nanoKontrol からMIDIでCueZyを操作する設定
こんにちは。
音楽サンプラーアプリのキュージーを外部MIDIデバイスから操作することは、音響の現場でも、ままよくあることだと思うのですが。その中でも一番お問い合わせが多い機種が、Korg さんの nanoKontrol だと思います。
開発者の僕自身も現場で使ったり、キュージーの開発中からテストに使用したりと、なじみの深い機種なのですが、設定によっては思い通りの動作にならないこともあるようなので、特にパッドまわりの設定について解説してみようと思います。
キュージーのサンプルパッド、フェーダー、パンポットを操作するには、MIDI信号のうち、ノート(Note)か、コントロールチェンジ(Control Change)を使用します。
MIDIノートは主にピアノの鍵盤やキーボードの操作に使われるタイプで、コントロールチェンジ(CC)はさまざまなパラメータの設定や変更によく使用されます。
キュージーでは、どの操作にも、どちらのタイプの信号も使用できるのですが、実際に制御を実現するにあたっては、送信側の機器と、割り当てるキュージーの各機能との間で信号の種類や番号を合わせる必要があります。
たとえば、パッドを叩く動作にはMIDIノートを、フェーダーやパンポットの操作にはコントロールチェンジ(CC)を使用する、みたいな感じです。
そう聞くと、各チャンネルの各機能ごとにいちいち設定をするのは面倒くさそう、とか思われるかもしれませんが。実は楽ちん機能がありまして、上の画像の水色のボタン、MIDI受信ボタンをオン(待機状態)にして、あとは送信側の機器の操作で何かしらの信号を送ってやれば、あら簡単、チャンネル番号とタイプ、そしてナンバーが自動で登録されるのです。
CueZyヘルプ・MIDIマッピングhttps://www.cuezy.net/jp/help/help_edit.html#midi_mapping
前述したように、各フェーダー(ボリュームコントロール)やパンポット(定位制御)の連続した値変化には、コントロールチェンジの使用が適しているでしょう。それじゃあパッド操作は??
と言いますと、それはやはり鍵盤の押下などの用途に適した MIDIノート を使用するのが良いと思います。
ノートもコントロールチェンジも単なる信号なのだから、ちゃんとマッピングすればどちらを使用しても同じじゃないのか??という意見もありそうですが、それは半分正解で、半分ハズレなのです。。それでは何が違うのか。少し説明してみたいと思います。
というわけで、いきなり核心ですが
パッドを叩く動作には、押した時と放した時でそれぞれ異なる役割が発生する。
ということです。先ほども書いた通り、フェーダーやパンポットの操作は連続した値の変化のみなので、特にややこしいことはないのですが、パッドに対する動作は、ほんの一瞬のことなのですが、押すと、放す、の繰り返しになります。
そしてこの二種類それぞれの動作の時に、MIDIノートの場合は、ノートオンとノートオフをそれぞれ送信してくれるのです。
CueZyには複数の再生モードがある。
現場で使える音楽サンプラーアプリ、キュージーのとても実践的で便利なところ、その一つが現在のところ5種類あるプレイモードかもしれないのですが。。
CueZyヘルプ・プレイモードhttps://www.cuezy.net/jp/help/help_edit.html#play_mode
パッドを押すたびに再生と停止を繰り返すCUE(キュー)や、パッドを押すたびに先頭から再生し直すSHOT(ショット)、またパッドを押している間だけ発音するGATE(ゲート)などがありまして。例えばゲートの場合だと、パッドを放すタイミングで発音を停止させるため、ノートオフの信号が重要になってくるのです。
加えて言いますと、コントロールチェンジにはこのノートオフに相当する種類の信号がないため、パッド操作にはそこまで向かない、という状況があります。
じゃあ具体的にはどんな設定にすればいいのか!??
ほんとそうです。とあるサポート宛てお問い合わせの返信用なので、最初からこれを書けば良いのですが、まあその背景にはこれまでに書いたような事情があるわけで。。じゃあ大事なこと、言いますね。
・パッド操作には MIDIノートを使う(推奨)
・コントロールチェンジ(CC)の場合は、動作モードを Momentary から Toggle に変更する。
上の画像が nanoKontrol の設定ソフトになります。タイプがCCの場合、On Value と Off Value の設定があり、Momentary モードだとパッドの押下時と解放時にそれぞれ異なる数値を送るようになっています。とはいえどちらも同じコントロールチェンジの値なので、パッドを押す・放すの動作をキュージーが受信すると、パッドを二度押したように捉えてしまうのです。
そしてこの時プレイモードがCUEだと、パッドを放した瞬間に再生が止まってしまい、思っていた動作にならない、ということになってしまいます。
なのでパッド動作でCC使用の際は、パッドを押した時のみ On Value と Off Value を交互に送信してくれる Toggle モードにする必要があるようです。
ただしプレイモードが GATE の場合は、パッド解放時の動作が受信できないので、これまたおかしな挙動となってしまいます。
なのでもう一度書きますが、キュージーのパッド操作を MIDI 信号で行う際は、
なるべく MIDI ノートを使う(推奨)
ことをお勧めします。
ここに書いた機能以外にも、マスターボリュームの操作やページ切り替えなど、MIDI で操作できるキュージーの機能はまだまだありますので、よかったらヘルプのページをご覧ください。
また機器によって、ノートオフではなく、ノートオン・ベロシティ(値)1を送信してくる機材に対しては、MIDIセッティングから「ノートオン/ゼロでリリース」の項目をオンにしてみてください。
参考資料など
CueZyヘルプ・MIDIエディタhttps://www.cuezy.net/jp/help/help_edit.html#midi_editor
Korg / nanoKontrol のページ (マニュアルとエディタがダウンロードできます)
https://www.korg.com/jp/support/download/product/0/159/
そいえば余談ですが、
MIDI コントロールチェンジって、127までの番号それぞれに役割が振られているんですよね。用途が決まっているハードウェアとかだと、この通りの番号の固定値で値が送られてきたりするのでしょうか。以下の画像はキュージーの内部でコントロールチェンジの各番号とその機能を定義している部分です。対応する番号の頭が 0x~~ なのは16進数で2桁、つまり1バイトだからですね。まあ正確には7ビットで数値幅が 0 - 127 なのですが。。
というわけで、MIDI コントロールは上手くいきましたでしょうか??
それではまた次の現場でお会いしましょう〜うふふふ。。
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