認知され、柔軟に運営されるようにするために、政府は、かつての1956年会社法(旧法の前に存在した会社法)に生産者会社に関連する規定を導入していました。しかし、旧法の施行後も、1956年会社法に基づく生産者会社に関する規定が引き続き運用されました。新法により、生産者会社に関連する規定が、旧法第378A条に導入されています。最近、2021年2月11日付の通知によって、MCAは2021年生産者会社規則(Producer Companies Rules, 2021)を発表しました。これにより生産者会社は、自社の一般準備金から、政府が発行するユニットや債券等の承認された証券、協同組合銀行、協同土地開発銀行の定期預金、または1992年インド信託法(Indian Trust Act, 1992)の第20条に定める証券のいずれにも投資することができるようになりました。この規定によって、生産者会社の流動性が高まりそうです。

2. その他、関連する変更

(1)スタートアップ企業の合併に関する規定

スタートアップ企業間の合併を促進するために、政府は、2021年2月1日付で、2021年会社法(和議、整理および合併)修正規則(Companies (Compromises, Arrangements, and Amalgamations) Amendment Rules, 2021)を通知しました。その結果、(i)2社以上のスタートアップ企業、または(ii)1社または複数のスタートアップ企業と1社または複数の小会社は、NCLTに対し合併の申請を行うことができます。

(2)小会社の範囲

2021年会社法(定義の詳述)修正規則(Companies (Specification of Definitions Details) Amendment Rules, 2021)により、2021年2月1日付で、政府は旧法第2条第85項の「小会社」の範囲を拡大しました。その結果、2000万ルピー(以前は500万ルピー)の払込済み株式資本および2億ルピー(以前は2000万ルピー)の売上を有する会社は小会社とみなされることになります。結果として、小会社の定義に該当する会社が増え、旧法に基づく緩和を求めることができるようになります。

(3)一人会社

一人会社(以下「OPC」といいます。)を奨励する目的で、MCAは、2021年会社法(法人設立)第2修正規則(Companies (Incorporation) Second Amendment Rules, 2021)により、法人設立に関する一定の規制緩和を導入しました。その結果、2021年4月1日付で、OPCに関する次の変更が導入されました。

① 以前は、インド国内に居住するインド国民のみがOPCを設立できました。修正後は、国外に居住するインド国民も設立することができます。

② OPCを非公開会社または公開会社に転換することが認められるようになりました。規則は、これに関する転換手続も規定しています。

(4)新型コロナウイルス関連の緩和

インドにおける新型コロナウイルスの第2波に鑑み、MCAは、インド企業に対し、その他にも以下のような緩和を行っています。

① (i)旧法第173条は、会社に対し、120日以内の間隔で取締役会議を開催することを義務付けています。2021年5月3日付の通達により、MCAは、2021/22年会計年度の第1・第2四半期(すなわち、4月~7月期および7月~9月期)に関し、取締役会議開催の期間を120日から180日に延長しました。
(ii)旧法第77条は、(有形・無形を問わず)資産に担保権を設定する会社に対し、担保権の設定から30日以内にRoCに書式を提出して当該担保権を登記することを義務付けており、これを行わない場合、会社および不履行を犯した役員は、罰金の支払義務を負う可能性があります。2021年5月3日付の通達により、MCAは、2021年4月1日から2021年5月31日までの期間は (i)書式の提出、および(ii)書式提出の遅延により支払われるべき追加料金の算定のための日数計算において考慮に入れないことを明らかにしました。

3. 結び

上述のとおり、新法およびこれに続く各通知により、インド企業が長い間求めていた小さくはあるが必要性の高い変更がいくつか導入されました。不正の意図のない違反の非犯罪化、公共に悪影響のない問題に関する不遵守に対する罰則の軽減、小会社の範囲拡大、NCLATの追加審判廷等は、会社がコンプライアンス費用を削減するのに役立つでしょう。また、裁判所の負担も軽減されます。全体として、政府が提案した各変更は歓迎すべき一歩であり、インド国内においてビジネスがしやすくなるものと考えられます。


Author

弁護士 Deepak Sinhmar(三浦法律事務所 カウンセル)
PROFILE:2003年インドにて弁護士登録(2020年外国法事務弁護士登録)。インドのDSK Legal、西村あさひ法律事務所にて多数の日本顧客向けにアドバイスの経験を有する。2019年1月から現職

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