これぞ悪魔の所業　『黒執事Ⅱ　エピソード９　虚（うろ）執事』～感想日記～

『黒執事Ⅱ　エピソード９　虚（うろ）執事』

あらすじ＆結末（ネタバレ）

アロイスを刺した後眠れないでいるシエル。女王からの手紙が届き、街で発生している子どもの目がえぐり取られる事件を調査しに向かう。聞き込みの結果犯人はシエルと同じくらいの年頃だと分かり、また犯行現場とトランシー家、ファントムハイブ家を結ぶと蜘蛛の巣の形になることからシエルはアロイスの仕業だと推理する。その時突然騒音がし、死神の出現によりセバスチャンは二人相手に戦うことになる。その間、セバスチャンに「ここから一歩も出るな」と言われた箱の中で「僕は何かを忘れている」とフラッシュバックを起こしたシエル。ついに箱から飛び出しセバスチャンの元へ向かおうとする途中でアロイスによく似た後ろ姿を見つけ後を追うが、ようやく彼を追い詰めたと思ったところで警察のような人物たちにアロイスとして捕らえられる。人違いだと抵抗するシエルだが、ハンナが「間違いなくこの方がアロイスです」と証言し連行されてしまう。取り調べを受け人違いであることを主張し続けるシエルは精神錯乱状態だと言われ薬品漬けの拷問を受ける。セバスチャンがそこにたどり着いた頃には屋敷の全員クロードにやられており、シエルは昏睡状態の中クロードと一対一で対話をしている。セバスチャンとハンナが戦闘している間にクロードがアロイスの魂の宿った指輪をシエルの指にはめ、シエルは自分の記憶とアロイスの記憶がまぜこぜになり自分の親を殺したのはセバスチャンだと認識してしまう。セバスチャンが到着するとシエルは「僕の前から姿を消せ」と命令を下し、セバスチャンは部屋を後にするのだった。シエルは悪魔の使用人たちの待つトランシー家へ連れ帰られ、セバスチャンは「ファントムハイブ家の執事として、ディナーの前に蜘蛛の巣掃除をせねば」と一人闘志を燃やすのだった。

感想

魂と魂を混ぜるという、あくまで悪魔だからこそできるお下劣な芸当……。クロードの本性が見えてきましたね。なんか今回のクロード、お部屋の装飾全替えするし急にクイズ始めるし机の上でフィギュアスケートしながら喋るし、かと思ったらレース編みしてるし小学生みたいな眼鏡遊びするしで様子がおかしかった。終始ハイテンションで「どうしたお前？」って感じだったけど、シエル坊ちゃんが手に入ってよほど興奮してたんだろうね。毎回思いますがシエル坊ちゃんの魂どんだけ悪魔を魅了してるの？

まあ、魂と魂を混ぜるということは憑依や霊媒みたいなものだから滅多に起こることではないにしろ、記憶と記憶が混ざってしまう、というか記憶が改変されるという部分についてはそれなりに起こりうることだからなんとも人間って脆い存在だよなあとぞくっとしました。クロードがシエルに行っていた対話は催眠療法のようでもあり、今回の場合はどちらかと言うと冤罪事件で無罪の人物が自白してしまうケースのようでもあった。人の心模様というのは空模様のように変わりやすいのに、人を動かすのはその心なのだから、本当に人間って脆い存在だよなあ（二回目）。結果、シエルはセバスチャンに「僕の前から消えろ」と命令してしまい、シエルは実質クロードの手に渡ってしまうわけで。まあ、そもそも理由はどうあれシエルの記憶を本人に黙って改変していた時点でセバスチャンも自業自得感はあるんだけどね。

それにしても、アロイスがどこまでも不憫すぎる。今回のクロードの話でアロイスの村が焼けたのは弟ルカがセバスチャンと契約してそう望んだからで、つまりルカの死因はセバスチャンだったということも判明しました。おそらく、二人で村が焼けたのを見つけピースした後、アロイスが一人で村を漁っている時にルカの魂はセバスチャンの腹の中に……。オーマイガー、なんてこった……。弟は自分の願いを叶えるために悪魔と契約し魂を奪われてしまったなんて、その事実を知ったアロイスを思うと本当に胃が痛くなってくる。アロイスはきっと弟と二人でいられたらそれでよかったはずなのよ……。でも弟は兄の心知らず、幼くて純粋ゆえ兄の言うことをそのまま受け取り悪魔と契約してしまったのね……。兄弟揃って悪魔に食べられてしまったということは、天国で再会することも叶わないのでしょうか。そうだとしたら本当に救いがなさすぎる……。そしてその復讐のためこれまで必死に這い蹲ってきたのにあっけなくクロードに殺され魂を利用されてしまう始末。も、もう、やめてあげて……。

次回、セバスチャンの蜘蛛の巣掃除を期待しつつ、アロイス（ジム）とルカの救済の糸道があることを願います……！