ミュージカル「日本の歴史」

WOWOWで放送していたのをたまたま観た。
なぜ観に行かなかったのか物凄く後悔した作品。

簡潔に言うと、たった7人のキャストで60人以上の人間を演じて、1700年の歴史を紡いでいく物語。

まず最初に感じたのは、曲のリプライズがすごい。とにかく印象に残る。三谷幸喜さんの狙いにまんまとしてやられた感じで悔しい。笑
リプライズって、本や漫画の伏線と同じ働きをする。これによってミュージカルの良さが全面に引き出されてて、「うわっ楽しい!」って純粋に思った。

少数精鋭の7人のキャストがいろんな役を演じて、生まれ変わっていく中で、人間の輪廻転生っていう部分も含まれている気がした。まさに

INGA 因果 原因の因に結果の果 因果で歴史は動いてく 大切なのは因果

面白く歌われてるけど核心をついてるフレーズ。耳に残りすぎるくらい残る。

次に印象深いのが物語のスピード感。2時間半で1700年の歴史。2時間半あっという間に、ストーリーもめまぐるしく進んでいくのに、それぞれの場面で足りない、って感じる部分がない。このスピード感でこの満足度。
どんどん進んでいくスピードが、人間の人生の儚さとか、歴史から見れば1人の人間の歴史なんて本当にあっという間で短いものなんだっていうことをすごく痛感させてくれる。今自分が抱く悩みがちっぽけに感じる。未来に向かっていく現代の私たちの不安を払拭してくれる作品。どの時代でも変わらない人間の営み、普遍性みたいなものが垣間見える。

いつかどこかで誰かがきっとあなたと同じ悩みを抱いていた あなたの悩んでいることは あなたの悩んでいることは いつか誰かが悩んでいた 悩み

劇中の歌詞にあるフレーズ。この言葉で救われる人、すごく多いと思う。私もその中の一人。自分の持つ悩みが、これまでの歴史の中でどこかの誰かが抱えていたもので、それを乗り越えて生きた人がいる。そう思うとすごく勇気をもらえるし、力が湧いてくる。「もう少しがんばってみよう」って純粋に思える。
三谷幸喜さんも言ってた。これが歴史を学ぶ意味だって。歴史を学んで、紐解いていく中で、自分の悩みの解決策が見つかるって。
歴史を学ぶことに価値を感じたし、学びたいなって思った。

コメディかと思いきや泣けるシーンもある。そのときでは面白い場面があとから切なさに繋がったりする。でもその切なさが重たく残るのではなくて、終わったあとにも希望があるし、むしろすっきりした気持ち。それはあの耳に残るリズムの良い楽曲たちによる効果も大きい気がする。

あとこれは余談ですが、放送後の映像で香取慎吾さんが、"ミュージカルってこういう歌なんだ。次のリズムが予想しにくいと思った。"っていうニュアンスのことを言っていたのが印象に残った。私的にはミュージカルに慣れすぎていてなんの違和感も新鮮さもないけど、ミュージカルに慣れてない人はこう思うのかなあって。この音楽を聞いてハマるかハマらないかが、ミュージカルにハマるかハマらないかの登竜門なのかなあと。

たくさんの登場人物と見終わったあとの充実感で、キャストがたくさんいた気がするんだけど、カテコで出てくるのがたったの7人。改めて、7人!?てなった。すごすぎる…。でもこれがちょうど良い人数なのかなって。これ以上はいらないし、これ以下だと足りない。

この作品、間違いなく私の今後の人生の中でも救われるであろう言葉や考え方が多かった。1回見ただけでこの感想とこの充実感。繰り返し見てまたさらに深めていきたいと心の底から思います。そしていつも思うのが、舞台は生物。その時のその場所でしか感じられないことがたくさんある。行くか迷ったのなら行くべきだなと。

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