Vol.043 脱資本主義③
リハラボ 「予防医療ノート」 Vol.043
2020/06/26配信 (2020/8/28まで限定公開)
目次
①今週のテーマ
②予防医療ニュース
③予防医療論文
④今週の名言
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①今週のテーマ
予防医療などに関するテーマについて、気になったことや感じたことを書くコーナーです。
テーマ「脱資本主義③」
①信用創造
②1%の資本家と99%の市民
③デリバティブ残高6京円&世界の債務残高8000兆円
本日は、③のデリバティブ残高6京円&世界の債務残高8000兆円について考えていきます。
まず、デリバティブとは金融派生商品のことで、為替や債権、株式などの金融商品から派生した取引を指します。
主に、先物取引(株価指数先物、FX、商品先物)やオプション取引(株価オプション、通貨オプション)、スワップ取引(異なる通貨を交換する通貨スワップ、異なる種類の金利を交換する金利スワップなどの取引)などがあり、ハイリスク・ハイリターンの商品が特徴です。
そのようなデリバティブの商品ですが、2015年6月末時点での世界のデリバティブ残高が約6京3000兆円(ウチ5500兆円はドイツ銀行)にのぼる、と国際決済銀行(BIS)は試算しています。
さらに、国際通貨基金(IMF)によると、世界の債務残高の合計は20年前は約2200兆円でしたが、
2019年では約7620兆円と試算されています。世界各国が低金利で借入を増やしていることがわかります。
日本も同じように、政府が借入を増やしています。
日本の借金は日本国民が90%以上も担保しているので特に問題はない、という見方ですが、実際はどうなのでしょうか。答えは誰にもわからないのが現状です。
おそらく、コロナショックによる影響で、現在の世界の債務残高はさらに増加しているはずです。
ECBやFRB、日銀などはコロナ対策でジャブジャブお金を刷っているからです。
このように、資本主義は実体を失ってしまいました。
過去を見返せば、すべては1971年のニクソンショック(金本位制の停止)や1999年のグラムリーチブライリー法(銀行・証券・保険業の相互参入を認めた法律)の制定によって、資本主義の世界は、実体のない「幻想の経済」を迎えました。
これらが影響して、現在では、実際の経済と「幻想の経済」には乖離が見られるようになりました。
それは、日経平均株価やニューヨークダウなどの数値からもわかるでしょう。実際の経済を表していないことが。
また、デリバティブや世界の債務残高の数値からもわかるでしょう。実際の経済を表していないことが。
資本主義はすでに崩壊しているし、持続不可能であることがわかります。
①信用創造
②1%の資本家と99%の市民
③デリバティブ残高6京円&世界の債務残高8000兆円
以上の3つの側面から資本主義について考えてきました。
この3つを考えた時に、これからは「脱資本主義」の考え方でサバイブしていかなければなりません。ルールが変わるからです。
資本家たちの資本家による資本家のための資本主義から抜け出し、新たな主義が来る前に準備をしなければならないことがわかります。
アフターコロナは、ウイルス自体が怖いのではなく、社会の在り方そのものが変化するから怖いのです。
脱資本主義のために何ができるのか。個人が考えなければならない時代に突入しました。
それは、個人によって異なると考えます。おそらく正解はないと思います。
自分はこれからなにを大事にしていくか、もっと深く考えてください。
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②予防医療ニュース
今週の気になったニュースをピックアップして、感想を交えながらお届けします。
~ 転載↓ ~
概日リズムがパーキンソン病発症に関与
約24時間周期で繰り返す生物学的リズムを「概日リズム」(サーカディアンリズム)と呼ぶ。概日リズムの乱れが睡眠障害を引き起こすことはよく知られているが、近年、うつ病や双極性障害といった精神疾患にも関連することが明らかになりつつある。このほど米・University of California, San FranciscoのYue Leng氏がJAMA Neurology(2020年6月15日オンライン版)に発表した報告によると、概日リズム障害はパーキンソン病(PD)の病態とも密接に関与しているという。(関連記事:「時間生物学的治療はうつ病に有効か」、「睡眠・覚醒が双極性障害と密に関連」)
~ 中略 ~
これらの結果について、Leng氏らは「概日リズムの乱れはPD発症リスクの増加と関係しており、PDの重要な前駆症状であることが示唆された」と結論。今後は、概日リズムの改善がPD発症リスクに及ぼす好影響について検討する必要があるとしている。
~ 転載終わり ~
出典 Medical Tribune
