マガジンのカバー画像

小さな旅・思い立つ旅

57
どこでもいいかどこかへ行きたい衝動を、年間30回くらいの日帰り旅行で解消する日々
運営しているクリエイター

#京都

小さな旅・思い立つ旅|京都情景 階段に魅せられて[京都駅、京都市美術館、伏見桃山陵]

めくるめく階段の世界へ 階段の魅力はその見た目、用途、そして見る角度によって実に多彩な表情を見せてくれること。なにより、床・壁・天井といった平面的な要素とは違い、階段だけが立体的な造形で、まるでアート作品のよう。 ゆったりとした階段は昇る人を優雅な気分にさせ、機能的にコンパクトな階段は自然とキビキビとした動きにさせられる。 非日常の世界へ誘う階段があったり、圧倒的な大空間を演出する階段があったり、登り降りする人の動きを美しくみせる階段があったり、 ということで、GWも終

小さな旅・思い立つ旅|映画のような写真を撮りたい[朝を迎える京都夏景]

映画のような写真を撮りたい 「映画風の色味にしたい」ということではない。静止画なのに、時が流れ、物語のある写真。情景が目に浮かぶ写真。撮りたいのはそんな写真。 水墨画では、自然の風景だけでなく、その中に旅人や、山道を歩くきこりなど、自然のなかで暮らす“人”を描く。人と自然の関わりを叙情的に表現することで、鑑賞者は絵の中の人物に乗り移って、風景を旅することができる。 人を描くことで物語が生まれる。 ということで、情緒的な夏をもとめて早朝の京都へ。叙情的に物語る写真を目指

小さな旅・思い立つ旅|淹れたての一杯、至福の京都[私設図書館・鈍考、ティールーム・冬夏]

「蝉が鳴き始めたようです          雨がやみましたね」 小雨の降る京都の朝。市中から少し離れた比叡山の麓にある私設図書館『鈍考』を目指す。1時間に1本のローカル線に乗り、駅から緑豊かな住宅地を歩くこと約10分。目的地につくころには雨がすっかりやんでいた。 建物に入ってもスタッフから案内や説明はとくにない。目の前の案内板を静かに読み、あぁそうか、もう“鈍考”は始まっているのか、と気づく。 荷物をロッカーに入れ、壁面いっぱいの本棚に沿って、奥へと進むと、ようやくカウ

小さな旅・思い立つ旅 東山連峰の美術館篇

StayHomeと言ったって、ずっと家に閉じこもるばかりでは耐えられない。できることは、犬を連れて散歩をするか、目的もなくただひたすら車でドライブするか。 振り返ると、昨年のGWは一歩も車から降りることなく、京都市内をドライブ。いつもの風景とはうってかわって人も車もまったくいないから、どこまでも奥深くまで車で行けてしまう。。 東寺→西本願寺→二条城→御所を車から眺めて、五条坂や維新の道を車で通って、清水寺や高台寺にまったく人がいないことを横目で確認し、八坂神社→知恩院→平