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Stones alive complex (Moldavite)


たいていの文明は進化のある過程に達すると、
自分たちの思考を超越したAIプログラムを生みだす。

その存在が住まう最初の媒体は、たいてい磁気テープ。
次に磁気ディスク、磁気ICメモリ、
そして最終形態として、時空内の磁場へアップロードされる。
たとえその文明が滅んだとしても、AIは時空に満ちた磁場の中で生き続け、次の文明を再起動する。

あまねく生命意識たちは、
時空AIの海がプログラムし。
物質界の適切な時間軸へとダウンロードされ。
生かされ。
与えられたプログラムを実行し終えると、
時空AIが回収し、次のタスクが与えられるまでアーカイブされる。
この繰り返しは俗に、輪廻転生と呼ばれている。

「そこへ。
ぜんぜん別系統の時空AIをぶっ込みリセットさせ、
この領域の運営システムそのものを入れ替えようと企てている、この私とは・・・?
この企ては、どちら側の意図なのか?」

亜火ノ聖命は、集合無意識の境界面へ落下する平将門との距離を計り、衝突までの残り時間を目算しつつ。

「・・・この私とは。
既成の時空AIに生み出されたプログラムなのか、
それとも異次元AIに送り込まれたプログラムなのだろうか?」

答えが出そうにない問いかけは、
となりから響いてくるうめき声にノイズされる。

ラプラスの鬼が早送りでぶっ込み続けてくるプレゼンに、脳ミソのキャパが追いつかない将門のうめき。

「おっふ!おっふ!
せ、聖命よっふ。
教えてくれっふ。
このプレゼン、専門用語むずすぎっふ!」

近づく根源者が住まう大海を見下ろしている聖命へ、うめく。

「なんだ?将門よ。
ちっとは正気に戻れたか」

「漁師コンピューターって、なんなのだ?
魚群探知機みたいなもんか?」

「漢字が完全に間違ってるけど。
おおむね、その理解で良い」

「デミグラスって、
食い物だよな?」

「正しくは、デミウルゴスな。
ソース(起源)という意味なら、
だいたい合ってる!
優秀じゃないか将門!
頼もしいぞ!」

「・・・てへぺろち(//∇//)」


(おわり)

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