https://medical-tribune.co.jp/news/2020/0625530648/
感想
睡眠の重要性が明らかになってきた研究が次々と報告されています。
パーキンソン病は腸内環境も影響していますから、良い睡眠は良い腸内環境を形成しているし、良い腸内環境はパーキンソン病などの疾患も予防していると考えられます。うつ病も同じような原理だと考えます。
予防医療は、睡眠を整えることが大きなテーマになると考えます。
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③予防医療論文
今週の気になった論文をピックアップします。
~ 転載↓ ~
うつ病の原因遺伝子の発見
-ヒトヘルペスウイルス 6(HHV-6)の潜伏感染はストレス応答を亢進させることで、うつ病のリスクを著しく上昇させる-
【要旨】
大規模な遺伝子研究が行われたにも関わらず、ヒト遺伝子の中にはうつ病の原因となる有効な遺伝子は発見されませんでした。
我々は、ヒトに寄生する微生物を含む遺伝子群(メタゲノム)に研究対象を広げ、ヒトに潜伏感染しているヒトヘルペスウイルス 6(HHV-6)が持つ、うつ病の原因となる遺伝子 SITH-1 を発見しました。
SITH-1 は脳のストレスを亢進させることで、うつ病を発症させる作用があり、うつ病と診断されない程度の軽いうつ症状にも影響していました。
また SITH-1 は、ヒトを 12.2 倍うつ病になりやすくさせ、79.8%のうつ病患者が影響を受けているという、非常に効果の大きい遺伝子であることも分かりました。
さらに我々は、血清中の抗体検査によって、SITH-1 の発現を検出する方法も開発しました。
この研究結果により、血液検査によって、うつ病になりやすい人を発症前に知ることが可能となると考えられます。
また、このような非常に効果の大きい原因遺伝子の性質を研究することで、うつ病の発症メカニズムの解明や治療法の開発に、これまでにない新たな展開をもたらすことが期待されます。
【研究の背景】
疾患の原因は驚くほど明らかにされておらず、症状を緩和する対症療法によって治療が行われているのが普通です。
このため、疾患の原因を解明するために世界規模な遺伝子解析研究が行われました。
世界中の様々な疾患の患者や健常人の染色体の遺伝子(ヒトゲノム)を調べることで、疾患の原因となる遺伝子を発見しようという研究です。
しかし、ヒトゲノムの研究は、期待された程には、疾患の原因遺伝子の発見には繋がりませんでした。
多くの関連遺伝子が見つかったのですが、疾患を引き起こす効果の小さい遺伝子ばかりで、決定的な遺伝子はほとんど発見されなかったからです。
そこで最近では、ヒトのゲノムだけではなく、ヒトに寄生している細菌やウイルスなどの遺伝子も総合的にヒトの遺伝子として調べなければならないという考え方が提唱されるようになりました。これをメタゲノムと言います。
ただ、メタゲノムは少なく見積もってもヒトゲノムの数百倍の大きさ(数の多さ)があるので、実際に研究しようとすると非常に多額の費用を必要とします。
うつ病の遺伝子に関しても、大規模なヒトゲノム検索が行われましたが、有効な原因遺伝子は一つも発見されておらず、メタゲノムが注目されつつあります。
今回の我々のうつ病の原因遺伝子 SITH-1 の発見は、うつ病の発症に関して非常に大きい効果を持つ遺伝子を、メタゲノムの一つであるヒトヘルペスウイルス 6(HHV-6)の遺伝子の中に見つけたというもので、うつ病の原因を明らかにするだけでなく、疾患の遺伝子研究において、かなり時代を先取りしている研究でもあります。
~ 以下省略 ~
~ 転載終わり ~
出典 学校法人 慈恵大学
http://www.jikei.ac.jp/news/press_release_20200612.html
感想
うつ病は、発生機序がヘルペスと似ています。
多くの人がヘルペスウイルスを保有しているが、通常は制御されている状態にあり、ストレスによって免疫力が低下すると、ヘルペスウイルスが出現するようになるようです。
つまり、遺伝子を持っている人のほとんどがうつ病になる可能性があるようです。
うつ病の予防には、遺伝子の制御とストレスコントロールであることがわかります。
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④今週の名言
『立派な口実は
人を欺くことが出来る、
しかし
己の良心を
欺くことは出来ない。』
(人見一太郎)
明治期の評論家、ジャーナリスト、実業家
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リハラボ 代表
廣谷迪正(ひろやみちまさ)
リハラボホームページ
https://mkhjwh3.wixsite.com/selfreha
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