私は、机が嫌いでした。
もっと端的に言うと
勉強が嫌いでした。

机にじっとして勉強することが苦痛で
親愛なる友達と遊びたかったのです。

机に着いて
漢字の書き取りをして
英語の書き取りをして
歴史を知り
科学を知り
数式を解いて
一体なんの意味があるのだと
心底そう思ったのです

私は勉強をサボるようになりました。
そうすると母に叱られたのでした。

そんな日々が続き
少しすると家庭環境が険悪になり
ある日、私の机はなくなりました。
私の居場所は崩れました。

無くしてから気づきました。
嫌で嫌で仕方なかったあの場所が
意外にも落ち着く場所であったのだと
とても幸せだったのだと

そして紆余曲折を経て、
私の机が、居場所が用意されました。

二度と居場所を無くさないために、
私は何事にも真剣に取り組みました。
勉強に運動、ボランティア、
世間一般的に良いこと
そういった物事に真剣に

悪い事をしたら嫌われる。
なら良い事をしなければ嫌われる。
極端な発想なのは解っていましたが、
私の、考え抜いた答えは変わりません。

私が良い子で無ければならない。
そういった脅迫観念の元で
私は無理をしました。

無理は長くは続かずに
良い子を続けられなくなりました。
しかし、私の居場所は無くなりませんでした。

今度は何故、無くならないのか、
そんな疑問を手紙に書いて聞きました。
白い便箋を白い封筒に入れて

そしたら、
「家族っていうのはね、
良いとか悪いではなく
ただそこに居るだけで、
愛おしいものなのよ。」
そう、抱きしめられ、言われたのです。

その次の日からは、
何故か私の机は、私の居場所は、
そこに居るだけでとても落ち着く
そんな安心できる場所になりました。

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