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本日の猫たち #353(ラフマニノフがチェーホフに宛てた書き置きの話を少し)

本日も真夏日。皆様、いかがお過ごしでしょうか。
暑さに弱い飼い主は完全にバテバテなのですが、うちの猫たちはおかげさまで元気です。うちの猫たちは3匹とも野良生活を経験しているからか、妙に暑さに強く(エアコン嫌いで、涼しい部屋からいつも脱出)、今日も日光浴に精を出しておりました。

なぜか我が家で一番暑い場所に集まる三匹
(上から妹猫、兄猫、先住猫)


妹猫は兄猫の毛繕い


そして目を疑ったのですが……

仲良くバリバリボウルにのる兄猫(左)と妹猫(右)


日光浴でほかほかになった毛皮で、なぜくっつくのか!(室温28℃)
猫たちが夏バテしないよう、飼い主がどれだけ心をくだいてエアコンをつけても、扇風機をつけても、猫たちは暑い場所でくっつきます……。

気持ちよく寝ました…


先住猫は基本、ソロ寝が好きです(が、兄妹猫たちがいつも寄ってきてしまう)


仲良しということは、いいことなのですけどね。
そういえば、うちの猫たちは飼い主の邪魔をするときも(あまりないのですが)結託する傾向があります。

急いでるときに限って、猫たちが邪魔をしてきます。

買い物に行かせてくれない…


カゴ順番待ち


今日こそ、猫たちのベッドの箱の抜け毛をとろうとしたのですが、見事な妨害にあいました。

「どきません!」


うちの猫たちは飼い主のことを4番目の猫として可愛がってくれていたのですが、最近飼い主が読書にふけるあまり、4番目の猫(仲間)とみなしてくれなくなりました。

さて、標題の件です。

数日前の投稿で、チェーホフの『犬をつれた貴婦人 (Дама с собачкой)』を読んだ話をしたのですが、そういえばラフマニノフ(作曲家、ピアニスト)とチェーホフが初めて会ったのは、チェーホフが『犬をつれた貴婦人』を執筆したヤルタだったはず。……と調べていたら、とてもかわいい手紙を発見しました。

Сейчас же как придёте домой, дорогой Антон Павлович, и прочтёте эту писульку, идите в городской сад, мы там обедаем и Вас ждём.
Шаляпин, Рахманинов, Миров

(拙訳)
親愛なるアントン・パーヴロヴィチ(チェーホフ)、帰宅してこの書き置きを読んだらすぐ、市立庭園(定訳不明、ヤルタの公園です)に来てください。私たちはそこで昼食をとっています。待っています。
シャリャーピン、ラフマニノフ、ミロフ

男性3人が、チェーホフに宛てた置き手紙、ランチのお誘いです……。
(このときシャリャーピン25歳、ラフマニノフ25歳、チェーホフ38歳)

あまりにもかわいくて、読んだ瞬間、キュン❤となりました。
チェーホフが留守だと知って「じゃあ、メモ残そうか」「誰が書く?」なんてやりとりもあったでしょう。しかもписулька(メモ、小さい書き置きのこと)なんてかわいい単語、わたし一度も使ったことがありません。

ラフマニノフとチェーホフの親交は(知っている人には)有名な話ですが、二人が知り合ったのは1898年9月です。
この2年前の1997年、交響曲第一番の初演(ペテルブルグ)が大失敗に終わって、自信喪失したラフマニノフは、作曲ができない鬱状態に陥り、鉄道王マモントフの私設歌劇場で働くようになります(指揮、演奏家として働いていたようです)。ただ人生とはおもしろいもので、そこで歌っていた、後の大オペラ歌手シャリャーピンと親しくなり、生涯の友情を結びます。

(モスクワ音楽院首席卒業者で、天才ピアニスト&作曲家のラフマニノフでも挫折を味わったのか……なんてことを知ると、ラフマニノフには本当に申し訳ないですが、凡人のわたしはものすごく励まされます。そういえばチェーホフも『かもめ』初演(1896年)が大失敗に終わりました。だからこそ、「褒めてのばしてほしい」タイプのラフマニノフのよりよき理解者になれたのかなと)

マモントフの劇場メンバーはロシア各地で公演を行っており、1898年9月の南ロシア(ヤルタ)公演旅行に若かりしシャリャーピン、ラフマニノフも行くことになりました。

シャリャーピンはこのときすでにチェーホフ、チェーホフの妹と親交があっり、ヤルタでのチェーホフとラフマニノフの出会いに一役買ったようです。

そして劇場メンバーの何人かでヤルタのチェーホフの家(現在チェーホフの家博物館)をたずねていったのですが、あいにく留守だったので、書き置きを残しました。
それが上記の文章で、ラフマニノフがチェーホフにあてた手紙として、現在も伝わっています。
(ラフマニノフはそのときはまだチェーホフと面識がなかったので、実際に書いたのは、ラフマニノフではない気もするのですが……)

そういえば、交響曲第1番の酷評で落ち込んだラフマニノフ。
失意のラフマニノフを「きみは大物になるよ」とか「偉大な音楽家になるよ」などと言って、やさしく慰めてくれたのがチェーホフですが、ちょっと浮上しはじめたラフマニノフをまた失意に追い込んだ、文豪トルストイ絡みのエピソードがあります。
文豪にそんなことを言われたら、わたしは絶対に立ち直れない……。
(そして落ち込んだラフマニノフをまたチェーホフが慰めるのです)

興味ある方いらっしゃいましたら、次回、ご紹介したいと思います。

交響曲第1番の酷評を受け、落ち込みの日々を過ごした後、ラフマニノフはこの曲で復活します
ピアノ協奏曲第2番(練習中)


妹猫「PCで作業ばっかりしないで、いいかげん遊ぼうよ」


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