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インドネシア最新法令UPDATE Vol.17:インドネシアにおける外国人の入国制限

「インドネシアに駐在員を派遣したいが、外国人の入国制限の状況はどうなっているのか」という疑問をお持ちの皆さまも多いかと思います。

インドネシアにおいてもコロナの感染状況が悪化しています。これを受けて、外国人のインドネシアへの入国を制限する措置として、①法務人権大臣規則2021年27号や②国家災害対策局長(コロナ対策ユニット長)通達2021年18号が制定されています。本記事では、これらの内容につき紹介します。

1. 外国人の入国制限

PPKMの実施期間中は、原則として外国人によるインドネシアへの入国を制限するものとされています(法務人権大臣規則2021年27号2条1項、2項)。PPKM(Pemberlakuan Pembatasan Kegiatan Masyarakat)とは、緊急活動制限を意味し、内務大臣指示2021年3号により導入されたものです。現状最新の情報では、PPKMは2021年9月6日まで実施されるものとされています(内務大臣指示2021年37号20条)。したがって、少なくとも9月6日までは、原則として外国人がインドネシアに入国することは難しいことになります。

PKMは今後も延長される可能性があるので、最新動向に留意が必要です。

2. 外国人の入国制限の例外

以下の外国人については、例外的にインドネシアへの入国が認められるものとされています(国家災害対策局長(コロナ対策ユニット長)通達2021年18号F.2)。これらの例外を見れば分かる通り、例外事由は限定的であり、通常のビジネス目的による渡航ついては例外が認められないように思われます。

・外交・公用ビザ保有者
・外交・公用滞在許可保有者
・一時滞在許可(KITAS)、定住許可(KITAP)保有者
・保健・人道支援者
・運輸業の乗務員
・トラベル・コリドー・アレンジメント(TCA)利用者
※TCAは、コロナ禍でも外交やビジネスを目的とした相互の往来をサポートする2国間協定ですが、インドネシアと日本は未定結です
・省庁等から特別の許可を得ている者

3. 入国のための要件

上記例外に該当し、インドネシアへの渡航が認められる場合には、原則として、以下を含む諸条件を満たす必要があるとされています(国家災害対策局長(コロナ対策ユニット長)通達2021年18号F.3)。

・ワクチンの接種証明(電子/紙ベース)で提出すること
・フライト前72時間以内に受けたPCRの陰性結果と健康診断書を保持していること
・入国後8日間政府指定施設にて2回のPCR検査を含む隔離を自費で実施すること

なお、レギュレーション上、ワクチン接種が不要な場面も定められていますが、実務上はこの例外は厳格に運用されているようです(ワクチン接種証明書を取得しておくことが保守的な対応と考えられます)。インドネシアに入国をご予定の場合には、事前に詳細を確認する必要があります。


Author

弁護士 井上 諒一(三浦法律事務所 パートナー)
PROFILE:2014年弁護士登録(第二東京弁護士会所属)。2015~2020年3月森・濱田松本法律事務所。2017年同事務所北京オフィスに駐在。2018~2020年3月同事務所ジャカルタデスクに常駐。2020年4月に三浦法律事務所参画。2021年1月から現職。英語のほか、インドネシア語と中国語が堪能。主要著書に『インドネシアビジネス法実務体系』(中央経済社、2020年)など


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