焼き鳥の丸かじり 東海林さだお 文春文庫

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東海林さだおの「丸かじりシリーズ」第40弾!?(単行本はすでに第42弾まで刊行されている、と荻原浩の解説)
しかも、この巻(『焼き鳥の丸かじり』)の連載中に肝細胞癌の手術を受けるため、入院したことを、客観的にサラッと報告。そしてその入院中の病院食を見事にネタにしてしまう。
病院食に足りない塩気を、ある日出たパック納豆のタレで、久しぶりのたっぷり塩気に狂喜乱舞する。その描写は漫画と文章で微に入り細を穿つ。お見事としか言いようがない。(「病院食はいま」)

とにかく、東海林さだおの好奇心と行動力、そして感覚的に見えて実は論理的な話の運び。
よくこんなことに気がつくな!!、え!それやっちゃう?!、そんなことまでサラッと語る(描く)!?、え〜そうなの??、たしかに!!! etc.
読んでいると脳みそを揺さぶられ続けている感じ。

松花堂弁当についてのウンチクが漫画1コマでサラッと説明されている。絵も文章も自分でかける人の強み(「弁当における「ギザギザ」の力」)。
ドラマで「天皇の料理番」が放送され、その人気にあやかった「天皇の料理番特別メニュー」を実際に食べに行ってリポート。その締めの一文。

このコースを食べていてふと思ったのだが、天皇家の普段の食事はどういうものなのだろうか。
朝食に納豆、ということもあるのだろうか。イカの塩辛とか、生卵かけごはんなども召し上がっておられるのだろうか。

たしかに気になる!(「天皇の料理番」を食べる)

数の子の部位によって出る音が違うことを漫画1コマで表現し、なんと鰊一匹分の数の子の粒数が64592粒だと教えてくれたりもする(「数の子について考える」)。

そこまでする?!と思ったのは、自分の口の容積を図るため、口いっぱいに水を含んで、計量カップに吐き出してみた、という話(「最近頬張ってる?」)。

キリがないので、最後に。
私が一番ハマったのが「食パンはこう食べよう」。なんと、食パン1本丸ごと(だから2斤?3斤?)を

切ってない食パンをそのまま左の小脇に抱える。
そうしておいて右手を食パンの切り口に突っ込んでぴりぴりとむしり取って食べる。

漫画が大鼓を演奏する人を模しているのを見て???と思い、読み進んで次のページを読んで爆笑した(掛け声とか音が違うのはご愛嬌)。

ドクターストップで、アルコールが全面禁止になってしまった東海林さだおは、それまで偏見をもっていた甘いものに、突如、めざめる。最初はあまり甘みが強くないものからスタートして、どんどんハマっていってるらしい。
それはそれで心配なんだけどな…。
ドクターのアドバイスとご自分の体の声をしっかり聞いて、まだまだ元気で「丸かじり」を続けていただきたい!

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